season16 第7話「倫敦からの客人」の続編とも言うべき今回のストーリー
今話の立入(池内万作)のように、虐待やネグレクトなど“親の愛情を受けなかった”、あるいは、先天的なものから、《贖罪の心を持つことができない》《他者に対して感情を持てない》といった人間が存在する……という前提を是認するとして……
しかし、《贖罪の気持ちを持てない》⇒殺人という法則が成り立つのかは疑問
立入によると「完全に解放されるには死ぬしかない」などと言っていたが、犯罪が露見して追いつめられての自害だったので、《とりあえず、この世で生きていたい》というのが第一なのであろう。
となれば、殺人を犯すことは生きる上ではリスクであり、リスクを冒すには何らかのメリット(目的)があるはずだ。考えられるのは、
①『生きていくため』
Ⅰ.金品を強奪するのに付随した殺人
Ⅱ.犯罪を知られたため口封じ
Ⅲ.殺人を生業とする
②快楽や好奇心の為
③その他(他にもあると思うが、それを論理を展開するのは本レビューにおいてはあまり意味がない)
立入の場合、強いて当てはめるなら①-Ⅲと考えられるが、南井(伊武雅刀)は「贖罪の心を持たない」と言うだけで、殺人の動機や目的については語っていない。
前回の「倫敦からの客人」の時も同様なことを感じた。
今回はそれに加えて、さらに疑問に感じたことがある
それは、『南井のキャラ設定が変わっている』こと
「倫敦からの客人」で 右京は南井(伊武雅刀)の信条を
「影…犯罪者の中には贖罪の心を持つことができない者がいる。そんな犯罪者は自らの死でその罪を贖わせることが相応しい」
と言及している。番組サイトのストーリー欄にも「右京は、南井が歪んだ正義感から、更正不能と見なした犯罪者を死に追いやっているとの疑いを持つ」と記されている。南井本人が述べたことではないが、右京の推察なので間違いではないはずだ。
しかし、今回は立入に殺人を依頼しているおり、前回とは南井のキャラ設定が変わってしまっている。
となると、上記の右京の洞察は誤っていたことになる。
けれども、今回は右京自身も当然のように南井を“モリアーティ教授的存在”(犯罪者を操るボス)と考えている。
百歩譲って。右京が前回の時も、《南井=モリアーティ》と考えていたとしても、前話の時に犯人を操っていたのは南井と考え、もっと激しく追及するであろうし、倫敦時代においても南井を放置しないであろう。矛盾だらけである。(でも、甲斐享がダークナイトと気づかなかった件があるからなぁ(笑))
今回の事件についても疑問がある
今話の冒頭、南井が立入に殺人を依頼していた。視聴者には標的が右京であるように思わせていたが、立入によると右京にちょっかいを出したのはオプションだったとのこと。
となると、標的は南井と関わりがあった3人目の被害者となる。
殺害しなければならない理由はなんだったのだろうか?
立入は自害してしまったが(池内万作さん、相棒で2度目の自殺)、過去の犯罪を明らかにしないのだろうか?
ロンドンでの犯行は管轄外かもしれないが、彼の生い立ちや職歴、渡航歴ぐらいは明らかにすべきなのではないだろうか?
【その他の突込み】
ジャック・モラン(ニコラス・ペタス)は薬の運び屋だったが、密輸に使用したゴム製の袋をトイレに流すのは乱暴すぎ
第1話「ボディ」、第2話「ボディ ~二重の罠」、第3話「辞書の神様」、第4話「バクハン」、第5話「計算違いな男」、第6話「ブラックパールの女」、第7話「うさぎとかめ」、第8話「微笑みの研究」、第9話「刑事一人」、元日スペシャル 第10話「ディーバ」
第11話「密着特命係24時」、第12話「怖い家」、第13話「10億分の1」、第14話「そして妻が消えた」、第15話「99%の女」、第16話「容疑者 内村完爾」
【ストーリー】番組サイトより
因縁の“元相棒”がロンドンで再び動き出す!
無差別連続殺人の真の狙いは右京の暗殺!?
