ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ツリー・オブ・ライフ

2011-08-09 18:27:26 | た行

テレンス・マリック監督って
クリエイター=創造主という意味で
やっぱ“ネ申”かも。

「ツリー・オブ・ライフ」81点★★★★

ブラピ×ショーン・ペンの競演でも注目されてますが、
いや~、観るとやっぱり
“テレンス・マリック世界”以外の何物でもないや、という。


1950年代半ば、テキサスのある町。

厳格な父(ブラッド・ピット)と
優しい母(ジェシカ・チャスティン)育てられた
3人の兄弟。

長男のジャックは
自分が父にとりわけ
厳しくされていると感じていた。


月日は流れ
大人になり、成功したジャック(ショーン・ペン)は

少年時代の記憶を蘇らせ、
父との確執の意味を辿ろうとする――。


この映画「よかった?」って
いろんな人に聞かれるんですが
「いい!けど、うう~~……」とうまく説明できない。

職業失格ですが(汗)
だって一言で説明するの、難しいんだもん!

ある家族の物語なんですが、
ストーリーで見せるのではなくて、

「生命とは何か」の模索であり
「神よ、答えてください」という主題を
あらゆる方法で可視化しよう、という作品なんですよねえ。

生命の起源、神の存在、
善良と利己……などの真理を
ものすごいスケールで描こうって超・壮大な話で、

だから
1950年代のアメリカの家庭から、
マグマたぎる原始の地球へ飛んじゃう。(驚!)

恐竜まで出てきたときには
一体どうなるかと思いましたが(笑)


でもその後、赤ん坊の目線から
「自分がかつて体験したであろう」ことを
プレイバックしていく体験が素晴らしかったです。

母親の匂いや、毛布の手触り、
目にするものにすべてに驚く感覚……といった
「幼児期の追体験」が見事。

っていうか、そもそも
憶えてるわけないのに、まあ懐かしいこと!

映像の魔術にかかる瞬間ですねえ。

ぜひ体験して欲しいなあ。


ただし、話として腑に落ちるかというと
そのへんは難しくもあり。

映像表現に終始した姿勢や
宗教的な偏重を
ある種、ストーリーの放棄と感じたり
受けつけない人もいるかもしれません。


まあ
そんなことはおかまいなしに
探究を続ける監督の徹底した姿勢に
身震いいたしますが。

それに
次男の子役がブラピに激似です!


特に
子どもを持つ人はぜひ見るべき作品かと。

いや~ホントネ申!

★8/12から全国で公開。

「ツリー・オブ・ライフ」公式サイト
コメント
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