フェルメール絵画のような光に照らされる
ヴィキャンデルの美しさよ!
「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛」69点★★★☆
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17世紀オランダ。
レンブラントやフェルメールが輩出され、アート黄金期だった時代。
孤児出身の美しい娘ソフィア(アリシア・ヴィキャンデル)は
歳の離れた富豪の夫(クリストフ・ヴァルツ)に嫁ぐ。
夫に愛され、安定した生活を手に入れたソフィアだが
子に恵まれないことに、不安と悩みを抱えている。
そんなとき、夫が「肖像画を描いてもらおう」と言い出し、
若い画家(デイン・デハーン)を連れてくる。
年齢も近い二人は
次第に意気投合するが――?!
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「フェルメール絵画の世界を小説にしたい」と思った作家の原作がもと。
まさにそのものです。
これぞコスチュームプレイの恍惚!
窓辺も差し込む光と影、繊細な衣装と美術、
アリシア・ヴィキャンデルの横顔・・・・・・
すべてが
フェルメール絵画そのままに美しく、堪能できます。
プラス、
17世紀にオランダで流行った「チューリップ投資」という史実が混じっていて
そんなの知らなかった!と
状況設定は新味があっておもしろいんです。
ただ、それ以外の部分は、かなり陳腐(苦笑)。
不妊に悩む若妻が、若い画家と出会い、
不倫の末に、ある企みを思いつく・・・・・・って展開ですからねえ。
ただ、ドロドロっぽいんですが
実は心根の曲がった人物はおらず、
みなそれなりの善意を持っている、という設計になっている。
ゆえに
わずかなあんばいでドロドロを回避しているところが、まだ救われるかなと思います。
歳の離れた夫役クリストフ・ヴァルツも
哀愁を感じさせて、いつもながら味わい深く。
しかし
あまりに愚かで単純な誤解が
いくつも積み重なるストーリーというのは
やっぱりイラっとするし、スパイス的に物足りないんですよねえ。
それに時代が時代とはいえ、
結局、子なし=不幸、子あり=繁栄と幸せとなる展開も
どうなんだろうね~とか、すねてみたりして(笑)。
★10/6(土)から公開。