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GPIF7兆円損失の元凶は安倍政権、フジサンケイですら株価操作と認める - 増やした日本株で大失敗

2015-12-02 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
多くの良識ある者が予想していた通りの間抜けな事態になり、
GPIFがハイリスク運用で今年7~9月期に巨額損失を抱えたことが判明した。

四半期では今回のマイナスの額はリーマン・ショック直後を超えている。
当ウェブログは愚かな「ハイリスク運用」と批判したが、まさにその通りになった。

政府に唯々諾々と従う外郭団体は高値で日本株を買い込んでいるので、
日経平均が1万5000円程度に下がっただけでも巨額赤字に陥るのは確実である。

ロイター報道によれば、今回の8兆円マイナスの半分以上(4兆円強)が日本株によるもので、
続いて外国株によるマイナスが3兆円強となっており「元凶」が何かは明白である。
これが株式運用のリスクであり、図体の大きい「クジラ」は市場急変の打撃を避けられないのだ。

おまけに官房長官は「長期的により安定的、効率的な運用をする」などという迷言を吐き、
政権の運用リテラシーがいかに低次元かを白日の下に晒している始末だ。

本当に「長期」「安定」の運用を目指すのであれば、
2014年のように高値時にバカスカ買わせる愚かな売買はできない筈だ。
マーケットインパクトを緩和するために、
好況時に売って不況時に買って景気循環を利用するために
時間をかけて少しずつ株式の割合を増やしてゆく筈である。

一気に株式比率を高めた理由は一つしかない。「株価操作」である。
フジサンケイの媒体ですら「安倍政権の意向」と明記しており、
株価操作が裏目に出た大失策であることを実質的に認めている。

しかし安倍政権の株価操作の愚かさが明白になるのはこれからだ。
東証のバフェット・インディケーターはいまだに高止まりしており、
GPIFはあと数年で更なる巨額損失を抱え、世論の集中砲火を浴びることになろう。

しかも依然としてホームカントリーバイアスの問題もかなり残っている。
安倍政権の愚かな政策で日本経済にはトリプル安の脅威も刻々と迫っており
8兆円損失どころの話ではなくなる。これから先は地獄の道である。

▽ 日本の年金制度の最大の問題は持続性の低さと異常な世代間格差、しかも殆ど改善されていない

『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房)


安倍政権は年金運用で将来の災厄を抱え込んだだけではない。
社会保障給付についても愚かなバラ撒きを続けているから、打撃は二重に増大する。

「我が国の社会保障の最大の問題は、豊かな者にも貧しい者にも
 高齢者であれば見境なくカネをバラ撒くモラルハザードである」

「この悪平等が回り回って現役世代の負担を累増させ消費低迷の元凶となり、
 我が国の経済低迷と財政悪化、出生率低下をもたらしているのである」

「公費を受給している者の口座にマイナンバーを適用しないなど、とんでもないことだ。
 これで日本の社会保障のモラルハザードは一層深刻化するであろう」

「我が国には、たっぷり資産を持っている癖に
 日本政府に借金をさせて公費を受け取っている腐敗した有権者が大勢いる」

「日本の年金制度の抱える深刻な問題を完全無視し、
 HPで「若者は損ではない」と世迷い言を堂々と掲載した厚労省は
 案の定ながらかえってより強い不信感を受ける結果となった。
 (毎度のことながら自業自得である)」

「マクロスライドのデフレ局面での発動も事実上断念し、
 「問題先送り」体質を改めて露呈した格好である」

「既に我が国の社会保障給付は4割に公費が投入されている。
 厚労省が選択したのは「巨額の公費投入をずるずると維持し、未来世代に災厄をもたらす」
 腐った決断である。その理由は、自己洗脳と保身以外に考えられない」

「厚労省は自民の圧力に負けて制度の劣化を放置している癖に、
 有権者を馬鹿にしてこのような「洗脳」漫画を公開してる。

「「教育や医療が十分でなかった時代に自分たちの親を扶養しながら日本をここまで発展」
 させた世代は、毎年猛烈に所得が伸びていた上に、失業率は1%程度で簡単に職にありつけた。
 社会保険料負担は現在よりも遥かに軽く、しかも親世代よりも育てた子供の数は少ないのである。
 ふざけた自己欺瞞もいい加減にすべきだ」

「高額の資産を持つ豊かな層への公費投入と公的年金控除を全廃し、
 退職金への不公平な税軽減も即刻廃止した上で
 女性就労増と出生率向上に予算移転しなければならない」

