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流出雑記 

3月2日のこと

2008年03月02日 | Weblog
朝8時、出町柳から京阪に乗る。
途中乗り換えた谷町線で向かいに座っていたおそらくホームレスと思われる男性が新聞紙の下のところ、新刊の広告が載ってるあたりを破っては丸めてポケットにしまっていた。
何か彼にしか読み取れないメッセージがそこに記されているかのような不思議な任務感を漂わせる作業だった。
その横では別のおじさんが「極ウマ」という競馬新聞に見入ってボールペンで印を入れている。

今日は天王寺、大阪市美術館の地下にあるアトリエで午前午後続きの仕事。
植物園の中に美術館があり隣には動物園もある。

ここに仕事に来たときの楽しみは植物園の出口にある大きな園芸店と昼休憩。
春はバラのアーチの下でお昼を食べる。今は梅がちらほら。

家を出る間際に冷蔵庫にあったごはんで咄嗟に握ったおにぎりをかじりながら日曜日の親子連れ、老夫婦、恋人たちを眺める。
日曜にこんなとこでひとりというのもなあ。

美術館では日展をやっていたが入場料1000円て。

宝塚造形大の卒展もやっておりそっちはタダなので覗いてみた。
生徒が少ないようで、卒業生以外の回生の作品も入り交じり展示されている。

彫刻でおもしろい作品があった。木彫の運動靴。
靴の布のしわ、履きくたびれた感じもちゃんとあり、紐まで彫られている。
こういう衣類が抜け殻のようになっている彫刻が好きなようだ。

3年ほど前に東京に行った時、たまたまやっていた森淳一という彫刻家の個展で、座っているロングワンピースのドレープだけの白い大理石で出来た女性像にものすごく惹かれた。
硬いもので出来た布の襞や皺に弱い。


あと彫刻はカミーユ・クローデルがロダンと距離をとった後に作った瑪瑙で出来た小さな作品が好き。
カミーユの生涯を描いた「カミーユ・クローデル」というタイトルの映画を見たがそれはイマイチだった。

午後の部を終え、くったりしてまた電車に乗る。

この頃輸入食品店に頻繁に出没します。今日はカナートの。
エスニック調味料を見るのが楽しくて。

バインミーというベトナムのサンドイッチがある。
フランス植民地時代の名残でベトナムにはパン食の文化が根付いている。
バインミーとはバゲットにレバーペーストを塗り、蒸し鶏やハム、レタス、パクチーなどをはさんでナンプラーをかけたものらしい。そういうハーフのような料理には興味をそそられる。
ベトナムのバゲットはフランスのより中がふわふわしてるそうです。
作ってみたいのだが、レバーペーストに足止めされていた。
レバーがあまり得意ではないのと、値段が高い。
鴨レバー缶という未知の素材になかなか勇気が出ず。
だったら抜きで作れば良いのだが、レバーが味のポイントになっているようで、それならなあと思いつつ。

前にニラレバー炒めにチャレンジしたがほとんどニラしか食べられなかった。
王将だったのがまずかったのか。

あとラム肉とカニ味噌もあんまり。

今日はベトナムのお汁粉、チェーを真似ようとココナッツミルク缶とゆであずき缶をあけて缶を洗いながら切り口で親指の付け根をザックリいった。こういう地味な怪我の血はなぜかしつこく止まらない。
小さい頃にお手伝いでシーチキンとマヨネーズを和える時、缶の端に気をつけるようにっていつもマミーが言ってたわ。
 



牛のような土曜

2008年03月02日 | Weblog
9時前に起きる。
3月だ。
明日の仕事の確認の電話(ほんとは2日前までにしないとダメ)を慌ててかける。
「○日の○時からモデルに伺う○○です。よろしくお願いします。」 というだけなのだが。

楽しみにしていた昨夜焼いたぼちゃのスパイスチーズケーキを賞味。 

これがあんまり美味くない。
食べれなくはないが想像とは違うものになっていた。
先週作ったココナッツかぼちゃケーキはうまくいったのに。
そんなんでガックリきてコタツの中でもそもそしてたらどうも眠くなってそのまま寝てしまった。

そして気付いたら1時。

あらすじも全然覚えてないがこんな夢を見た。

誰か「バタイユは読んだ?」
私 「マダムエドワルダと眼球潭くらいしか覚えてないです。」
誰か「あかんなあ。もっとちゃんと読んだ方が良いよ。」


今日は母校の大学の卒業制作展に行こうと思っていた。

身支度をしナルシス・ロドリゲスという香水をつけてみた。試供品だ。
私は香水をあまり買う事が無い。学校で作るのが月に2本ペースで増えて行くのでなんだかよほど気に入らない限り店先で試してふーんと思って帰る。
自分がつける事も実験精神で成分や香り変化の観察ためにつける事が多い。
つけてすぐフェンネルのようなスパイシーな印象 アルデヒドのにおい ラクトン…  
まだ細かく嗅ぎ分ける事ができない。鼻につく特徴的なにおいだけ感じる。

自転車で美術館へ
北白川を走り哲学の道で曲がって川沿いを走る。
ナントカ植物園という小さい花屋を見つけた。2種類ほしいスミレがあった。

美術館にたどり着く。一先ず暖をと自販機をさがす。
この寒いのにコンビニの前でひとり缶ビール片手に立っている人がいた。
知り合いだった。

こらから観るというので一緒に向かう。
彼はひとつ上で、音楽活動をしたり詩を書いたりしている。
時には舞台にも出る。今年の映像コースの卒業作品に出演し、それが賞をとったので見に来たそうだ。
最近うちの近所に越して来たところ。近くのコインランドリーの場所を説明する。

美術館の中で彼は映像ブースへ私は展示を見たかったので分かれた。
デザイン系の展示の中に太平洋戦争末期の人間魚雷「回天」について調べて本にしたものがあった。
作者は特攻訓練基地のあった山口県 大津島の出身の女性。
本には、回天の構造、家族に宛てた最後の手紙、回天に乗った海兵の顔写真、下には年齢と名前も載っている。
18才 21才 23才… 皆とても若く、美男が多い。
あまりに堂々とした確固たる決意と家族への感謝の手紙。それを書いたペンを握る手を思った。

本を閉じて振り返ればなにかしらの塊が転がっていたり、おしゃれな感じのものがあったり、メディアアート的なものがあったり。様々な比重であらわれるものに観る方もギアを切り替えないとわけがわからなくなる。
美術館で映像の作品を見るのがあまり好きではないので映像コースは通りすがった。別の上映会があるのでその時に。

2年前、私の卒業作品は舞台の上演だったので美術館での卒展に思い出は無いが、高校の卒展は同じ市美術館だった。
最終日、大きすぎて置き場の無い自分の作品の一部をどうしても壊さなければならず泣きながら壊した思い出がある。
残骸を人に見られまいとゴミ袋2重にして持ち帰った。


外に出ると石やきいも~ 悩んだけどスルー。
帰りにガケ書房による。
〈殺し文句〉からはいる哲学入門という恥ずかしい本を買ってしまう。

ここ数日エスニック料理ブームが続いている。
一昨日は生春巻き。
昨日はコン・ガーというベトナムの鶏とご飯を一緒に炊いたもの。

今日はバインセオ。ベトナム風お好み焼き。生地に上新粉とココナッツミルク、ターメリックが入り、もちもちしている。
切ってレタスに包みヌックチャムというナンプラーやレモン、酢、砂糖、にんにく、鷹の爪の入った甘辛酸っぱいたれをつけて食べる。 
これおいしい。

梅ちゃんはレタスの端をかじっていた。