ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

レッドマリア それでも女は生きていく

2013-11-02 17:15:02 | ら行

派遣切りとか、貧困とか
身近すぎる問題なんで、
ちょっと観てみてほしいす。


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「レッドマリア それでも女は生きていく」71点★★★★

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フィリピン・韓国・日本で
それぞれ
娼婦をしていたり、派遣切りにあったり、貧困を抱えている女性たち数人を
韓国人女性監督が追ったドキュメンタリー。

題材はシビアですが
しかし誰かや国、政府などを
声高に非難したりする作品ではなく

ユーモアも交えつつ

「とかく、生きていくのは、大変だあねえ」という感じで

「女にとって仕事とは?」
「女性が生きていく道とは?」という、
誰にも身近な問題を描き

映画自体が暗くなく、
どこか視界が開けていて、明るいのがいい。


特に我々日本人にとっては
パナソニックに派遣切りされて闘った
ニュースでも見覚えのある女性や
代々木公園でホームレスをする
けっこう有名な若い女性なども登場するので

決して他人事じゃない切実さが、より身近に感じられて
見応えあると思います。


全員が実名で登場し、
「お腹」まで見せて写真を撮らせてたり
(この場面は必要だったかどうかは「?」だけど)
監督がとても取材対象の信頼を得ていることがよくわかる。

登場するどの女性も印象に残るけど
かつて日本軍にされた仕打ちを
50年経ったいま、ようやく話せるようになった、
フィリピンのおばあさんの存在が大きかった。

「なぜ、いままで話せなかったのか?」の答えにも
とても納得できるものがあって、
これには、新しい目が開きました。

あと日本で行われた
さまざまな立場の女性の意見交換会みたいなシーンにも
考えさせられた。

女性の問題は、
自分も含め、女たちが
“自分と違う女”を認めにくかったり、

一方で
同じ困難な状況にいる女たちも
なかなか横につながれないことなんだなあ、と
つくづく思いました。

女って、難しーねえ。


★11/2(土)からシアター・イメージフォーラムで公開。

「レッドマリア それでも女は生きていく」公式サイト
コメント
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