ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

キャプテン・フィリップス

2013-11-25 21:45:30 | か行

実話をリアルに映画化。


「キャプテン・フィリップス」68点★★★☆


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2009年3月28日。

ベテラン船長のリチャード・フィリップス(トム・ハンクス)は
ケニアに向けて、
コンテナ船で援助物資を運んでいた。

航海ルートのソマリア海域では
最近、海賊の活動が激化しており、
フィリップスは警戒をしていた。

だが、その日。

フィリップスは船の後方から近づいてくる
2隻の不審なモーターボートに気づく――。

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「ボーン」シリーズ、「ユナイテッド93」の
ポール・グリーングラス監督が
09年に世界中でニュースになった事件を映画化。

おなじみの緊迫感と臨場感満点のカメラワークで
海上でのサバイバルをリアルに描いてます。

最初は船酔いするかと心配したけど、
なんとか大丈夫だった(苦笑)

わずか4人ながら
武装しているため驚異となる海賊たち。

ベテラン船長が
様々な手段と知恵で回避を試みるあたりがおもしろく、

その後の
船内でのスリルでまた盛り上がり
続くピンチで、さらに盛り上がり。

と、手に汗は十分握るんです。

が、
特に示唆や“あとに残る何か”が感じられないのが残念。

「ユナイテッド93」にはあったと思うんだ。


実際の出来事や事件を
“大変だった体験談”に終わらせないのは
これだけのベテラン俳優をもっても、監督をもっても
なかなか難しいのだと
改めて感じるのでした。

★11/29(金)から全国で公開。

「キャプテン・フィリップス」公式サイト
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劇場版SPEC ~結~ 爻の篇

2013-11-24 20:24:46 | か行

終わった。とにかく終わった・・・(笑)


「劇場版SPEC ~結~ 爻の篇」57点★★★


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予知能力や念動力など
SPEC(スペック)を持つ犯罪者に立ち向かってきた
当麻(戸田恵梨香)と瀬文(加瀬亮)。

人類VSスペックホルダーの戦いを止めようとしたものの、

しかしスペックホルダーを殲滅させる
“シンプルプラン”がついに発動し、

当麻もそのウィルスに感染してしまう。

苦しみながらも、
ウィルスの謎をつきとめた当麻は

すべての鍵を握る
“J”なる人物に行き当たるのだが――?!

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2010年10月のテレビシリーズからはじまった
この長~いお話。

これにて完結、で
ひとまず解は得られると思います。


スペックを持つ者の存在意義とはなんだったのか、
向井理とか大島優子は誰なのか、とか。

そんなに複雑なことは言っていないし、
ワシでもわかるほどでしたので(笑)

テレビシリーズから
どんどん大きく話を広げていかなきゃならなかった苦労も感じるけど、
意味なく複雑にして「煙に巻く」感じにしなかったのは
いいなと思いました。

あの人にはちょっと気の毒な終わりかたの気もするけれど、
まずまずの帰結だと思います。


尺は85分かそのくらいで
「漸の篇」のモタモタを、一挙に取り戻す盛り込み具合なので
まとめてガッと見るのが最適かと。


どんだけ引っ張るんだーとか
文句もいいながら見てきたけど
終わっちゃうと思うと、やっぱりさみしいね。

★11/29(金)から全国で公開。

「劇場版SPEC ~結~ 爻の篇」公式サイト
コメント (2)
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モンティ・パイソン ある嘘つきの物語~グレアム・チャップマン自伝~

2013-11-24 19:49:03 | ま行

いろんなタイプのアニメーションが見られるのが
楽しいですわ。

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「モンティ・パイソン ある嘘つきの物語 ~グレアム・チャップマン自伝~」68点★★★☆

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伝説のコメディグループ“モンティ・パイソン”の中心人物
グレアム・チャップマン。

1989年に48歳で亡くなった彼が
事前に、自らテープに吹き込んでおいた「自伝」をベースに

14人のクリエーターが
アニメーションを作り

それをつなげて彼の人生を描いた作品。


ケンブリッジ大出身で、医師免許を持っていた
グレアム・チャップマンが
どのように伝説のお笑いを作っていったのかが描かれ

ほとんど史実のようですが
「どこまでホントかはわからんよ~」と
自伝自体をも、ジョークにしてる感じです。

パイソンズのメンバーだった
テリー・ジョーンズやテリー・ギリアム、
ジョン・クリーズ、マイケル・ペイリンも声の出演をしとります。

ワシそんなに
“モンティ・パイソン”ハマってないんですが、

様々なテイストのアニメーションを見るだけで
かなり楽しめました。

★11/23(土・祝)から新宿ピカデリー、12/7(土)からなんばパークシネマで各2週間限定公開。

「モンティ・パイソン ある嘘つきの物語~グレアム・チャップマン自伝~」公式サイト
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遙かなる勝利へ

