ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

mid90s ミッドナインティーズ

2020-09-03 23:50:37 | ま行

あー、なんで、泣けるんだろ(涙)

 

「mid90s ミッドナインティーズ」74点★★★★

 

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1990年代半ばのロサンゼルス。

13歳のスティーヴィー(サニー・スリッチ)は

若くして子を持ち

いまは一人で奮闘する母(キャサリン・ウォーターストン)と

威圧的な兄(ルーカス・ヘッジズ)と暮らしている。

 

家庭に居場所のないスティーヴィーは

ある日、街のスケートボードショップで

ボーダーの少年たちと知り合う。

 

少しだけ年上の彼らは、

スティーヴィーにとって、とてつもなく自由で、まぶしく見えた。

 

彼らの仲間になろうと

スケボーを始めたスティーヴィーだがーー?!

 

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「ムーンライト」(16年)や

「レディ・バード」(18年)A24作品にして

俳優、ジョナ・ヒルの初監督作。

 

自身の10代の想い出を基にしたという

半自伝的な話で

 

いやー、なんでもないのに

なんで泣けるんだろ(笑)

 

10代のころ

家ではない「居場所」を求めて出会った人たち。

 

とにかくその存在を追いかけたかった、少し年上の先輩や女の子。

すべてがマジックで憧れだった、まぶしい光や

甘く、しかし苦くて、渋い経験。

 

どんな世代の誰もが持ってるであろう、そんな記憶を

思い出させるんですよね。

 

それは、ビビッドな登場人物の造形や、みずみずしい映像、

ドンピシャな選曲などの的が、実に的確だからだと思う。

 

すごくうまくできた物語、とかとは

正直、違うんです。

でも、すくうと、手のひらからサラサラと流れてしまうようなこの感覚を

なんだか愛おしく、なんども味わいたいと思ってしまう。

 

そこが、いいんですよねえ。

 

奇しくも、90年代後半~00年代の

スケートボーダーズたちの12年を追ったドキュメンタリー

「行き止まりの世界に生まれて」も同時期公開。

併せてご覧いただくと、奥行き倍増です!

 

★9/4(金)から公開。

「mid90s ミッドナインティーズ」公式サイト

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