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墓穴を掘りかねない日本医師会 - 開業医の平均収入・税負担を語らず、ストレスの強さのみ強調

2009-10-08 | いとすぎから見るこの社会-全般
多分、何かの勘違いがあるのだろうと思います。
不幸なことですが、ロビイストか利益誘導団体としか見えない主張を
繰り返していることの自覚がないようです。

良心的で熱意ある医師が大勢いらっしゃるのはよく分かるのですが、
それと制度設計とは全く別の話です。

そもそも医療予算の額は経済成長率や税収に制約されます。
そうした状況下で、医療予算の削減に反対するのであれば、

1)医師が高額所得者への増税に同意する
2)国民を説得し、公益の観点から医療予算を増額する

の2つの選択肢しかあり得ません。

何度も書いていますが、
開業医の方々の生活水準を国民は知悉しています。
私立医大の駐車場を見れば一目瞭然です。

一般労働者から見てどう見ても困窮していない人々が
(お分かりでないと思いますが、国民の平均年収は400万強です)
自らを被害者のように主張することは、
はっきり言えば危険極まりない暴挙です。


開業後、「ストレス強まった」が半数以上-日医調査(CareerBrain)
http://www.excite.co.jp/News/society/20090930/Cabrain_24551.html

”日本医師会は9月30日、定例の記者会見を開き、開業医の開業した動機や実
 情に関するアンケート調査の結果を公表した。それによると、勤務医時代と
 比べ労働時間が過重になったり、精神的ストレスが強くなったりしたと感じ
 る開業医がそれぞれ約4割、5割強に上るなど、開業医が疲弊している実態が
 浮かび上がった。
 調査は、日医会員のうち、医療法人または個人立の診療所、病院の開設者が
 対象。都道府県ごとに診療所の20分の1、病院の10分の1を抽出し、診療所
 3584施設、病院390施設に7月28日に調査票を送付。有効回答は診療所、
 病院それぞれ1861施設、123施設だった。
 それによると、新規に開業した場合の開業時の平均年齢は41.3歳。開業後の
 年数別に開業時の平均年齢を見ると、「30年超」が37.5歳、「20-30年」
 が39.4歳、「10-20年」が41.7歳、「5-10年」が43.5歳、「5年以内」が
 44.9歳となった。開業後の年数が短いほど、開業時の年齢が高くなる傾向が
 あり、日医では「病院などで一定期間のキャリアを経た後に開業しているケ
 ースが増えている」と分析している。
 また、開業した動機を複数回答で聞いたところ、「自らの理想の医療を追求
 するため」が42.4%で最も高かった。以下は、「勤務医または研究者として
 の将来に限界を感じたため」35.1%、「経営も含めてやり甲斐を感じたため」
 26.3%と続いた。
 さらに、「勤務医または研究者時代の精神的ストレスに疲弊したため」「勤
 務医または研究者時代に過重労働に疲弊したため」もそれぞれ21.0%、18.6
 %に上った。
 勤務医時代と比べ、開業後の方が負担になっている「診療面」の業務として
 は(複数回答)、「レセプトの作成、チェック」が52.2%で最も多く、以下
 は「自身の医療水準の維持」49.5%、「レセプト以外の書類作成」38.3%と
 続いた。
 また、「管理面」では「スタッフの採用」が65.1%に上った。「機器等のメ
 ンテナンス」(48.5%)、「スタッフの教育・育成」(48.3%)も多かった。
 さらに、勤務医や研究者時代と労働時間を比較した場合、「過重になった」
 との回答が41.6%(「かなり過重になった」20.4%、「やや過重になった」
 21.2%)、精神的ストレスについても、「強くなった」との回答が54.4%
 (「かなり強くなった」27.7%、「やや強くなった」26.7%)に上った。
 今後に対する不安感を「経営全般」「休業時の収入確保」「引退後の収入確
 保(年金や退職金)」のそれぞれについて聞いたところ、「かなり不安」
 「やや不安」を合わせた割合はそれぞれ66.6%、83.1%、72.8%だった。
 日医の中川俊男常任理事は、病院勤務医だけでなく開業医も、過重労働や精
 神的ストレスにさいなまれていると指摘した上で、「地域で理想の医療を追
 求する医師を失わないためにも、病院勤務医と開業医をそれぞれ評価すべき」
 と強調した。”

 → 開業というのは独立経営と同じですから、
   ストレスが高まるのは当然です。
   年収平均を公表しないのは明らかな不誠実では?


