ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ホームランが聞こえた夏

2011-08-25 21:29:33 | は行

チョン・ジェヨンって
どうしても島田雅彦氏に見えちゃうんだよなぁ……(笑)。


「ホームランが聞こえた夏」70点★★★☆


韓国の実話をもとにした作品です。


中学時代、天才ピッチャーだったミョンジェ(キャン・ギボム)は
ある日突然、聴覚を失ってしまう。

ろう学校に進学した彼だが、
自分の運命を受け入れることができず心を閉ざし、
野球から遠ざかっていた。


そのころ、プロ野球界のスター投手だった
キム・サンナム(チョン・ジェヨン)は
不祥事を起こし、
償いのため、ろう学校の野球部をコーチを命じられる。


耳の聞こえない弱小チームのコーチなんて、と
やる気ゼロのサンナムだったが

あるとき、偶然ミョンジェの投球を目にして――?!


「イイ話」なんだけど、
それに終わらず。

プッと笑わせる息抜き上手で、
韓国映画のいいところをちゃんと生かしてました。

やる気のないコーチ役、チョン・ジェヨンと衝突ばかりする
女教師役のユソンとの掛け合いや

彼のマネージャー役、チョ・ジンウンが
かなりいい。
笑えます。

しかも
「シルミド」の監督だけあって
ドラマ作りもしっかりうまいですね。


野球の話だけでなく、
「耳が聞こえないんだから」と
どこかで甘やかされ、世間から匿われていたであろう、
ろう学校の少年たちが、

社会でどう立ち、どう生きるべきか、
そして彼らを指導者は、どう教育すべきか、

そして健常者といわれる我々が
彼らにどう関わるべきかまでを
暗に込めてあり、なかなか深かったです。


ろう学校の生徒たちも
「アイドルみたいにハンサムですねえ」という
劇中のセリフに違わず、

みな紅顔、純朴そうな美少年たちばかりで
見た目にも楽しいです(笑)

ただ、野球シーンが丁寧すぎて
長いのが少々玉に傷。

2時間24分は、もう少し削れただろうな、と
思ってしまいました。

とかいって、ちゃっかり
ポロリ泣いちゃったけどね~~。


★8/27からシネマート新宿、シネパトス銀座ほか全国で公開。

「ホームランが聞こえた夏」公式サイト

発売中の『週刊朝日』9/2号「ツウの一見」で
金修琳(キム・スーリン)さんに
この映画についてお話を伺ってます。


修琳さんは、耳が聞こえないながらも
4カ国語を話す、パワフルで美しい女性。

彼女の著作
『耳の聞こえない私が4カ国語をしゃべれる理由』(ポプラ社)が
ホントにおもしろくて、勇気が出る!

「ツウ」とともに、ぜひ読んでみてください。
コメント
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