民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

葬式の作法

2018-03-04 16:58:44 | 民俗学

長野県は北から南まで長く、習俗も北と南ではかなり異なります。私は一応葬儀を研究しているとはいっても、主たるフィールドは在住する中信地区ですし、実体験も中信地区の葬儀への参列がほとんどで、まれに南信まででかけます。長野市方面には親戚がなく、ほとんど葬儀に出たことがありません。東信地区は妻の実家がある場所なので、妻の妻の家の葬儀には参列しましたが、それは当事者としての参列(義父、義祖母)でしたので、純然たる参会者として東信でも葬儀に参列したことはないのです。といいますのは、東信と北信の葬儀での作法はほぼ同様なので、どちらかを知っていれば類推できるはずです。

昨日長野県史刊行会でお世話になった先輩の先生の葬儀が、長野市でありました。県史時代の知り合いから葬儀連絡があり、出席することにしました。出席といっても東北信の場合は、葬式に同席するのは、オトキの席に座ってくれと予め葬家から連絡を受けた人だけなのです。オトキとか東信ではヘーヨセ(灰寄せ)などというのは、精進落としの席をいいます。中南信では、葬式に来た人には全員、式にも精進落としにも出てもらうのが通常ですので、概算でしか宴席の出席者の用意はできなく無駄が多いです。東北信ではあらかじめ指定するわけですから、合理的で無駄がありません。ただ、一般の会葬者は何とも拠るべなき者です。高速を下りてから長野市内が渋滞しており、約2時間かけて法事センターについたのですが、受付が一般とお斎出席者に分かれており、一般の参加者である自分は受付したら、焼香してすぐ帰るようなつもりで、会場の外にある焼香場を探しましたがありません。どうやら葬儀が開始した最初に葬儀会場で焼香するのだとわかり、会場外のエントランスでウロウロしてしばらく葬儀の開始を待ち、並んで焼香して故人のご家族の皆さんにお悔やみを述べて失礼したのでした。10分ばかり立って待ち、葬儀の開始数分で焼香して終わる。中南信の者にとっては、何かあっけないというか、行帰り4時間近い時間をかけていく価値あるのかなどと思ってしまうのです。弔辞や喪主の挨拶くらい聞きたい、故人がどんな風に亡くなったか知りたいという思いがわいてくるのでした。

のどがかわいているし、休憩もしたかったので、葬儀会場を出て友人とファミレスで休み、一話して帰って来たのでした。そして痛感したのは、妻の実家の葬式を自分は何もわかっていなかったという事です。

 


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