診療報酬の全体的な底上げを(reuters)
http://www.excite.co.jp/News/society/20090904/Cabrain_24113.html

”11の病院団体でつくる日本病院団体協議会では、来年度の診療報酬改定に向
 けて入院基本料の増額などを主張している。議長の小山信彌さん(東邦大医
 療センター大森病院長)は、エビデンスや国民のコンセンサスを得た上で、
 急性期病院だけでなく開業医などへの評価を含めた診療報酬全体を底上げす
 る必要があると考えている。(高崎慎也)
 〔中略〕
 ―民主党は、急性期病院の入院診療報酬を充実させる考えを示しています。
 そのためには、国民のコンセンサスが必要になるでしょう。今の日本の経済
 状況を考えて、本当に大幅アップが可能なのか。確かに国民の命や健康を守
 ることは重要ですが、例えば一気に1.2倍にするとなれば難しいと思います。
 5-10%のアップを第1段階とするのが妥当ではないでしょうか。その上で、
 最終的な目標を1.2倍に置いてもよいでしょう。ただし、診療報酬を上げる
 には、国民や患者さんに「その分のお金を払ってもいい。それだけ質の高い
 医療を受けている」と実感していただくことが必要です。いきなり2割アッ
 プといっても、誰も納得しないでしょう。患者負担が増すだけです。
 ―診療報酬の全体的な底上げには、国民のコンセンサスや、エビデンスの積
 み重ねが必要だというお話でした。それでも全体的な底上げは必要だとお考
 えですか。
 日本の医療を“地べた”で支えている医療機関がたくさんあります。いわゆ
 る「ビルクリニック」には確かに問題がありますが、365日24時間、電話が
 掛かってくれば患者さんのところに駆け付けるような、一生懸命やっている
 開業医がたくさんいるのです。ここをつぶしてしまえば、日本の医療は本当
 に駄目になってしまいます。病院が良くて、開業医が悪いという構図ではな
 いのです。

 診療報酬を部分的に加算したとしても、こうした開業医が対象から漏れたら、
 最終的にはつぶれてしまいます。開業医などを守るためにも、医療費の全体
 的な底上げが必要なのです。例えば、産科病院だけを手厚く評価しても、そ
 この患者さんが脳梗塞や盲腸になったりすれば、誰が診るのでしょう。小さ
 くても総合的な診療を行っている医療機関が救急を担当して、その地域の医
 療を支えているのです。「お金がないから重点的に加算する」という考え方
 もあるでしょうが、医療現場全体が疲弊しているのですから、全体的な底上
 げは必要だと思います。”

 → とても尊敬すべき人柄の良い方ですが、
   理系なのにどうして計算ができないのでしょうか。
   税負担がこれだけ低くて医療予算を増額できる筈がない。
   医師が自ら所得税率の引き上げを容認するのが不可欠です。
   (日本国民の税負担は、欧州諸国よりも遥かに軽い)

   また、良心的な開業医だけではないことを
   国民は身近な事例でよくよく理解しています。

   説明して欲しいのは、なぜ低い税負担を無視するのか、
   そして診療報酬の差別的な格差です。
   どう見ても政治的圧力・既得権にしか見えません。


▽ この本を見れば、問題点が明白





『医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か』(小松秀樹,朝日新聞社)


多くの勤務医が「日本医師会を開業医の利害を代弁する団体と見ている」
と著者の小松氏が明言されています。

どのようなプロパガンダを用いても、
診療報酬と税負担の問題に触れなければ偽物とすぐバレます。
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