元スコットランドヤードの警部で右京(水谷豊)のイギリス時代の相棒・南井(伊武雅刀)。右京は、南井が歪んだ正義感から、更正不能と見なした犯罪者を死に追いやっているとの疑いを持つが、決定的な証拠をあげられず、1年前の来日時にはイギリスへの帰国を許したのだった。その南井が、ロンドンで再び不穏な動きを見せていた。
数日後、都内で同じ犯人によるものとみられる連続殺人事件が発生。捜査一課は無差別殺人とみていたが、右京と亘(反町隆史)は、すべての殺人に共通して、死の直前、不審な電話が掛かっていたことから、被害者に何か共通点があるのではないかと推理し捜査を開始。
そんな中、花の里でツアーガイドの立入(池内万作)とロンドンから来たという外国人観光客のジャック・モラン(ニコラス・ペタス)と偶然知り合う。そのジャックが何やら不穏な動きを見せた同時刻、花の里の近くで再び殺人事件が発生してしまう。さらに、右京の携帯にもダークウェブを通じて不審な電話が掛かってくる。右京は、ダークウェブを駆使する狡猾な人物として真っ先に南井の関与を疑うが…!?
歪んだ正義感を持つ元相棒が右京暗殺に着手!?
都内で起きた連続殺人事件との繋がりは?
右京と互角の頭脳を持つ男との危険な知恵比べが始まる!
ゲスト:伊武雅刀 池内万作 ニコラス・ぺタス
脚本:徳永富彦
監督:橋本一
今話の立入(池内万作)のように、虐待やネグレクトなど“親の愛情を受けなかった”、あるいは、先天的なものから、《贖罪の心を持つことができない》《他者に対して感情を持てない》といった人間が存在する……という前提を是認するとして……
しかし、《贖罪の気持ちを持てない》⇒殺人という法則が成り立つのかは疑問
立入によると「完全に解放されるには死ぬしかない」などと言っていたが、犯罪が露見して追いつめられての自害だったので、《とりあえず、この世で生きていたい》というのが第一なのであろう。
となれば、殺人を犯すことは生きる上ではリスクであり、リスクを冒すには何らかのメリット(目的)があるはずだ。考えられるのは、
①『生きていくため』
Ⅰ.金品を強奪するのに付随した殺人
Ⅱ.犯罪を知られたため口封じ
Ⅲ.殺人を生業とする
②快楽や好奇心の為
③その他(他にもあると思うが、それを論理を展開するのは本レビューにおいてはあまり意味がない)
立入の場合、強いて当てはめるなら①-Ⅲと考えられるが、南井(伊武雅刀)は「贖罪の心を持たない」と言うだけで、殺人の動機や目的については語っていない。
前回の「倫敦からの客人」の時も同様なことを感じた。
今回はそれに加えて、さらに疑問に感じたことがある
それは、『南井のキャラ設定が変わっている』こと
「倫敦からの客人」で 右京は南井(伊武雅刀)の信条を
「影…犯罪者の中には贖罪の心を持つことができない者がいる。そんな犯罪者は自らの死でその罪を贖わせることが相応しい」
と言及している。番組サイトのストーリー欄にも「右京は、南井が歪んだ正義感から、更正不能と見なした犯罪者を死に追いやっているとの疑いを持つ」と記されている。南井本人が述べたことではないが、右京の推察なので間違いではないはずだ。
しかし、今回は立入に殺人を依頼しているおり、前回とは南井のキャラ設定が変わってしまっている。
となると、上記の右京の洞察は誤っていたことになる。
けれども、今回は右京自身も当然のように南井を“モリアーティ教授的存在”(犯罪者を操るボス)と考えている。
百歩譲って。右京が前回の時も、《南井=モリアーティ》と考えていたとしても、前話の時に犯人を操っていたのは南井と考え、もっと激しく追及するであろうし、倫敦時代においても南井を放置しないであろう。矛盾だらけである。(でも、甲斐享がダークナイトと気づかなかった件があるからなぁ(笑))
今回の事件についても疑問がある
今話の冒頭、南井が立入に殺人を依頼していた。視聴者には標的が右京であるように思わせていたが、立入によると右京にちょっかいを出したのはオプションだったとのこと。
となると、標的は南井と関わりがあった3人目の被害者となる。
殺害しなければならない理由はなんだったのだろうか?
立入は自害してしまったが(池内万作さん、相棒で2度目の自殺)、過去の犯罪を明らかにしないのだろうか?
ロンドンでの犯行は管轄外かもしれないが、彼の生い立ちや職歴、渡航歴ぐらいは明らかにすべきなのではないだろうか?
