Retriever Legend's blog

散歩好き、本好き、惰眠好き、犬大好きの彼(旦那)の戯言を僕が代弁します。

似非思想家

2015-10-20 12:05:58 | 走り書き

無業者となってから大きく変わったことがあります。

以前は、本屋で読みたい本、読まねばならない本、目に止まった本等を見境なく購入していました。その結果積読山が積読山脈、そして積読連峰と化しました。(現在も未整理のままです。)

現在は、その週に読める冊数を購入するように心がけています。が、予想外に落とし込むのに時間を要する一冊があったり、私事が輻輳したりしますと、積読連峰行きとなる本が出てきます。

今回メモする内容は、精読ではなく空いた時間に目を通した類で、誤謬等があるかもしれませんが、前もって言い訳を記しておきます。

 


「一九四六年憲法 その拘束」(江藤淳 文春学芸)

 

似非思想家

当ブログにおいて「ポツダム宣言の呪縛?」(8/12up)で、「異論のススメ」(佐伯啓思 朝日朝刊8/7「ポツダム宣言の呪縛」)についてメモしました。ただ佐伯啓思の著作は読んだことがないので一冊手にしたい旨を書きました。

佐伯啓思の「従属国家論」 (PHP新書)に目を通した雑感を、「「保守」の仮面」(8/30up)でメモしました。

同書において、米国の正義「自由、平等、民主主義」の再検討が必要であり、日本の精神(価値観)として「特攻隊」について述べ「諦念と覚悟」を引き継がねばならない(故に「大日本帝国(大本営)」の狂気を「不問」』とせざるを得ない) 、 米国に「憤り・怨恨・憎悪・非難等の感情」(いわゆるルサンチマン)を持っており、それを吐露しているだけ「保守」の仮面を被った「ウヨク」の輩と、評しました。


その後も、何故「特攻隊」であり「諦念と覚悟」なのかが引っ掛かっていました。また、「異論のススメ」(佐伯啓思 朝日朝刊10/2「そもそも平和とは何か」)が、あまりにも陳腐で高校生か大学生が習作したよう質だったこともあります。


「従属国家論」において江藤淳の「一九四六年憲法 その拘束」からの引用が多であり、江藤淳の著作からの孫受けの感がありました。
「一九四六年憲法 その拘束」は、実地調査をもとに論理的な展開で読み応えのある力作で、さすが江藤淳といえます。(論旨の賛否は別にして)

 


「南洲残影」(江藤淳 文春文庫)

佐伯啓思の日本の精神(価値観)とする「諦念と覚悟」について、精緻な論理的な考え方をするが「ふわふわした情緒丸出し」の著作などあり得ないと考えていましたが、「自死」(1999年7月)したことから晩年の著作に「何かある」と考え、西郷隆盛について書かれた『南洲残影』(1998年3月刊 文藝春秋*)に目を通しました。

西郷隆盛について精緻な論理的展開をするのではなく、感傷とも言える情緒感に溢れた論考(?)で、「一九四六年憲法 その拘束」とは異質な著作です。

「南洲残影」36P~
何故なら人間は、最初から「無謀」とわかっていても、やはりやらなければならぬことがあるからである。日露開戦のときがそうであり、日米開戦のときも同じだった。勝った戦が義戦で、敗北に終わった戦は不義の戦だと分類してみても……・

このフレーズを目にした時に、佐伯啓思の「従属国家論」に対する引っ掛かっていた事柄が氷解しました。

「従属国家論」247P~
勝ち負けは力の問題であり、時の運であり、状況の問題である。敗北はわかっていても戦わなければならぬときはあり、戦うときべきときに戦うこと、それ自体に義がある。その義を捨てることは卑怯者のすることであり・・・・


佐伯啓思の「保守思想」とは、江藤淳におんぶに抱っこした類なのです。


* 「南洲残影」は、「文学界」で1994年10月号から1998年1月号に掲載

 

 


ちょっと一服

2015-10-18 10:23:18 | 異形の滓

IS(イスラム国)の武器

イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)がトヨタ自動車製の車両を数多く使用していることから、米財務省はテロ対策の一環として調査に乗り出し、トヨタ自動車も調査に協力するとの報道(10/08各紙)がありました。

大事なことをスルーしています。
ISの兵士、傭兵らが手にしている武器のの出所を調査し、禁輸すべきです。

民間の紛争武器研究所 (Conflict Armament Research) の調査によると、「イスラム国」戦闘員が使っていた武器の80%以上は米国、旧ソ連、現ロシア、中国で製造されたものであった。しかしその中で最も大きく占めたのが「米国軍用資産」と記したM16ライフル、 RPG(携帯対戦車擲弾)を含む米国産武器であった、旨が報道されています。(Trendswatcher2015.02.26)

