大津地裁山本善彦裁判長の高浜原発(関西電力)の再稼動差し止め申し立ての司法判断に、一瞬「あれっ!」と思いましたが、再度確認してみたところ、新規制基準の不備を突き原子力規制委員会を的確に批判しています。
2014.11.27に大津地裁の山本善彦裁判長は、関西電力の高浜原発3、4号機の再稼動差し止めを求めた(仮処分)住民の申し立てを却下しました。
田中俊一原子力規制委員会委員の「新規制基準に適合しても安全だとは言わない」に触れ新規制基準に疑問を呈し、関西電力は基準値震動の合理的な説明をしていない、事故に対する連携、役割、避難計画等が策定されていない以上再稼動はあり得ない、ことから仮処分の申し立てを却下しました。
2016.03.09に大津地裁の山本善彦裁判長は、関西電力の高浜原発3、4号機の再稼動差し止めを求めた住民の申し立てに対して、運転を差し止める仮処分決定を出しました。
原子力規制委員会が再稼動を許可したことは安全性の説明にはならない、フクイチのメルトダウンの主原因が不明で事故原因の究明は事故の再発と安全対策に不可欠だが進んでいない、ゆえに高浜原発でも過酷事故時の安全対策が十分だと証明されていない、国が主導する具体的な避難計画の策定が必要だか策定されていない、ことから運転差し止めの司法判断をしました。
2016.03.17大津地裁の仮処分決定を不服として関電が同地裁に申し立てた運転禁止の執行停止と異議の審理について、大津地裁は山本善彦裁判長が再び担当することを決めました。
週刊朝日09年6月12日号(アクセスジャーナルHPより)
関西電力は、2014.11.27の大津地裁山本善彦裁判長の判決理由を無視(見くびる)した、というより驕りそのものと考えます。
なぜなら、関西電力八木誠社長が記者会見で「上級審で逆転勝訴した場合、(申し立てた住民への)損害賠償請求は検討の対象となる」と発言。(3/23朝日)
この発言は、反社会的な行為である「スラップ(SLAPP)訴訟」(威圧訴訟、恫喝訴訟)そのもので、「市民参加を排除するための訴訟」です。
一流、有名企業は、自社のイメージ毀損となることから「スラップ訴訟」は自制しますが、どうも関西電力は「驕り」の塊のようです。
弁護団長の井戸謙一弁護士は、金沢地裁裁判長として志賀原発に対して差し止め判決(2006.03.24)を出しています。