鎌仲ひとみ監督の新作です。
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「小さき声のカノン ―選択する人々」69点★★★★
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“核”をめぐる三部作を経た監督が、
福島の原発事故に向き合ったドキュメンタリー。
福島に留まる決断をした母、移住を決断した母、
チェルノブイリ事故後のベラルーシで活動する女性……と
さまざまな立場と方法で、
放射能汚染から子どもを守ろうとする“女”たちの声を集めたドキュメンタリー。
女たちの、というのは
本当に「パパ」の存在がほとんど、1割も出てこないから(笑)
取材対象者に気さくに話しかける監督のフランクさが
そのまま映画の見やすさとなり
声をあげる行動につきまとう、とっつきにくいイメージをすり抜ける。
3.11以降、さまざまなドキュメンタリーがあったけれど
避難したくともできない、リアルな事情が
一番、よくわかった作品かもしれません。
困難な中でも諦めずに
「間違いは正していかなくては」とがんばる
彼女たちの前向きさには心動きます。
あと
ベラルーシの状況がやっぱり興味深かった。
現地の専門家が話した
「チェルノブイリ事故後に甲状腺の検査法やシステム作りなどを
日本人が我々に教えてくれたのに
なぜいま、日本人からそのことで取材を受けているのかわからない」には
ガン、ときた。
なんという
シュールな状況なんだろう。
性差なんかをとやかく言うわけじゃまったくないんですが
男たちの側からこの問題を見たバージョンも
ぜひ見たいと思いました。
★3/7(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
「小さき声のカノン ―選択する人々」公式サイト