民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

民俗学はナツメロかも

2015-05-08 10:18:24 | 民俗学

テレビがほとんどつまらないので、BSのチャンネルを意味もなくチェックしていくと、ナツメロつまり懐かしのメロディーを、本人もしくは別の歌手が歌うという番組がけっこうある。昔は、盆とか正月にそれこそ懐かしのメロディーというタイトルの歌番組があるくらいだったが、今はチャンネル数が増えたことや製作費が安く済むこともあるのだろう、季節ものといわず年中あるようである。
昔のナツメロといえば、親たちが若いころに流行った歌、自分は子どものころに聞いた歌だった。春日八郎・三橋道也・村田英雄・双葉百合子・田端義男などが定番の出演者だったろうか。美空ひばりは別格で、死ぬまで死んでからも現役といった扱いで、ナツメロとしては浮かんでこない。ところが、現在のナツメロといったら何だろうか。ある限定を加えるならば、私たちつまり60代・70代が若者のころ流行った歌ということになる。そうすると、歌謡曲では御三家、新御三家とかいわれた歌手がいるが、多分それは70代の皆さんの思い浮かべるナツメロで、60代になるとグループサウンヅやフォークソングがナツメロとなるだろう。つまり、「ナツメロ」といっても世代によってイメージする歌はかなり異なっているのである。懐かしのメロディーもジャンル分けしないと、一括りにはできなくなっている。

では、民俗学と言った時にイメージするものはどうだろうか。民俗学は聞き書きによって再構成できるくらいの、近い過去の生活史を研究対象としているといってよいだろう。そうすると、学問だから厳密に定義されてよさそうなものだが、20代の研究者、30代、50代、70代と言った世代の異なる研究者が聞き書きで構築する、あるいは構築しようとする生活の姿は当然異なってしまう。おそらく生活像のプロトタイプは自分が育ったころ、自分の生活感覚を形成したころのものにならざるをえないだろう。それがまずは私の民俗なのだ。そうすると、同じ「民俗学」をしているかに見えて、実はそれぞれ別な「民俗」学をしているのではないかと思われる。ナツメロといっても世代によってまた個人によって、イメージする楽曲が異なるように。


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