ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

イサドラの子どもたち

2020-09-27 01:42:52 | あ行

ダンサー出身の監督による作品。

これ自体がダンスのような。

 

「イサドラの子どもたち」71点★★★★

 

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20世紀初頭の舞踊界に

革命を起こした伝説のダンサー、イサドラ・ダンカン。

 

1913年、彼女は二人の子どもを事故で亡くしてしまう。

 

悲しみと痛みに苦しみながら

ダンカンは亡き子どもたちに捧げるソロダンス「母」を創作した。

 

それから100年。

現代を生きる女性たちが

それぞれの解釈で、ダンカンのダンスを継いでゆく――。

 

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コンテンポラリー・ダンサー出身の監督による作品。

 

4人の登場人物を順番に追った映像は

ドキュメンタリーのようでもあり、

 

余分をそぎ落としたミニマルさと

ナチュラルで静謐な空気が実に美しく

この作品そのものが、ダンスのようでありました。

 

最初のパートは

イサドラ・ダンカンの自伝から、この悲劇を知り、

彼女が残した踊りの譜面(そんなものがあるんだ!ということに驚いた)を研究しながら

「母」のダンスを振り付けていく若きダンサー、アガト。

悩みながら一足、一動き、一振りづつ

自分のなかにダンスを落とし込み、表現していく彼女の動きひとつひとつに

見入ってしまう。

 

次は

障害を持つダンサーに、対話をしながら振り付けを教える振付師。

2人の関係性、その振動が

ダンスに現れるようでおもしろい。

 

そして、最後に登場するのは

「母」のダンス公演を鑑賞し、

その余韻に浸りながら家路につくアフリカ系の初老女性。

いったい、彼女とこのダンスの接点はなんなのか――?

 

すべてのパートが淡々と訥々と描かれるのをみながら

芸術の豊かさ、大切さがじわじわと、体に広がっていく。

 

芸術を探求し、それに触れることこそ

人間に与えられた最上の喜びでなのではないか?

いま、このときに

あらためて考えさせられました。

 

劇場や美術館に行きたくなります。

 

★9/26(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。

「イサドラの子どもたち」公式サイト

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