エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

三椏の花

2015年03月05日 | ポエム
この花は、黄花である。
三椏は、山村で栽培されている。
産地は、岡山、松山、松江などの山間部である。



黄の花であるれれど、種によっては赤花を咲かせる。
東京ではなかなか見られない。
けれど、虎ノ門のホテル・オークラの近くの官庁の生け垣で見る事が出来る。







「三椏や伸びのびとする枝分かれ」







この三椏栽培は、汚れ仕事であり力仕事である。
山から、枝を伐り取り里に下ろす。

樹皮を剥いてしまえば、重かったあの荷がバカらしくなるほどである。
枝を伐り、里に下ろすのはまだ寒さの残る冬の終わり頃である。



樹皮を剥き、氷が溶けたばかりの川の水で綺麗にする。
剥いたばかりの樹皮は「黒皮」。
川で晒したものは「白皮」と称する。

飾り物にも使われる三椏は、晒して白くなった三椏を「庭先」で取引する。
庭先で取引した方が、高嶺で売買される。



加えて、樹皮を剥いた枝は三つに分かれていて綺麗な白である。
生花などに活用される。

花が開いたら、そっと鼻を近づけるが良い。
馥郁として、鼻孔をくすぐる甘さがあるのである。



      荒 野人