「我が国の社会保障給付の40%が公費(税収あるいは借金)であるのだから、
 現在の年金受給者が「保険料を払った以上に多額の給付を貰っている」のは
 火を見るよりも明らかである」

「困窮する母子家庭や家庭環境に恵まれない子供達の方が遥かに苦しい状態にあると思われる。
 日本人であれば、「私よりも困っている人がいるからそちらに目を向けて欲しい」と言うのが
 伝統に照らして当然の態度ではないのか」

「そもそも、今回の件で糾弾すべきは赤字塗れの政府ではない。
 政府を大赤字に陥らせ、平然と公費をたっぷり受け取って肥え太る富裕高齢層である」

「我が国の預貯金は1000兆円近く、高齢層がその大半を保有しているのだから
 少なく見積もっても500兆円以上のカネを貯め込んでいる」

「年金制度の中だけでも世代間格差は拡大しているが、
 保有資産の額で見れば更に世代間格差・世代内格差が拡大しており
 歪んだ制度の実態とそれを放置する厚労省の責任は明白」

「骨の髄まで組織の論理に染まっているから真実が見えなくなっているのだ」

「こうした自己欺瞞こそ、現状の客観的な認識と正しい制度改革を遅らせる最大の病巣となっている。
 だから、世代間格差の拡大が自動的に「負のインセンティブ」になるスキームにしない限り、
 彼らの誤った認識と歪んだ自己正当化は絶対に治らないのである」

今は「嵐の前の静けさ」どころか、「大災害前の静けさ」とした方が適切である。

▽ 基礎年金の55%、後期高齢者医療費の70%が公費投入であり「バラ撒き」そのもの

『エコノミスト』2013年 10/29号


当ウェブログが予想した悪しきシナリオに向け、日本は一直線に進んでいる。

「安倍政権のさもしい株価操作政策のために、
 予想通りにハイリスク運用の実態が見えてきた。
 巨大な「クジラ」が高値で買うからこうなるのだと、どうして分からないのか。
 安倍政権は運用リテラシーでも次元が低く、「後は野となれ山となれ」の惨状である」

「また、我が国の年金制度の持続性を著しく損なってきたにも関わらず、
 何ら反省も自浄力もなく開き直って自己正当化する厚労省も同罪である」

「マーサーのグローバル年金指数ランキングが政府と厚労省の「次元の低さ」を証明している。
 日本の年金制度の持続性への評価は最低水準で、中国や韓国にすら劣っているのだ」

「日本の年金は総合ランキングでも中国に劣り、韓国よりも少しましという程度である。
 つまり完全な「劣等生」であり、問題先送りを続けているというのが実態なのだ」

「厚労省の自画自賛のアナウンスを聞く必要はない。
 彼らは自己正当化の言説を繰り返している内に自らマインドコントロールに陥っているからだ。
 日本の年金制度がいかなるものであるか、このランキングの方が遥かに的確に語っている」

「年金官僚や彼らと癒着したメディアがいかに洗脳に努め、
 情報操作に必死になって有権者を騙そうとしも、事実は変わらない」

「誤った認識の下に小手先の手直しを続けても、決して根本解決にはならない。
 寧ろ逆に「真の危機」から目を逸らし、危機感を失わせる反作用が生じる」

「金利急騰や財政危機に陥らなければこの「バラ撒き」の病は治らないのだろう」

我が国は年金制度においても、かつての日中戦争のような泥沼に陥っている。

 ↓ 参考

日本の年金の持続性は中韓にも劣る、元凶は少子高齢化と受給期間の長さ - ハイリスク運用で更に脆弱に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/e59e0b87273e4aceab83db19c6cc88d4‎‎‎

厚労省がまた欺瞞と言い逃れ、厚生年金の世代間格差拡大は明白 - 責任の重い官僚の退職金を削減すべき
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/eb80111cdadd7d23a524f37bcd7cfec5‎‎‎

20兆円以上のカネを貰ってもまだ足りない? - 年金減額訴訟に若年層から反発、見抜かれた世代利己主義
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/456dd59515398a1bf2553febf1327eaa‎‎

マイナンバーで公費を貰う受給者の口座捕捉は絶対必要、骨抜きは腐敗を招く-家計保有の現預金は874兆円
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/4e630c15945054a61e1488be574b8ce7

▽ 日本の社会保障給付は高齢向けが異常に多く、年金だけで20兆円を超える公費を使っている

『中間層消滅』(駒村康平,KADOKAWA/角川マガジンズ)


