布施弁天界隈の自然と歴史情報

関東三弁天の一つである柏市布施弁天界隈の城跡、神社、仏閣等の歴史的遺産の紹介とあけぼの山近辺の花情報の提供

柏の中世城趾の現況と松ヶ崎城趾の落着き所

2008-05-31 | 歴史
もうだめ、柏市が造成工事の差し止めの仮処分を地裁に行なって仮に差し止められたたとしても、壊された松ヶ崎城趾は戻ってこない。先日、この現況を見にいって実感しました。ただ、三郡境いのお不動さんの跡地の上まで、開発は迫っていたが、お不動さんの跡地は、まだ、無事であった。しかし、その下にある松ヶ崎湧水は、この木々の伐採で完全に湧水は湧くことはないでしょうね。
市内にはいくつかの中世城があり、ここだけが市の史跡として文化財の指定を受けている。増尾にある増尾城趾は、増尾城趾公園の中に、布施の古谷にあった布施城趾は、火葬場の中にそれぞれ碑を残すだけとなっている。戸張にある弥生式住居もある戸張城趾も文京区立柏学園の敷地内にある。もちろん、これらもその他の文化財になっている。ただ、唯一、この松ヶ崎城趾だけが、市民の力で市の文化財に指定されていたのであり、ここだけが、市内では、特殊の例であったともいえる。とはいえ、こうした事態は、前代未聞かもしれず、決して容認されるべきことではない。
しかし、中世城ではないが、それより古い相馬郡が跡かもしれないと一時いわれた根戸の中馬場遺跡跡地には、碑はあったでしたっけ?歴史的遺産のいくつかはこのように、高度成長の開発の中でもろくも消えていってしまっている。しょせん、歴史的遺産の多くはこういう運命を辿ってしまう。だから、今回もしかたないといえばしかたない。逆に言えば、よく、ここまでもったと言えるかも知れない。
実は、こうなるのを防ごうと思えば、防げる道は、1年半前以上からあった。私の平成19年1月23日付けのブログを見て頂きたい。その際にも、持ち主と市の担当者が現地で度々話し合っているのが、目撃されている。だから、なにを、今更としかいいようがない。以下は、確か、松ヶ崎城趾が変というようなタイトルで書いたブログの引用文です。
  北柏のアサヒビールの裏側(北柏駅から松葉町を経由して総合市場へ向かう道の左
  側)にある中世の松ヶ崎城の跡がある小高い雑木林の動きがここのところ変である。
  今日(21日)もブルトーザーが唸りをあげ、木々の隙間が段々大きくなって、鬱
  蒼たる雰囲気が消えつつあります。ここには、確かに柏市指定の文化財である松ヶ
  崎城跡があるはずなのに、どうしたのだろう。
  聞くところによると、周りに新築の家が次々とできたので、古木が倒れて壊さない
  ように古木を伐採し、また、崖崩れがないように間知石で擁壁を築いているとのこ
  とでした。
  確か、昨年、松ヶ崎城見学会があった10月に、台風の影響で、10メートルの杉
  の木が倒れたりして、困ったという話を聞いたことがある。また、道路らしきもの
  を造ろうとしている形跡もみえる。
  開発すれば儲かるが、開発せず保護すると金は入らず、出て行く一方。この悪循環
  の中で、全国の重要な歴史的遺産が消えて行くんですね。この小高い雑木林の持ち
  主は増田さんという個人の方だそうです。個人での文化財の維持・管理するのは大
  変なご苦労があるんですね。花野井の吉田邸みたく、市に寄付をするとか、
  我孫子のあいじま芸術村みたくあくまで個人で行きか、持ち主とすれば、どちらにしても
  苦渋の判断となるでしょう。一番良いのが、市が買い取るとか、借り上げることで
  しょうが、それには、今度は市の事情がーーー。
  平成8年には、この山にあった歴史的に価値があった三郡境いのお不動さんを火事
  で失い、今回、また、城跡自体の保存に、良いとは思えぬ状況が迫りつつあり、文
  化財の保護というのは、難しいとしか言いようがないですね。なんだか、雑木林に
  掲げられている緑色の松ヶ崎城趾を守る会と書かれた手作りの看板が悲しげに見えた
  のは私だけでしょうか。
以上が引用文です。
もちろん、今後、一番良いのは、うまく柏市と持ち主との話し合いがつき、文化財が、松ヶ崎城趾が保護されることでしょう。まだ、南側腰郭や主郭西側、手がついていませんので、ここでとめれば、損壊の程度も少なくてすみます。その際課題となるのは、壊された環境の復元でしょうね。もし、よしんばつかなくても、最低限、ここに松ヶ崎城趾があったという立派な碑だけは残して欲しいものです。もちろん、三郡境のお不動さん跡はこのまま絶対に残して欲しいものです。5月30日(金)から、手賀沼と松ヶ崎城趾を守る会の人たちが、JR北柏駅で保存のためのチラシまきを早朝に始めたそうですが、その切なる願いが叶えられますことを心から祈るざるをえません。
コメント (1)
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