ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

あまねき旋律

2018-10-05 23:47:08 | あ行

 

冒頭、聴こえてくる旋律にハッとする。

 

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「あまねき旋律(しらべ)」70点★★★★

 

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これは映画でなければならなかった。

 

インド東北部、ミャンマー国境付近のナガランド州。

 

そこに住むナガ族は、農作業や生活の合間に

不思議な高低差ある旋律の歌を歌う。

 

その歌と、彼らの暮らしを

インド南部出身の夫婦監督が、追ったドキュメンタリーです。

 

同じインドに生きていても

監督たちにとって、ここは「異世界」だったんでしょうね。

そしてこの先、残っていくかどうかわからない

部族の歌声を、映像と音声に焼き付けた意味は大きいです。

 

そこに村の老人たちの語りや、若者の語りを織り込み、

現状をよく理解させてくれる。

 

さらにラスト近くに、

この地の悲しい歴史と、リアルな現状が映されるんですねえ。

 

1950年代、この地域はインド政府から独立しようとして、政府と銃撃戦になり、

いまだインド軍に監視されている――という状況にあるんだそうです。

 

 

その土地に根付いていた人々を踏みにじる蛮行を

“人間”であるなら、許してはならない。

 

まだまだ知らないことが山ほどある歴史修得をしつつ、

驚き、怒りを感じ、込み上げてくるものがありました。

 

 

★10/6(土)からポレポレ東中野ほか全国順次公開。

「あまねき旋律」公式サイト

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