軍産複合体(政治的・経済的・軍事的な勢力の連合体)に切り込むことは、禁忌なのでしょう。

ギリシャ金融危機の第1次、第2次融資時に、フランス、ドイツは10億ユーロ単位でフリゲート艦、潜水艦、戦闘機、ヘリコプター等を購入させており、EU内部で「軍事費抑えれば財政危機なかった」と評されています。

産経ニュース10/08より

 

沖縄 VS アヘ内閣・米国

翁長沖縄県知事は、10/13に米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に係る公有水面埋立法に基づく辺野古の埋め立て承認を取り消しました。
すかさず10/14に、防衛省は国土交通相(埋め立て関連の法令を所管)に、行政不服審査法に基づく承認取り消しの審査と取り消し効力の一時執行停止の申し立てをしました。

単純に、犯罪者と被害者との裁定において、犯罪者のグループ側が裁定する構図は、法理に反しています。

それ以前に、行政不服審査法は行政庁の不服申立ての条項はありません。(第1条 国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開く)

防衛省は十四日、「埋め立て承認を得る手続きが『私人』の場合と共通していたから、同様に資格がある」と主張しました。

埋立てて基地をつくり米軍に提供する工事は『私人』がしているようで、調査、工事等の金銭はどこの『私人』が負担しているのでしょう。
沖縄防衛局と防衛省との通信費、旅費等はどこの『私人』が負担しているのでしょうか。

防衛省は行政不服審査法による承認取り消しの審査と取り消し効力の一時執行停止の申し立てはできず、防衛省は「私人」と強弁しているだけのことです。

アヘ内閣は沖縄県と対立していますから、地方自治法に基づく「是正の指示」、沖縄県が不服なら国地方係争処理委員会に審査を求め、更に沖縄県が指示に従わないのであればアヘ内閣は沖縄県を高裁に訴えることが出来ます。

これらの手続きは、地方自治法の第11章「国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係」(第245条~第252条の18の2)で定められています。

何故、アヘ内閣は正当な手続きを経ず、強引に沖縄県をねじ伏せようとするのか、単に米国に顔が向いているだけのことです。

* 憲法第95条による住民投票の意見もありますが、地方自治法の主旨が現実的と考えます。

 

 


新・三本の嫌

2015-10-14 09:47:05 | 憲法・非戦・平和

アホノミクスの「三本の矢」は、明らかに失速(失敗)しています。

①「大胆な金融緩和」は日銀がジャブジャブ国債購入に励み円安・株高になりましたが低賃金の非正規雇用者が増加しただけで、金融緩和の出口すらおぼつきません。
2%の物価上昇の実現を公約していますが、期限の2015年春までに達成できず、いつの間にか2016年半ばまでと責任の先送り(責任逃れ)の有様です。

②「機動的な財政運営」は約19兆円の経済対策をしましたが砂に蒔いた水でしかありません。

③「成長戦略」は何もしていません、しいて言えば全農中央会金縛りと解雇自由化です。

ですから、一部輸出企業が業績回復した外には、デフレからは脱却できず、個人消費は回復せず、正規雇用者減少し非正規雇用者の増加、日銀総裁は法螺ばかりで責任を取る前にスルッと逃亡すると思います。


アヘ首相は「三本の矢」の失敗を検証することもなく「新・三本の矢」の絵空事を垂れ流しました。

①「GDPを600兆円に」は、名目成長率で3%程度が必要ですが、現在は公共事業でやっと1%台の名目成長率となっており、絵空事の典型です。
②「希望出生率1.8」は「絶望出生率1.8」でしかありません、菅官房長官の「子どもを産んで、国家に貢献して」が全てを物語っています。
③「介護離職ゼロ」は「介護職ゼロ」を目指しているのでしょう。


内閣改造にあたって安倍政権は「一億総活躍社会」というスローガンを掲げ、さらに担当大臣を任命しました。

「一億総活躍社会」のフレーズから敗戦後生まれの僕ですが、「国家総動員法」、「国民徴用令」の悪法が浮かびました。
「一億総○○社会」の「○○」には、玉砕、懺悔、火の玉、動員、徴用等の戦時言葉が相応しく、それ以上でも以下でもありません。

「戦争法制」が参議院選の争点になることを避けるために、「新・三本の矢」、「一億総活躍社会」のスローガンが絵空事だとメディアで話題になればなるほど効果があります。

アヘ首相にとって現在は、参議院選に向けての「戦時」なのでしょう。

公狂放送のニュース、報道番組はほとんど見なくなりました。アヘ首相の空疎な記者会見の解説者として岩田明子政治部記者(兼解説委員)がアヘ首相の広報秘書として頻繁に登場し「ヨイショ」を垂れ流しています。


