ただ一つの市長選でこれだけの波紋を呼ぶ点で、
この選挙の持つ重大性が分かるというものだ。
結果としては、賛否はあれ現状打破の改革を唱えた橋下氏の圧勝。
それに対抗するビジョンを何ら提示しなかったのだから
対立候補が大敗するのは当然である。
週刊誌等のやけに必死なネガティブキャンペーンも
当ウェブログの指摘通り、橋下陣営に逆利用される始末。
(あれで却って支持者が増えた可能性が高い)
毎日新聞の調査によれば、自民党支持層と民主党支持層のほぼ半数が
党の方針にそっぽを向いて橋下氏に投票している。
これは、既成政党が有権者の期待に応えていないことを意味する。
以下のエントリーの通り、橋下有利は容易に予想できるものだった。
郵政選挙の再現を見るようで、「コイズミ化」は着々と進んでいる。
橋下徹・前大阪府知事がコイズミ化している件 -「気色悪い政党相乗り」でますます漁父の利に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b228632c70b4ca49d8248c9c3c23e56a
実はもうひとつ面白い話がある。
今春の『週刊東洋経済』に掲載されていた
渡邉正裕氏のシミュレーション小説「老人は泣き 若者は笑う」は
橋下政権が日本経済を立て直すシナリオになっていた。
自民・みんなの連立政権の時に国債急落が始まり、
連立政権が崩壊して橋下新政権が誕生するというストーリーだ。
2013年という時期は外れるだろうと思うがその他はかなり的確である。
その時も書いたが、池田信夫氏のこの小説よりも
格段に鋭い内容でありお薦めしたい。
▽ ストーリーの概要はこちらに纏めてある。どこかの出版社で本にして欲しい。
財政破綻しなければ日本は復活不可能? -「国債暴落はもっと早く来て欲しかった」と渡邉正裕氏(の小説)
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b03d34107c24a57be7725c82754004fd
尚、毎日新聞による丁寧な出口調査は以下の通り。
共産と社民、つまり労組側の完全な「敗者のゲーム」となっている。
大阪ダブル選:橋下氏、幅広く集票…本社・MBS出口調査(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/photo/news/20111128k0000m010150000c.html
”毎日新聞は27日、MBS(毎日放送)と合同でダブル選の投票を終えた有権者を
対象に出口調査を実施した。大阪市長選では、橋下徹氏が既成政党の支持層や無党
派層にも幅広く食い込んだ。一方、現職の平松邦夫氏は大阪府連レベルで支援を受
けた民主、自民支持層をまとめきれなかった。年齢別でも若い世代で特に浸透せず、
全世代で橋下氏に及ばなかった。投票の判断の基準では維新が掲げる「大阪都構想」
が最も重視され、橋下氏の問題提起に多くの有権者が応えた形となった。
府内の投票所60カ所で計3000人から回答を得て、このうち大阪市長選につい
て分析した。
性別では男女それぞれ6割が橋下氏を選んだ。年代別では20代、30代の7割が
橋下氏を選び、40~60代でも6割が支持した。平松氏は70代以上でほぼ互角
の支持を得たにとどまった。
支持政党別では、橋下氏が民主、自民支持層のいずれも5割近くに食い込み、無党
派層も6割を取り込んだ。大阪維新の会支持層のほぼ全て、みんなの9割近くを固
めた。自主投票とした公明の支持層からも4割の支持を得た。平松氏は共産支持層
の8割に浸透したが、民主、自民の支持層では5割にとどまった。社民支持層は9
割近くを取り込んだ。
支持政党は、維新が全既成政党を上回り、2割近くに達した。自民、民主、公明、
共産と続き、無党派は4割だった。知事選で維新幹事長の松井一郎氏に投票したほ
ぼ全てが橋下氏、前大阪府池田市長の倉田薫氏に投票した8割が平松氏を選んだ。
政策別では、府と大阪、堺両市を解体して都と特別自治区に再編する「大阪都構想」
に5割が賛成し、3割だった反対を上回った。賛成者のほぼ全てが橋下氏、反対者
のほぼ全てが平松氏を選んでおり、投票行動に大きく関係した。
また、首長が教育目標を設定するなど教育への政治介入を明確にした教育基本条例
案には4割が賛成し、反対は2割だった。賛成者の8割が橋下氏、反対者の8割が
平松氏に投票した。
投票で重視した政策の順位は、▽都構想▽行財政改革▽経済・雇用▽福祉・医療▽
教育問題--と続いた。都構想、行財政改革を重視した人のそれぞれ8割、7割が
橋下氏に投票。政策より人柄と回答した人の7割が平松氏を選んだ。
一方、府民も都構想に5割が賛成して2割が反対し、教育基本条例案に4割が賛成
して2割が反対しており、市民とほぼ同じ傾向を示した。”
橋下氏の政策提言が素晴らしい訳ではないが
他の陣営が何もしないに等しい状況なので棚ぼたの勝利である。
これから都構想実現に努力しても公務員のリストラをしても
税収が増える訳ではない。橋下新市長には大きな試練が待っている。
教育分野で無駄な時間を使って泥沼突入の可能性もある。
…鍵を握るのは経済・雇用対策だろう。
日本の官庁や自治体には税収を増やす能力が著しく低いという欠点があるが
現下の日本において確実に成長を期待できるのは、
1)省エネ・新エネの普及促進
2)外資・外国人滞在者の誘致
3)育児の産業化・効率化による雇用増
しかあり得ない。橋下新市長のお手並み拝見というところだ。
これらの経済梃入れ策に成功したら確実に国政が動くだろう。
そうした意味で東京都より大阪の改革の方が遥かに日本にとって重要である。
この選挙の持つ重大性が分かるというものだ。