【その他の突込み】
ジャック・モラン(ニコラス・ペタス)は薬の運び屋だったが、密輸に使用したゴム製の袋をトイレに流すのは乱暴すぎ
第1話「ボディ」、第2話「ボディ ~二重の罠」、第3話「辞書の神様」、第4話「バクハン」、第5話「計算違いな男」、第6話「ブラックパールの女」、第7話「うさぎとかめ」、第8話「微笑みの研究」、第9話「刑事一人」、元日スペシャル 第10話「ディーバ」
第11話「密着特命係24時」、第12話「怖い家」、第13話「10億分の1」、第14話「そして妻が消えた」、第15話「99%の女」、第16話「容疑者 内村完爾」
【ストーリー】番組サイトより
因縁の“元相棒”がロンドンで再び動き出す!
無差別連続殺人の真の狙いは右京の暗殺!?
元スコットランドヤードの警部で右京(水谷豊)のイギリス時代の相棒・南井(伊武雅刀)。右京は、南井が歪んだ正義感から、更正不能と見なした犯罪者を死に追いやっているとの疑いを持つが、決定的な証拠をあげられず、1年前の来日時にはイギリスへの帰国を許したのだった。その南井が、ロンドンで再び不穏な動きを見せていた。
数日後、都内で同じ犯人によるものとみられる連続殺人事件が発生。捜査一課は無差別殺人とみていたが、右京と亘(反町隆史)は、すべての殺人に共通して、死の直前、不審な電話が掛かっていたことから、被害者に何か共通点があるのではないかと推理し捜査を開始。
そんな中、花の里でツアーガイドの立入(池内万作)とロンドンから来たという外国人観光客のジャック・モラン(ニコラス・ペタス)と偶然知り合う。そのジャックが何やら不穏な動きを見せた同時刻、花の里の近くで再び殺人事件が発生してしまう。さらに、右京の携帯にもダークウェブを通じて不審な電話が掛かってくる。右京は、ダークウェブを駆使する狡猾な人物として真っ先に南井の関与を疑うが…!?
歪んだ正義感を持つ元相棒が右京暗殺に着手!?
都内で起きた連続殺人事件との繋がりは?
右京と互角の頭脳を持つ男との危険な知恵比べが始まる!
ゲスト:伊武雅刀 池内万作 ニコラス・ぺタス
脚本:徳永富彦
監督:橋本一
今回のエピソード、二つのミスリード(南井の刺客がモランでなく立入だったこと、南井の標的が右京さんでなく窪田宗だったこと)が盛り込まれたストーリーはなかなか興味深かったですが、内容について疑問点があり、少々悩んでおります。
レビューでも触れられていますが、窪田を殺害しなければならない理由が判然としません。ラストで右京さんが電話で南井に「証拠さえなければ裁かれない。犯人に自殺をさせるのも、証拠をつかませないため。自らの過去を消すのも同様でしょうか」と言っていましたけど、過去を消すことがなぜ証拠をつかませないことになるのかが分かりません。
そもそも、南井は贖罪の心を持たない犯罪者に死をもって罪を償わせているはずだったのに、右京さんのこのセリフだと「自らの犯罪のために犯罪者を利用し、証拠隠滅のために自殺させている」ことになります。ゆがんだ正義は建て前ということなのでしょうか。
さらに、ロンドンでの一件の時期の矛盾も気になっています。
前作『倫敦からの客人』(S16-7) の中で、ロンドンでの一件は右京さんが停職中のことであることが語られ、それが当時から3年前のことであるとされていました。右京さんがダークナイト事件の責任を問われて停職を食らっていたのは、2015年3月から9月くらいまでのことなので、正しくは「3年前」ではないのではと前作で疑問を呈させていただきました。
もっとも、停職を食らった直後なら「2年9か月=約3年」という解釈ができないこともないので、さほど気にしていなかったのですが、今回、ロンドンでの一件は2014年4月のことであるとはっきりと語られていました。
そうなると、少なくとも徳永氏は、右京さんが停職を食らったのは2014年と認識していることになります。2014年4月となるとSeason12と13の間ですが、この間に右京さんが停職処分を食らっていたという話は聞いたことがりません。
私の認識が不足しているのか、あるいは単に徳永氏の勘違いなのか・・・?
私も記事で書きましたが、今回の殺人の目的、南井の設定には疑問が残ります。
私見ですが、「過去を消すことによって、思考や行動パターンを読まれないようにするため」だと思いますが、ヤブヘビにしかならないです(実際もそうなりました)。
南井の設定は、前回の時には固まっていなかったと考えます。でも、番組サイトのあらすじは思考不足ですね(今回に限らず、あらすじはいいかげんなことが多いです)
右京のロンドン滞在の時期については、脚本家が大ざっぱなのでしょう。