2013-11-22 22:36:25 | は行

20年越し(!)の3部作の完結編。
すごい精神力っちゃ精神力。


「遥かなる勝利へ」69点★★★★


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1943年。

スターリンの大粛正の犠牲となり、
一度は死んだとされていた
元陸軍大佐コトフ(ニキータ・ミハルコフ監督)は

いま、ドイツ軍と戦う最前線にいた。

そこに
コトフの因縁の相手ドミートリ大佐(オレグ・メンシコフ)が訪ねてくる。

同じ頃、コトフの娘ナージャ(ナージャ・ミハルコワ)は
父が生きていると信じ、看護婦として従軍していた。

親子は、戦火を超えて再会できるのか――?

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「太陽に灼かれて」(1994年)、
そして「戦火のナージャ」(2011年)から続く、
ほぼ20年越しの3部作完結編。すげー(笑)

前作は凄まじい戦闘描写があったけど
今回はそれよりも陽光のシーンが多く、ホッとできて助かりました。

ただ
妻は若返ってるし、敵味方は反転するし、
なんだか白昼夢、それも悪夢を見ているような感じもあり、

とにかく20年に及ぶ
監督の執念を猛烈に感じる作品です。


蚊(!)の目線から始まる冒頭、
ネズミやクモなど
小さきものの視線を効果的に使うのも巧みだし

ラストのドラマチックさも、
いやあ、やはりニキータ・ミハルコフ監督以外には出来ないだろう、と
いまのは人には出来ないかも、と威力抜群す。

ただ、150分の長丁場。

あまり力を入れて観るとしんどいので、
リラックスして望むべし。

★11/23(土・祝)シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテほか全国順次公開。

「遙かなる勝利へ」公式サイト
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ポリス/サヴァイヴィング・ザ・ポリス

2013-11-20 23:31:58 | は行

この歳になると、
ここに含まれてる意味が、よくわかるなーと。

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「ポリス/サヴァイヴィング・ザ・ポリス」71点★★★★


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1970年代半ば~80年代に活躍した
イギリス発のロックバンド「ポリス」。

ベース&ボーカルのスティング、
ドラムのスチュワート・コープランド、
ギターのアンディ・サマーズの3人組のうち、

アンディ・サマーズの自伝を基に、
彼の視点から「ポリスとはなんだったのか」を描くドキュメンタリー。


過去映像と、07年の再結成ライブの様子を効果的にリミックスしており、
なかなか魅せるドキュメンタリーです。

それに
いや~曲も懐かしい!(笑)けど、

こう、まざまざと
スティングのおっそろしいほどのカリスマ性を見せられると
ここに含まれる意味がよーくわかるというか。


この映画に描かかれているのは
二番手や、センターのその後ろにまわる
人間の生き様なんですよ。


これは
そんな自分の役割にもがき
抗いながら

別の表現手段(写真ね。)を見つけ出したり、
サヴァイブしてきたアンディ・サマーズの
この歳になって、ようやく消化した歴史であり

最後っ屁なのだ(笑)

この人、あるいは一番
自己顕示欲が強いのかもしれないな。


それにしても
再結成ライブの様子。

27年を経てオヤジになった3人が、
しかし昔と変わらぬ様子で言葉を投げ合う。

いろいろあっただろうけど、
衝突と苦しみを経て得た「生涯の友」のひとつの形なんだろうな。いいな。


なかでもスティングの、スタイル含めたストイックっさは
やっぱり輝いてるわけで。

ワシ、男ならスティングかデヴィット・バーンが
自分の理想系かもなア(笑)
女でいうと、シャーロット・ランプリングなんすけどね。わかる?(笑)


★11/23(土・祝)からTOHOシネマズ渋谷、TOHOシネマズ名古屋、TOHOシネマズなんばで公開。ほか全国順次公開。

「ポリス/サヴァイヴィング・ザ・ポリス」公式サイト
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