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「かんぽの宿」騒動の本質は総務省+郵政ファミリーの既得権確保-騙されたマスコミと大衆はいい面の皮

2009-03-13 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
「かんぽの宿」騒ぎはいかにもきな臭いと思っていたのですが、
(イデオローグの総務相が社会正義の為に動く筈がない)
ダイヤモンド誌元編集長の辻広雅文氏が明快に
このドロドロの内幕を斬って下さいました。

今回の騒動の本質は「正義の面をかぶった利権」であり、
道理で強烈な腐臭が漂ってくる訳です。

今回もまた、大手マスコミと大衆が「釣られ」て
官僚の情報操作にうまうまと踊らされたのです。


「かんぽの宿」騒動に見る“既得権死守”勢力の巧妙かつ公然たる反乱|辻広雅文(diamond.jp)
http://diamond.jp/series/tsujihiro/10064/

”不採算施設は、好採算施設とセットでなければ売れるはずがない。単純化し
 て言えば、年間10億円の赤字が出る宿泊施設を売るには、10億円以上の利益
 が出る施設を組み合わせる必要がある。例えば、20億円の黒字の施設と組み
 合わせる。売却金額は差し引き10億円、あるいはそれ以上かそれ以下か、そ
 れは交渉次第である。
 〔中略〕
 したがって、平均稼働率が70%もあるという鳩山総務相の主張も、無意味で
 ある。平均稼働率以下の不採算施設こそが問題だからである。
 不況時に売却を急ぐ必要はないという批判も、的外れだ。確かに売却時期を
 遅らせれば、好況が巡ってきて、もっと高く売れるかもしれない。だが、さ
 らに景況は悪化して、売却期限が近づくことも手伝って、買い叩かれるかも
 しれない。何より売却期間が伸びる間、赤字が垂れ流しになるのである。
 不良資産の処理は、一括売却が基本であり、スピード重視が鉄則である。こ
 のことは、1990年代後半以降の不良債権処理を手がけた金融機関関係者や、
 2000年代に企業再生を手がけた人々――産業再生機構に関わった政府関係
 者も――には、身に染みた常識である。

 〔中略〕
 かんぽの宿を、実は地元の同業者は快く思っていない。官業ゆえに赤字を垂
 れ流しながら営業を続け、民業を圧迫する存在だからである。では、地元の
 ライバルたちは買い手になりうるだろうか。設備の維持費に加えて、従業員
 の賃金は同業他社比べて高い。旅館業の従業員のそれは他産業に比べて低い
 が、かんぽの宿の従業員は公務員給与に準じているのだから、格差は当然で
 ある。
そうした高コスト体質の官業施設を個別購入する買い手が、全国に数
 多くいるとは到底思えない。”

 → そうそう、かんぽの宿の高コスト体質を暴かないと駄目です。
   公共の宿の人件費構造が「腐っている」のは
   知っている人には余りにも有名な話です。
   公共の宿が赤字である最大の理由が
   「収益を出していない人にも高給を出す」
   ことであるのは、認識しておかねばなりません。

   つまり日本国内の「ソビエト連邦」なのですから
   経済崩壊ならぬ経営崩壊して当然なのです。


”通常、霞ヶ関官僚は、国会質問をするための情報など野党には出さない。と
 ころが、複数の野党議員によると、「今回の売却問題に関しては、電話一本
 で総務官僚から国会での追求材料が山ほど出てきた」と言う。
 ある自民党幹部によれば「鳩山総務相と旧郵政官僚はスクラムを組み、日本
 郵政の人事に介入し始めている」
。その実例かどうかは判断できないが、今
 回の売却凍結騒動の最中、旧郵政大物官僚の団宏明・郵便事業会社社長が持
 ち株会社の代表権を持つ副社長に就いた。ある経団連副会長は、「鳩山さん
 は、西川社長の首を切って団さんを昇格させたいのだろう」と見る。”

 → 薄汚い工作が蠢いています。
   オリックスと西川氏を批判した黒幕は、
   何のことはない旧郵政官僚だったのです。


”旧郵政官僚を排除し、世論の支持を背景に小泉政権が推進した郵政民営化を
 巻き返す動きが、郵政民営化によって既得権を失いかけた人々の手によって
 始まっている。既得権を死守したい人々――選挙を控えて、特定郵便局長の
 票田が欲しい政治家(与党議員に限らない)、世襲の利権を守りたい特定郵
 便局長たち、郵政利権を失いたくない総務官僚、賃金が相対的に高いかんぽ
 の宿の従業員すらその一員といえるだろう

 権力関係の入り組む永田町と霞ヶ関に住み慣れた人々は、こうした既得権を
 巡る闘争に極めて通じている。銀行の頭取出身で旧大蔵省との関係しか知ら
 ぬ西川社長では、とても歯が立つまい。
 〔中略〕
 最後に、極めて重要な二つの点を挙げたい。
 第一に、鳩山総務相の売却差し止めが将来、日本郵政の損失を拡大させ、そ
 れが財務に響き、株式上場にマイナスとなれば、国庫に得られるべき利益が
 減ることになり、損失をこうむるのは国民である
。さらに、郵政民営化が混
 迷し、旧国鉄のような事態になれば、税金を投入しなければならなくなる。
 既得権死守闘争は、国民負担となって跳ね返るのである。
 第二に、小泉政権の構造改革が格差を拡大させたという批判が高まっている。
 格差には二種類ある。一つは市場主義経済の歪みによる格差であり、政府は
 社会的弱者のためのセーフテイネットなどの対策を迫られる。だが、もう一
 つは、既得権者と非既得権者の格差である。小泉構造改革はこの格差を打ち
 壊した。その打撃を受けた既得権者たちが、社会的弱者の味方である振りを
 して、論理をすり替え、自己保身の反転攻勢に出ているのである
。〔後略〕”

私が引用したのはごく一部ですので、
是非是非元記事を熟読されるようお願い致します。

…実は私の知り合いには特定郵便局局長の娘がおりまして、
「自分の父はカッコイイ!」と言うのです。
その理由を聞いてみると何のことはない、
「えっ! と思うような高額の商品も買ってくれるから」
だそうです。(…………)

郵政民営化の際に郵政利権の実態を知った私は、
漸くにして彼女が「既得権層」に属していることが
理解できた、という次第です。

▽ 民営化嫌いのイデオローグはこの本を読みましょう。





『未完の「国鉄改革」―巨大組織の崩壊と再生』(葛西敬之,東洋経済新報社)


▽ 特殊法人に勤めていた著者。政府依存意識の強さが分かる。





『民営化で誰が得をするのか―国際比較で考える』(石井陽一,平凡社)

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