ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

華氏119

2018-10-30 23:44:42 | か行

 

マイケル・ムーアはやっぱり怒ってる。

でも、市民たちも相当怒ってる!

 

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「華氏119」73点★★★★

 

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2016年、トランプ大統領誕生を

ほぼただ一人、正確に予言し、警鐘を鳴らしていた

マイケル・ムーア監督。

(そうそう、そのツイートも読んだなあ)

 

その彼が、

2016年11月9日、トランプ大統領が本当に誕生しちゃった!日をタイトルに

「なぜ、こんなことになったのか?」を暴いていくドキュメンタリーです。

 

圧倒的にヒラリー優勢と思われていた状況が

どこで反転したのか?

 

その日、世界が直面した「暗黒の」様子にはじまり、

ミシガン州の汚染水問題に、フロリダ州の銃乱射事件と

話はさまざまに飛ぶ感じもするんだけど、

最後には収束され、

「いま、声をあげないと!」という

そのライブ感が、またリアルです。

 

 

映画は11.9の悲劇から始まり

まずはムーア監督の出身地であるミシガン州フリントの

汚染水の問題に進みます。

住民誰もが口にする水道水に、有害な鉛が含まれていた!という恐ろしい話なんですが

実は

それはトランプの旧友だというスナイダーという富豪が

ミシガン州知事に就任してから始まった問題なわけですね。

 

うん、つながった。

 

そして、この問題にシラを切り続ける知事に

怒れる住民たちが立ち上がり、

下院に立候補もする。

 

そのほか、低賃金に怒れる教師たちのストや

高校での銃乱射事件で、級友を失った子どもたちが進まぬ銃規制に立ち上がる様子など

全米で「このままじゃいかん!」と立ち上がった人々の姿が描かれる。

 

その勇気と闘志溢れる様子に、グッときます。

 

 

でも

事態は相当にやばい。かつ、切迫してる。

11月の米中間選挙を完全に意識した作りとタイミングで作られた本作には

「いま、変えないと、本当に手遅れになるよ!」という

強いメッセ―ジが感じられます。

 

 

そして、見ながら思うのは

マジでこれ、対岸の火事ではない、ってこと。

 

特に周囲を賛同者で固め、邪魔者を排除し、メディアを批判し、嘘をばらまくトランプに、

あの独裁者の過去と歴史を重ねて行くくだりには、

まさしく、現日本の事態ではないか!と鼻息荒くなります。

 

 

必要なのは、立ち上がり、声をあげること。

いま、やらねば、手遅れになる。

その強いメッセージは、日本にも跳ね返ってくると思いました。

 

★11/2(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。

「華氏119」公式サイト

コメント
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