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『週刊エコノミスト』6月23日号-企業所得や輸出が伸びても所得・設備投資は停滞、元凶は高齢化にある

2015-06-19 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』のメイン特集は矢張り小粒だったが、
(結局は資源市況に左右される体質は依然として変わっていない)
それ以外で重要な記事があった。エコノミスト誌はだから油断できない。

P82で吉松崇氏が「期待できない所得と支出の好循環」と題し、
90年代後半から現在に至る迄の所得(雇用者報酬)・消費・企業所得・輸出・民間設備投資を
比較して重要な指摘を行っている。まさに決定的な分析であるので、必読である。

氏の分析では、民間消費支出は名目で停滞・実質でやや上昇しており、
名目で下落・実質で停滞している雇用者報酬と乖離しており、
景気循環とも資産効果とも全く関係のない、高齢化要因とされている。

しかも企業所得や輸出が増えても民間設備投資は低迷しており、
「設備投資はかなりピークに近い水準かもしれない」というのが氏の結論である。
(つまり、次元の低い安倍政権の言う「好循環」は根本的に誤っているということ)

ただ、氏はその原因をグローバリゼーションによるサプライチェーンの変化と推測しているが、
こちらも人口要因で国内市場のシュリンクと判断するのが妥当ではないだろうか。

『週刊エコノミスト』2015年 6/23号


レポート「高騰するアジア人件費」も非常に素晴らしい。
みずほ総研の酒匂浩二氏の優れた分析である。

「拠点別に見た日本企業の収益満足度DI」という興味深い指標で
アジア諸国での日本企業の事業環境を推測した興味深い調査である。

インドが急落、中国が反転しているのが面白いが、
NIESが急激に改善している点がより重要と感じた。
(NIESは中国よりも政治リスクが明白に低いというメリットがある)

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊エコノミスト』の乗り物特集は「読み物」としての要素が強い。
経済誌らしさが乏しく、せめて外国人観光客の利用増加数や
人気度を比較する等して経済効果を取り上げるべきではないのか。
(個人的にはクルーズ船やななつ星のインバウンド波及効果を知りたい)

『週刊ダイヤモンド』2015年 6/20号


一方、大阪特集はかなり期待外れだった。
観光やカジノは地域特性に相応しいかもしれないが
他に成長分野がないのでは話にならない。
また、建設への抵抗も大きいので先は険しい。

大阪は人口が集中しているのでコージェネ法を制定してコージェネを買い取れば
投資が急増しエネルギーコストが大幅に低下するのは明白だ。
(気候条件から京都の方が効果大と推測されるのではあるが)
兵庫の法人・個人と共同で風の強い淡路島に風力発電投資、
夏の猛暑で有名な地域だけに地中熱への投資も大いに期待できるが
そうしたセンスに欠けるのが問題である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊東洋経済』証券特集は内輪向け、という印象。
「数字は人格」という懐かしい言葉も復活している。

ぼったくりのラップ口座の問題も軽く触れただけで、
健全な批判精神が欠如していると言わざるを得ない。

『週刊東洋経済』2015年 6/20号


「アベノミクス恩恵度」というランキングがあることから明白なように、
今の証券会社の稼ぎは実力ではない。政策による利益誘導である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週もめげずにダイヤモンドに期待、メインよりブラジル経済分析の方が良いかも?

▽ まさかヅカ特集とは。。「年功序列と実力主義」が経営の観点から目を惹く

『週刊ダイヤモンド』2015年 6/27 号


▽ 売れそうな東洋経済特集だが、「縮小経済での不毛な椅子取りゲーム」に見えなくもない

『週刊東洋経済』2015年 6/27号


▽ マーケット関連は矢張りエコノミストか

『週刊エコノミスト』2015年 6/30号

甘利氏は福島原発事故前に「原子力は最強の電源」と世紀の失言を行った
輝かしい「実績」があるので今回も期待できるかもしれない。
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