エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

「しきみ」の花

2015年03月11日 | ポエム
昨日は、東京大空襲70年。
今日は、3.11東日本大震災4年である。

何をもって悼むのか。
忘れてはいけない出来事なのだ・・・けれど忘れ去られようとしている。
風化が進んでいる。

けれども、未だに23万人の方がたが避難生活を余儀なくされておられる。
その事実を忘れてはならないのである。



しきみの花で、哀悼を捧げようと思ったのである。
昨日の朝、花を探しに出かけた。
ほぼ当たりをつけて出かけたのである。

しきみの花にレンズを向けた刹那、風が吹き雨が降ってきたのだ。



気温は急激に下がり、雪交じりとなった。
涙雨なのかもしれない・・・と思った。







「めくるめく移ろう節季しきみ咲く」







果実が猛毒で「悪しき実」がなまって「しきみ」となったのである。
従って、花言葉は・・・
「猛毒」である。
けれど、下記のような意味合いから仏前草として一葉を捧げたいのである。



シキミ(樒)は俗にハナノキ・ハナシバ・コウシバ・仏前草という。
弘法大師が青蓮華の代用として密教の修法に使ったと言われる。
青蓮花は天竺の無熱池にあるとされ、その花に似ているので仏前の供養用に使われた。
なにより年中継続して美しく、手に入れやすいので日本では俗古来よりこの枝葉を仏前墓前に供えている。
密教では葉を青蓮華の形にして六器に盛り、護摩の時は房花に用い、柄香呂としても用いる。
葬儀には枕花として一本だけ供え、末期の水を供ずる時は一葉だけ使う。
納棺に葉などを敷き臭気を消すために用いる。

とものの本にある。



「しきみ」は、花や葉、実、さらに根から茎にいたる全てが毒である。
種子にアニサチンなどの有毒物質を含み、特に果実に多い。
食べれば死亡する可能性がある程度に有毒である。
実際、シキミの実は植物としては唯一、毒物及び劇物取締法により劇物に指定されているのである。
(毒物及び劇物指定令(昭和40年政令第2号)第2条第1項第39号「しきみの実」)

万葉集には次の歌がある。

 奥山の
 樒が花の 名のごとや
 しくしく君に
 恋(こ)ひわたりなむ

         万葉集
          大原今城(おおはらのいまき)

3.11犠牲者及びまだ見つからない犠牲者に哀悼の誠を捧げる



      荒 野人