Retriever Legend's blog

散歩好き、本好き、惰眠好き、犬大好きの彼(旦那)の戯言を僕が代弁します。

逆説と不条理

2009-07-07 06:40:13 | 酔生夢死
党派の知人が「これまでの自分を全否定できない。」と突然言いました。
僕は「全否定しなければ何も始まらない。」と答えました。
彼は、『全否定』という逆説的比喩について理解も納得もしませんでした。
*ここにセクト=カルトの典型のひとつが表出しています。

昔日、様々な先哲の書籍を読んでいて、パラドックスの比喩で了としていることに、ある種の不快と気掛かりが滓の様に沈潜していました。
例えば、『物と心』(大森荘蔵 東大出版)「比喩でしか言い表せない・・・哲学にはえたいの定かでない比喩が棲みついている・・・知覚の比喩、他我の比喩、死の比喩・・・この三つの比喩は互いに素なのではなく同根同幹のものである。」(199P~200P)

合理的であること、科学的であること、論理的であること等の正当性は、何によりもたされているのか。
合理的でないこと、科学的でないこと、論理的でないことに依存しています。
つまり、正当性は論理的に誤っています。

近年では、吉本隆明が「コミュニケーションとか様々な事象に対して大切な事は『自己問答』だよ。」の旨語っています。
この『自己問答』を、単に字面の端的表現だけに捉えると、「全否定しなければ何も始まらない。」次元でしかありません。
これは、思索者としての吉本隆明の逆説的比喩そのものです。

逆説的比喩は、透徹した思考だけではなく、僕の、僕達の日々の営為にもありますが・・・

僕が「逆説的比喩を解体できない。」と呟きました。
彼女が「だったら愛犬のこと綴ったら。」と。

同書は、「命を賭けなければ命がないのである。」(326P)で締め括られています。



「コパン」(シマリス)です。
愛猫HALは、興味津々ながら後退りしてしまいます。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