民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

飲み屋のマスター

2017-09-06 18:01:18 | 民俗学

友人たちと待ち合わせ、さてどこに飲みに行こうかというと、あの店のオヤジは民俗学に興味があるから行ってみよう というのでその店に行くことにしました。今風の居酒屋ではなく、古くからの飲み屋という感じの店で、友人の一人とは顔見知りで民俗学の話題にすぐなったのです。「道祖神が最もパワーのある神だと学生時代に教わりましたが、柳田も折口もそんなことをいっていますか」 おっと、いきなり柳田と折口の学の違いを説明させようとする試験からきましたか。

南島調査の後、柳田國男は「人間」の世界を選び、共同体の内部から人間たちを内在的に統合する原理を探求してゆく。共同体の外部に存在する神は、次第に人間化されて「祖霊」となる(『先祖の話』)折口信夫は「神」の世界を選び、共同体の外部から人間たちを外在的に統合する原理を探求していく。共同体の内部に存在する人間は、次第に異形化、もしくは神化されて「人外身」をもった「マレビト」となる(「民族史観における他界観念」)。柳田國男と折口信夫はある場合にはきわめて良く似た分身として、ある場合にはまったく異なった正反対の鏡像として、それぞれの「学」を練り上げていった。その共通の起源となった南東の仮面祭祀もまた、相互に矛盾するような両義的な相貌をもっていた。
                         安藤礼二「祝祭論」(『現代思想』総特集柳田國男)

こんなうまいことは言えなかったのですが、柳田が祖霊という縦の構造を構築したとすれば、折口はマレビトという横の構造を夢想した、というような話をし、その話は両墓制へと移行していくのでした。各種の日本酒をそろえてあり、つまみは少なかったのですが、冷やした日本酒を堪能したのでした。


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