昨日、ちょろっと話に出た
「すべて彼女のために」(08年)監督の新作。
やっぱりね、おもしろいですよ
今、この人の作るものは。

「この愛のために撃て」80点★★★★




パリに暮らす看護助手サミュエル(ジル・ルルーシュ)は
妊娠中の妻(エレナ・アナヤ)と
生まれてくる子を心待ちにしながら、円満な日々を送っている。



あるときサミュエルは
病院内で不審な人物を見かける。
その後、帰宅したサミュエルは
いきなり何者かに殴られて失神。
目覚めると、愛する妻の姿はなかった――。

一体妻はどこに消えたのか?!
そこに一本の電話がかかってきて――。。


前作「すべて彼女のために」で頭角を現した
フランスの俊英・フレッド・カヴァイエ監督。


前作はポール・ハギスがすぐにリメイク権を奪取し
「スリーデイズ」(9/23公開)を作ったわけですが
これもリメイクの可能性あるかも?というほど
おもしろいす。

フツーのおじさんが愛のために
信じられないパワーを発揮させる、という組み立ては
「すべて~」と同じ。

今回はさらに
危機に直面した主人公の躊躇や、思考過程を徹底的に省き、
善良な一市民をいきなり「ポーン!」と
アクションのただなかに放り込む。


で、「いきなり、そうきちゃう?!」という
驚きがたまらなく快感(笑)


カヴァイエ監督って
もともとファッションや広告写真家として
活躍してたそうですが、
そぎ落としの美学というか
わずか85分で無駄なく、
コンパクトに要点のみをついてくるんですねえ。


観客の集中力を考えて「時間を使いきる」って感じ。
その姿勢がまず素晴らしい。


展開もスピーディーだし、
組み立てが巧みなんだなあ。
主人公の背景を描いたり、心理を描いたりで
2時間、3時間と
どんどん長くなるハリウッド映画と
まったく異なるベクトルを向き、

かつ、そぎ落としても
ちゃんとキャラが浮き上がってくる妙。


サスペンスアクションとしても
ハリウッドに遜色ないハラハラを実現する。
みんなが右向きゃわしゃ左、という精神こそ、
クリエイター魂。




好きす。


★8/6から有楽町スバル座、ユーロスペースほか全国順次公開。
「この愛のために撃て」公式サイト