初子、かつては男の子が生まれた家では、灯篭を11日に作って家の前に建て15日にはお練りをして道祖神祭りの会場まで運ばれ、燃え上がった社殿に倒して一緒に燃やします。この灯篭は、ハツトーローとかハナドーローといわれ、地元のひとにとっては祭りのメインと考えられているそうです。夜空に、あるいは積もった雪をバックに浮かび上がる灯篭は確かにきれいなものです。40年ばかり前、祭りが一番盛んだった時には13本の灯篭があがったといいます。今は、ときによれば一本も上がらない時があり、子どもの性別を問わず、また「総代」が補助してあげてもらうのだそうです。灯篭はその家の縁者によって作られ、材料費や接待費などで1本あげるのにかかる費用は100万とも300万ともいわれます。それだけお金も手間もかけて作った物を、11日から15日まで飾るだけで燃やしてしまうのです。
灯篭は9メートルほどの高さがあり、最上部に御幣を取り付け、その下に傘・菱灯籠をつけ
ます。菱灯篭の下には、割り竹に紙の花を結び付けたものを36本しだれ桜のように垂らし、下に万灯篭を取り付けます。一番下には竹の輪をつけて祝いの言葉を書いた書初めをたくさんたらします。手作りだとはいえ、3本見た灯篭はどれもこうした形をしていましたから、いつの頃か定められた「型」があるように思いました。
灯篭は出陣式をして、家から祭りの会場まで練っていく間に酒をふるまい、社殿につくと根方に樽酒を置き、誰彼となくまたふるまうのだそうです。出陣式前の灯篭を見て回ったのですが、たくさんの一升瓶と樽酒が用意されていました。酒飲みにとっては、こたえられない祭りです。
この灯篭の形は、松本・安曇・上伊那あたりにある道祖神のオンバシラによく似ています。灯篭と御柱では意味合いが違いますが、道祖神つながりでは何か相互の影響がありそうです。
背の高い灯篭が家の前に飾られることは、跡取りができたことを村人に広く知らせる意味があり、その家にとっては誇らしい気分だろうと思いました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます