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矢張り乱用されていた医療扶助、「1年間に20回近く転院する受給者」も存在 - 日医会長の強弁も覆る

2014-03-25 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
会計検査院が、利権化している生活保護の実態を暴いた。
当ウェブログは生活保護の問題は不正受給ではなく医療扶助の方が深刻と指摘したが、
今回の調査によってその主張が裏付けられたと言える。

給付のおよそ半分が医療扶助という現状は、頭がおかしいとしか言いようがない。
額に至っては1兆円を超える巨額である(不正受給よりも遥かに額が多い)。
日医会長は「十分チェックされ、適切な医療をしている」と強弁したが、
この会計検査院の調査に対しどのようなコメントをするのか見物である。

「適切」な医療かどうかは利害の絡む当時者が判断すべきものではない。
一度当ウェブログが主張したように、情報公開して
識者と有権者の判断に委ねなければならない。
それが民主主義というものである。

予言しておくが、会計検査院の調査結果で問題は終わらない。
調査を進め情報公開すれば、更に恥知らずな実態が明らかになるであろう。

▽ 衝撃的な医療扶助悪用の一例がリポートされている

『NHKスペシャル 生活保護3兆円の衝撃』


悲しい話だが、当ウェブログの懸念は見事に的中した。

「急がなければならないのはまず医療扶助の不正摘発である。
 これは不正受給より圧倒的に額が大きい」

「一部の病院・診療所が生活保護を食い物にしているのは明らかであり、
 患者名を伏せて症状と治療内容、給付額を病院・診療所ごとに公表すべきである。
 不正が発見された場合には重罰もしくは医師免許の停止が必要だ」

「財政審議会では現状の医療扶助を問題視して
 生活保護受給者は窓口で一部自己負担とし、
 翌月以降に払い戻す制度の創設を提案している」

「これは大いに注目すべき動きで、
 官庁からの情報開示が期待できるだけでなく
 メディアが記事にして問題の所在が広く知られることになろう」

「日本医師会は迂闊なことに医療扶助を「適切」としてしまっているが
 これは後で大問題になるリスクを孕んでいる。
 所詮は利害関係者の経営上のプロパガンダと判断される可能性もある」

「適切な医療なのか不適切な医療であるかは
 利害関係のある当事者が判断すべきものではない。
 高等教育を受けた者なら当たり前過ぎる常識である」

「当ウェブログで指摘した通り、余りにも巨額過ぎる医療扶助の問題は、
 実際には比率の低い不正受給問題より重大である。
 例えば奈良県の山本病院事件を見ればその深刻さは明らかである」

日医にも、反貧困運動にも大打撃である。因果応報ではあるが。

 ↓ 参考

日本医師会、巨額の医療扶助をも「適切」であると主張 - 政治的主張ではなく情報開示を
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3ba7efdb299dbd664ec14dcd58099575‎

反貧困運動は、もう世論の支持を期待できない - 生活保護の期限設定にも医療扶助見直しにも強硬に反対
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/5923b5e80c3c104b1482e391d9fd0ef5

▽ 日本の医療関係者には、全体最適を殆ど意識しないという通弊がある

『失われた「医療先進国」』(岩本聡,講談社)


生活保護受給者:転院繰り返し 医療費過大支払い横行(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20140320k0000m040059000c.html
生活保護受給者が病院間で不自然な転院を繰り返し、公費から初診料などが過大に支払われる事態が横行していることが、会計検査院の調査で分かった。1年間に20回近く転院する受給者もおり、検査院は厚生労働省に是正を求めた。
 検査院が、2011年度に3カ所以上の病院や診療所に入院した生活保護受給者1373人を抽出して調べたところ、約1割の132人が10回以上転院していた。生活保護受給者の医療費は公費で賄われ、転院を繰り返せば、初診料のほか、短期間入院した場合に加算される診療報酬などが医療機関に支払われる
 1年間に18回入退院した受給者のケースでは、1回の入院期間は5~49日で、計7カ所の医療機関を行き来していた。同一の医療機関に入院した場合に比べ、初診料など計約136万円が過大に支払われていた。
 また、生活保護受給者を100人以上受け入れていた医療機関が8カ所あり、特定の医療機関の間で転院を繰り返す受給者が多かったという。
 1973年の旧厚生省通知では、生活保護受給者が転院する場合、医療機関は自治体に連絡するとされているが、大半のケースで連絡がなかった。〔中略〕【古関俊樹】”

ごく僅かなサンプル調査でもこのざまだ。
まさに「氷山の一角」と呼ぶのに相応しい。

また、大勢の天下りOBを出している厚生労働省に自浄力があると考えてはならない。
「指導」もアリバイ程度のものにとどまり、メディアに批判されない限り
この問題を何食わぬ顔で平然とやり過ごそうとするであろう。
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