みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

初秋の新刊-『アメリカはなぜ日本より豊かなのか?』『М9地震に備えよ』『原爆裁判』『観光消滅』等

2024-09-23 | こんな本を読んでいます
連休なのでいつもの新刊紹介です。

経済関連ではアベノミクスがなぜゼロ成長続きでで失敗に終わったのか
理路整然と論じる野口悠紀雄氏の新刊が出たのが注目ですね。

他はインバウンドの隆盛、と言うよりオーバーツーリズムの弊害が酷くて
社会問題化しているのを受けてか観光関連の新刊が増えてきています。

他方、米大統領選や中東、ウクライナ関連は減り気味で
一国平和主義的な日本社会の内向き志向が見えるようでもあります。。


『アメリカはなぜ日本より豊かなのか?』(野口悠紀雄,幻冬舎)


 → 主張としては杜撰なリフレ派より遥かに正しい、
   但し現役世代1人当たりGDPで見ると大したことない米経済の強さが
   人口増加に支えられているのは明白である。


『M9地震に備えよ 南海トラフ・九州・北海道』(鎌田浩毅,PHP研究所)


 → 地震の巣である日本における大震災のリスクを理路整然と説いた新刊、
   首都圏についても相当のページを割いて分析している。
   (米国だったらこのようなハイリスク地域での原発は法で禁止するであろう)


『日本人にどうしても伝えたい 教養としての国際政治 戦争というリスクを見通す力をつける』(豊島晋作,KADOKAWA)


 → タイトルは大袈裟だが内容は本格派で、パレスチナやウクライナ関連など
   元外交官あたりの解説よりかなり優れており吃驚。
   (例えば池上氏と組んで番組を持ったらかなり反響を呼ぶのでは)
   あの小泉悠氏が賞賛しているのも当然であろう。


『脱炭素化は地球を救うか』(池田信夫,新潮社)


 → 福島原発事故後すっかり本が売れなくなった著者、
   科学とみせかけた原子力推進イデオロギーに過ぎず
   結果的に原発大増設中の中ロを擁護する内容になってしまっているのが実に皮肉。

   同じ原子力擁護でも『グリーン・ジャイアント』の方が科学的で
   経済面での「負の外部性」にも言及しており遥かにマシであろう。


『介護格差』(結城康博,岩波書店)


 → 裕福な高齢層ほどお金にシビアという証言がある、
   今のバラ撒き高齢者予算はそういうところから生まれたのだろう。


『原爆裁判 アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子』(山我浩,毎日ワンズ)


 → NHK朝の連続テレビドラマ『虎に翼』で一躍有名になった、
   あの女性の関わった画期的な原爆裁判。


『心理的虐待 ~子どもの心を殺す親たち~』(姫野桂,扶桑社)


 → この難しい分野での特筆すべきレポート、
   特に発達障害との関係に言及した部分は重要。


『日本のなかの中国』(中島恵,日経BP)


 → さほど豊かではなくなっても日本に惹かれてやって来る中国人、
   かつては『三国志』など中国古典に関する日本人の教養に驚いていたが
   ファンタジーに過ぎない『キングダム』しか知らない若年層を見ると
   それも長くは続くまい、と思えてくる。


『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆,集英社)


 → よく売れているらしい。ただ思想史的に見れば、
   奴隷制に支えられた古代ギリシャ以来の労働を苦役と捉える西洋思想か、
   もしくは俗世からの隠遁を理想とする中国伝統の文人志向の影響に見えてしまう。。


『観光消滅-観光立国の実像と虚像』(佐滝剛弘,中央公論新社)


 → 安倍政権以来の自国安売りインバウンドは問題だらけ。
   しかも権威主義的で「世界遺産」の四文字に弱い日本人、
   観光客の急増・急減の一因になる悪しき通弊も問題である。


『日本人が知らない世界遺産』(林菜央,朝日新聞出版)


 → 最後にこちら。FRBの利下げ転換で円高確実だから次の旅行先を考えるのも楽しい。
   ただ海外の世界遺産でも日本の権威主義的・ブランド志向が窺えるような。。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする