ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ムーンライト

2017-03-30 20:31:28 | ま行

後出しみたいだから言わなかったけど
作品賞はこれだと思ってた(←ゆってるじゃん。笑)


「ムーンライト」77点★★★★


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治安の悪いマイアミの公団住宅で
母(ナオミ・ハリス)と暮らす少年シャロン(アレックス・ヒバート)。

体が小さく、内気な彼は
学校で“リトル”とあだ名をつけられ
“オカマ”だといじめられている。

ある日、いじめっ子たちに追いかけられた彼は
フアン(マハシャーラ・アリ)に助けられる。

麻薬のディーラーで強面のフアンは
なぜかシャロンを気にかけ、面倒を見てくれるようになるが――。


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これは応援したくなる映画!

一人の若者の人生を
「幼少期」「少年期」「青年期」に分けて
別の俳優に演じさせる手法もおもしろいし

とにかく
フレッシュさと、リリシズムに溢れている。

人物の周りをカメラが360回転したりする、ラフで自由なカメラワーク。
月夜の闇、明け方のブルーなど
主人公たちの肌を照らし、たゆとう光。

なにより好きなのは
「察してくれよ」なところですね。

麻薬中毒者や売人がはびこる
危険なマイアミの地域が舞台なのに
過激な暴力描写もなく、

3つのパートに飛ぶ
そのあいだの説明もなく。

すべては
言わずもがな、言わぬが花。

そんななかで描かれる
主人公の迷いや届かぬ想いに、キュンとする。

日本的な
わびさび、さえ感じるなあと思った。

監督は「ウォン・カーウァイやゴダールに影響を受けた」と
語ってるんですが

ツイッターで見つけた動画で
「ウォン・カーウァイ監督作との類似点」
というのを見て
すんごく納得!いきました。

コレ作った
Alessio Marinacciさんはスゴイ。


でもね、正直、試写では
“ダブル・マイノリティ”(=ブラックでゲイ、ということ。「ぼくの魔法の言葉」のロジャー監督が言ってた)
という題材ゆえか、
首を振りながら出て行く年配の方も散見した。

そういう場面に出くわすたびに
壁ってまだまだあるんだよなあと、ホント実感するんですよね。

そんなもの越えて、
この映画が羽ばいていくことを願ってるし、
きっと羽ばたくと思う!


★3/31(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。

「ムーンライト」公式サイト

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2 コメント

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こんばんは (ちっぷ)
2017-03-30 21:46:35
この作品は観たいと思ってました。
以下ぽつおさんの言葉を借りますと、「フレッシュさとリリシズムに溢れている」とか「日本的なわびさびさえ感じる」など魅力に溢れている1本だと感じます。
確かにダブルマイノリティの壁は厚いかも知れないけど、きっと今作を観れば納得するはずです。
ところでぽつおさんの『ラ・ラ・ランド』に関するその後の受け止め方に変化はありましたか?
返信する
ラララ~ (ぽつお番長)
2017-04-03 00:21:30
ラララの受け止め方の変化?
ううん特にないですよ~
返信する

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