英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

レジ袋有料化の問題点

2020-07-01 10:14:52 | 時事
今日(7月1日)から、レジ袋が有料化される。
いろいろある問題点については後述するが、何より感じるのは、《環境問題は地球的大課題であり、日本もそれに対処する必要がある。そこで、“レジ袋の有料化でプラスチックごみ削減に取り組んでいる”というポーズを取って、アピールしておこう!》という意図だ。

★レジ袋有料化の趣旨や概要(参照:経済産業省HP
【趣旨】
・2020年7月1日からプラスチック製買物袋の有料化が全国で開始すること。
・そのプラスチック製買物袋が本当に必要かどうか考えるきっかけとし、過剰な使用の抑制に協力いただきたいこと。
・プラスチック製買物袋を断ることで、環境問題の解決への第一歩に繋がること。

【対象となる事業者】
プラスチック製買物袋を扱う小売業※を営む全ての事業者が対象となります。
主な業種が小売業ではない事業者(製造業やサービス業)であっても、事業の一部として小売業を行っている場合は有料化の対象となります。
※各種商品小売業、織物:衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、自動車部分品・附属品小売業、家具・じゅう器・機械文具小売業、医薬品・化粧品小売業、書籍・文房具小売業、スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業及びたばこ・喫煙具専門小売業
(詳細はガイドラインにて)

【有料化の対象外となる買物袋】
有料化の対象となるのは、購入した商品を持ち運ぶために用いる、持ち手のついたプラスチック製買物袋
【本制度の対象外となるもの】
・紙袋
・布の袋
・持ち手のない袋

【プラスチック製買物袋で例外(無償提供可)となるもの】……環境性能が認められもの
1.プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの
………繰り返し使用が可能であることから、プラスチック製買物袋の過剰な使用抑制に寄与するため
2.海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの
………微生物によって海洋で分解されるプラスチック製買物袋は、海洋プラスチックごみ問題対策に寄与するためです
3.バイオマス素材の配合率が25%以上のもの
………植物由来がCO2総量を変えない素材であり、地球温暖化対策に寄与するためです


(詳細はガイドラインにて)


問題点1 小売業者だけかと思ったら…
~~~各種商品小売業、織物・衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、自動車部分品・附属品小売業、家具・じゅう器・機械器具小売業、医薬品・化粧品小売業、書籍・文房具小売業、スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業及びたばこ・喫煙具専門小売業~~~

………という括りだけかと思ったら……
ここで、小売業に属する事業を行うものとは、その事業所において行う主要な経済活動(過去1年間の収入額又は販売額の多いもの)が小売業に分類されるか否かにかかわらず、容器包装を用いる事業が小売業に属する者を意味している。
すなわち、主たる業種が小売業ではない事業者(製造業、サービス業等)も、事業の一部として小売事業を行っている場合、その範囲において、本制度に基づき容器包装の使用の合理化による排出の抑制の促進に取り組む必要がある。
例)製造事業者や卸売業者が、製品をショッピングモールや百貨店で販売する場合
例)美容サロンで、美容グッズを販売する場合 等


 つまり、小売りの占める割合の大小にかかわらず、また、製造業やサービス業であっても、商品を販売してそれを入れるレジ袋すべてが有償化の対象になるのである。

 ……知らなかった(笑)
 確かに、報道などで“すべての事業者”という表現がなされていたような気がするが、文書で“小売業”という用語が使われていると、卸業者やメーカーなどはスルーしてしまうのではないだろうか?
 経済産業省HPの参照ページにちらっと表記されているだけで、詳しくは更にガイドラインを読まなければわからない。しかも、そのガイドラインは難解な法律用語は用いられていないものの、法令独特の回りくどさがあり、プリントアウトするとA4サイズ16枚にも及ぶ。
 レジ袋の使用者はもちろん、レジ袋を販売している我々にも何の通達もないのである。
 情報としては、レジ袋メーカーからの“バイオマス素材配合のレジ袋の説明書き”と各種報道の“レジ袋有料化の周知”だけである。


問題点2 レジ袋を有料にしても……
(この項目について書こうとしたら、以前も書いたことがあることを思い出しました。今日は少し忙しいので、それを“再利用”します)

1.レジ袋だけで良いのか?
 確かに、ウミガメなどの胃の中から、ギュウギュウに詰まっているレジ袋を見ると、《何とかしなくてはいけない》と強く思った。
 しかし、レジ袋だけ廃棄されるわけではなく、パンやお菓子の袋も一緒に捨てられることが多い。と言うより、レジ袋だけ捨てるということは、まずないだろう。
 なので、レジ袋だけでなく、一般的なプラスチックごみについても規制しないとプラごみ問題は解決しない。もちろん、プラごみだけでなく、可燃ごみなども規制しないといけない。(まあ、うちらの業界は、規制されると困るが)

2.植物由来のレジ袋、水に溶けるレジ袋だったら、良いのか?(その他、繰り返し使用できる非常に分厚いレジ袋も規制の対象外)
 《なぜ、“不法投棄”を前提にした方策を採るのか?》……捨てられたときに、「環境への害が少ないからOKという理屈」は次善の策というか、妥協の策で、植物由来のレジ袋でも廃棄してはいけないことは幼稚園児でも分かっている常識だ。もしかしたら、そんな常識を政治家の先生やお役人様は理解してはいないのだろうか?

3.事業者に“丸投げ”の制度?
 冒頭で引用したように、《価格は各事業者が自由に設定できる。指針では1枚あたり2~5円程度の先行事例を紹介し、1円未満は「有料化にあたらない」とした。レジ袋を有料化した分の売り上げの使い道は「事業者自ら判断する」とした》というのは、あまりに“丸投げ”のように思われる。
 しかし、小売店(事業者)はレジ袋をメーカーや卸売店から購入しているので、もともとレジ袋代をお客に請求してもよく、その料金も事業者が設定するのは妥当だ(大きさや厚み、印刷によって原価は様々)。レジ袋代を国が徴収して環境保護費に充てるという施策も考えられるが、その書類などの手続きや徴収などが面倒そうなので、正直に言うと、丸投げ(事業者お任せ)の方が実用的だ。

4.廃棄者を取り締まるべき
 そもそも、ごみを捨てるモノがいるから海洋(自然)が汚染されるわけで、そいつら(乱暴な呼称だが、それで十分)を取り締まるのが、何よりも肝心である。
 何事でもそうだが、一部の不届き者がいるせいで、世間一般の人々が制約を受けるのは不合理だ。(個人情報保護法、セキュリティソフトの必要などなど)
 

 レジ袋の有料化は、《環境問題に取り組んでいますよ》というアピールが目的の政策であろう。
 しかし、それに踊らされる現場、特にレジ袋メーカは大変で、売り上げ減少が予想される。もし、新素材のレジ袋が流通するとなると、卸業者も従来製品と新素材製品の両方を用意しなくてはならず、負担になりそう。
 とは言え、環境保護には避けて通れない課題である。素人考えだが、プラごみは火力発電所で燃やせないのだろうか?ダイオキシンや温室効果ガスの発生、燃えカスの問題など考えられるので、単純にはいかないだろうが……

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