結果としては、賛否はあれ現状打破の改革を唱えた橋下氏の圧勝。
それに対抗するビジョンを何ら提示しなかったのだから
対立候補が大敗するのは当然である。
週刊誌等のやけに必死なネガティブキャンペーンも
当ウェブログの指摘通り、橋下陣営に逆利用される始末。
(あれで却って支持者が増えた可能性が高い)
毎日新聞の調査によれば、自民党支持層と民主党支持層のほぼ半数が
党の方針にそっぽを向いて橋下氏に投票している。
これは、既成政党が有権者の期待に応えていないことを意味する。
以下のエントリーの通り、橋下有利は容易に予想できるものだった。
郵政選挙の再現を見るようで、「コイズミ化」は着々と進んでいる。
橋下徹・前大阪府知事がコイズミ化している件 -「気色悪い政党相乗り」でますます漁父の利に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b228632c70b4ca49d8248c9c3c23e56a
実はもうひとつ面白い話がある。
今春の『週刊東洋経済』に掲載されていた
渡邉正裕氏のシミュレーション小説「老人は泣き 若者は笑う」は
橋下政権が日本経済を立て直すシナリオになっていた。
自民・みんなの連立政権の時に国債急落が始まり、
連立政権が崩壊して橋下新政権が誕生するというストーリーだ。
2013年という時期は外れるだろうと思うがその他はかなり的確である。
『週刊東洋経済』2011年 4/2号 | |
その時も書いたが、池田信夫氏のこの小説よりも
格段に鋭い内容でありお薦めしたい。
「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」 | |
▽ ストーリーの概要はこちらに纏めてある。どこかの出版社で本にして欲しい。
財政破綻しなければ日本は復活不可能? -「国債暴落はもっと早く来て欲しかった」と渡邉正裕氏(の小説)
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b03d34107c24a57be7725c82754004fd
尚、毎日新聞による丁寧な出口調査は以下の通り。
共産と社民、つまり労組側の完全な「敗者のゲーム」となっている。
大阪ダブル選:橋下氏、幅広く集票…本社・MBS出口調査(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/photo/news/20111128k0000m010150000c.html
”毎日新聞は27日、MBS(毎日放送)と合同でダブル選の投票を終えた有権者を
対象に出口調査を実施した。大阪市長選では、橋下徹氏が既成政党の支持層や無党
派層にも幅広く食い込んだ。一方、現職の平松邦夫氏は大阪府連レベルで支援を受
けた民主、自民支持層をまとめきれなかった。年齢別でも若い世代で特に浸透せず、
全世代で橋下氏に及ばなかった。投票の判断の基準では維新が掲げる「大阪都構想」
が最も重視され、橋下氏の問題提起に多くの有権者が応えた形となった。
府内の投票所60カ所で計3000人から回答を得て、このうち大阪市長選につい
て分析した。
性別では男女それぞれ6割が橋下氏を選んだ。年代別では20代、30代の7割が
橋下氏を選び、40~60代でも6割が支持した。平松氏は70代以上でほぼ互角
の支持を得たにとどまった。
支持政党別では、橋下氏が民主、自民支持層のいずれも5割近くに食い込み、無党
派層も6割を取り込んだ。大阪維新の会支持層のほぼ全て、みんなの9割近くを固
めた。自主投票とした公明の支持層からも4割の支持を得た。平松氏は共産支持層
の8割に浸透したが、民主、自民の支持層では5割にとどまった。社民支持層は9
割近くを取り込んだ。
支持政党は、維新が全既成政党を上回り、2割近くに達した。自民、民主、公明、
共産と続き、無党派は4割だった。知事選で維新幹事長の松井一郎氏に投票したほ
ぼ全てが橋下氏、前大阪府池田市長の倉田薫氏に投票した8割が平松氏を選んだ。
政策別では、府と大阪、堺両市を解体して都と特別自治区に再編する「大阪都構想」
に5割が賛成し、3割だった反対を上回った。賛成者のほぼ全てが橋下氏、反対者
のほぼ全てが平松氏を選んでおり、投票行動に大きく関係した。
また、首長が教育目標を設定するなど教育への政治介入を明確にした教育基本条例
案には4割が賛成し、反対は2割だった。賛成者の8割が橋下氏、反対者の8割が
平松氏に投票した。
投票で重視した政策の順位は、▽都構想▽行財政改革▽経済・雇用▽福祉・医療▽
教育問題--と続いた。都構想、行財政改革を重視した人のそれぞれ8割、7割が
橋下氏に投票。政策より人柄と回答した人の7割が平松氏を選んだ。
一方、府民も都構想に5割が賛成して2割が反対し、教育基本条例案に4割が賛成
して2割が反対しており、市民とほぼ同じ傾向を示した。”
橋下氏の政策提言が素晴らしい訳ではないが
他の陣営が何もしないに等しい状況なので棚ぼたの勝利である。
これから都構想実現に努力しても公務員のリストラをしても
税収が増える訳ではない。橋下新市長には大きな試練が待っている。
教育分野で無駄な時間を使って泥沼突入の可能性もある。
…鍵を握るのは経済・雇用対策だろう。
日本の官庁や自治体には税収を増やす能力が著しく低いという欠点があるが
現下の日本において確実に成長を期待できるのは、
1)省エネ・新エネの普及促進
2)外資・外国人滞在者の誘致
3)育児の産業化・効率化による雇用増
しかあり得ない。橋下新市長のお手並み拝見というところだ。
これらの経済梃入れ策に成功したら確実に国政が動くだろう。
そうした意味で東京都より大阪の改革の方が遥かに日本にとって重要である。