年金積立金、株式比率拡大でリスク増大 問われる運用の在り方(SankeiBiz)
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/151201/ecc1512010500002-n1.htm
”年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が30日発表した7~9月期の運用実績が7.8兆円もの“大損”となったのは、年金積立金の運用先を大幅に入れ替えたことが大きい。株価を重視する安倍晋三政権の強い意向を受け、安全資産とされる国債の比率を引き下げ、国内株式など変動の大きい資産の比率を大幅に拡大。その結果、株式市場の値動きに運用が左右される傾向が強まった。運用損の拡大は将来の年金給付の削減につながりかねないだけに、今の運用方針に対して批判が強まる可能性もある。
 GPIFは昨年10月、運用方針の見直しを発表。国内株式と外国株式の構成比率をそれまでの各12%から各25%に上げる一方、国内債券は60%から35%に大幅に引き下げる方向性を打ち出した。国内債券に偏った運用を見直し、年金給付の原資を増やすことを目指すのが表向きの理由だったが、株価を重要指標と位置付ける安倍政権の意向を重んじたのは明らかだった
 国内外の株価が堅調に推移した2014年度には運用益が15.2兆円に達したが、今年度は4~9月期でならしても5.2兆円の運用損となり、株式市場の動向が運用を大きく左右する「市場連動型」に姿を変えつつある。
〔中略〕
 菅義偉官房長官は同日の会見で「長期的に安全、そして効率的に運用していくことが大事だ」と強調したが、損失が生じるリスクを抱えたのは事実だ。”

政権べったりのフジサンケイGでも、
経済メディアは流石に真実を書かざるを得ない。
運用のリスクリターンを理解していれば、これが正しい認識である。
官房長官をはじめ、安倍政権の閣僚はこの程度にも達していない訳だ。


GPIF、運用改革後初の赤字 7―9月に7.8兆円の損失(jp.reuters)
http://jp.reuters.com/article/2015/11/30/idJPL3N13M3D720151130
”年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は30日、2015年7―9月の運用損失が7兆8899億円だったと発表した。世界的な株安の影響で利回りは5.59%のマイナスとなり、安倍内閣が主導した昨年10月の運用改革後、初めての赤字に陥った。年金資産の積立金は135兆1087億円と、過去最大に膨らんだ6月末の141兆1209億円からおよそ6兆円減少した。
 GPIFの運用損益が赤字となったのは6・四半期ぶり。中国や新興国経済に対する不安の高まりが今年8月に世界的な株安を招き、国内外の株式運用が振るわなかった。
 資産ごとの運用損失は国内株式が4兆3154億円(利回りはマイナス12.78%)、外国株式が3兆6552億円(同10.97%)、外国債券が2408億円(同1.26%)と、運用見直しで比重を高めた3資産がいずれもマイナス運用だった。逆に、国内債券で3022億円(利回りは0.60%)を稼いだ。
 年金特別会計で保有する短期資産について、厚生労働省は9月末の時点で4兆2000億円としており、GPIFは6月末から国内債券を6800億円程度減らす一方、国内株式を3700億円程度、外国債券を3500億円程度、外国株式を1兆6600億円程度買い増ししたもようだ。
 9月末の年金積立金全体に占める保有資産割合は国内債券38.95%、国内株式21.35%、外国債券13.60%、外国株式21.64%となった。

 <10月以降は回復か>
 四半期ベースでみると、今回の赤字額はリーマン・ショックに伴う金融危機で生じた08年10―12月の損失5兆7398億円を上回る規模だ。
 GPIFは、昨年10月末から国内外の株式運用を増やした。現在は国内債券35%(以前は60%)、国内株式25%(同12%)、外国債券15%(同11%)、外国株式25%(同12%)とする運用割合を基本に、改革後の収益の積み上げは6月末までに12兆0967億円に上ったが、7―9月の株安でその6割を失った計算になる。
 10月以降の運用損益はプラスに回復している公算が大きい。指標となる「ベンチマーク収益率」は今年4―10月の国内株式(TOPIX配当込み)が1.93%とプラスに転じたほか、マイナスに陥った外貨建て資産についても、足元で戻り歩調となっているためだ。〔中略〕 (山口貴也、梅川崇)”

ロイターは資産別の内訳を報じている。
今回の8兆円損失の要因が日本株と外国株の比率を急激に高めたことにあるのは
誰が見ても明白である。つまり、今回の巨額マイナスの責任は安倍政権にある。
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