公狂放送で、ちょっと奇妙なことがありました。

「夏の終わり 国会前の路上で」(ドキュメント72時間 2015.10.02 22:55~放送)において、カメラが群集の間を縫うように進んでいる映像に『NHKちゃんと報道しろよ!』、『NHKしっかりやれ!』の野次が被りました。

単なる放送事故なのか番組製作現場からのメッセージなのかは不明です。

*「ドキュメント72時間」は㈱NHKメディアテクノロジーの制作ですが、ディレクターはNHK職員(ディレクター横田大樹 プロデューサー西島昌子 制作統括山岸秀樹 10.15 01:00追記)

 

「戦争法制」はアヘ首相主催、NHK後援で強行採決されたと言えます。




軍事権

2015-10-05 22:38:08 | 憲法・非戦・平和

文化の種

戦争法案に反対する老若男女の行動が全国的な広がりとなりました。

これからの戦争法廃止運動、脱原発運動等(市民、消費者、国民、人間として損なわれる対象)に向かうベクトルを持っていると考えます。

「われわれ」の民主主義から「わたし」の民主主義になっており、これまでの大衆運動、政治運動、市民運動等の縦に連なる民主主義ではなく、個々の市井人が水平的に連なる民主主義を示しているとも考えられます。

買い被りすぎかもしれませんが、民主主義に「文化の種」が蒔かれたのかも知れません。

これから過渡的な様々な論考が発表されると思います。

 

 

「検証・安保法案」(長谷部恭男編 有斐閣)


軍事権

大日本帝國憲法第十三条は、「天皇ハ戰ヲ宣シ和ヲ講シ及般ノ條約ヲ締結ス」と『軍事権』について定められています。

日本国憲法には、『軍事権』についての定めはなく、単に憲法前文、第9条からの必然と思っていました。

たまたま手にした「検証・安保法案」(長谷部恭男編 有斐閣)において、この頃マスゴミに引っ張りだこの首都大学東京准教授木村草太へのインタビュー「安保法案のどこに問題があるのか」において、日本国憲法には米国、フランス、ドイツの憲法に規定のある『軍事活動の規定』がない旨を述べています。

憲法第73条内閣の事務において、軍事については書かれておらず、集団自衛権の行使は内閣の権限外行為となり、憲法違反である、と。


米国、フランス、ドイツの憲法を確認したところ(その外スウェーデン、ロシア、イタリアも) 『軍事活動の規定』が明記されています。

集団自衛権は相手国の主権を制圧することで、内閣(行政権)の権限外の行為となり、明らかな憲法違反そのものです。

不幸にも自衛隊員が権限のない者(内閣)の命令により相手国の子供、女性、老人等を射殺、爆殺等した場合、また兵站(補給)業務時に背後から遊撃隊(ゲリラ)に射殺された場合に、自衛隊員自身、その家族、またこの島国の人々は相手国の子供、女性、老人等の死、自衛隊員の死を受け入れることは出来ないと考えます。

同書において、個別的自衛権については憲法第13条により国家の義務として作用法上認められるとする解釈がありうる旨が述べられていますが、僕自身は憲法前文、第9条から到底理解できません。

 

アメリカ憲法
第1条第8節 11,12①大統領が議会の戦争宣言なく緊急軍事行動を命令した場合、48時間以内に書面により議会に報告すること、

ドイツ連邦共和国基本法
第115a条1 連邦領域が武力で攻撃された、またはこのような攻撃が直接に切迫していること(防衛事態)の確認は、連邦議会が連邦参議院の同意を得て行う。確認は、連邦政府の申立てに基づいて行われ、連邦議会議員の過半数かつ投票の3分の2の多数を必要とする。

フランス共和国憲法
第35条宣戦は、国会によって承認される。


スウェーデン憲法   
1第9条 政府は、王国の国防軍またはその一部を、王国に対する攻撃に対処する目的のために、戦闘に従事させることができる。その他の場合には、スウェーデン軍隊を、次の場合にのみ、戦闘に従事させ、または他国に派遣することができる。

ロシア連邦憲法
第87条2 ロシア連邦に対する侵略またはその直接の危険がある場合、ロシア連邦大統領は、ロシア連邦の全土またはその一部の地域に戦時状態を布告し、遅滞なくそれを連邦会議と国家会議へ通知する。

イタリア憲法
第87条9 共和国大統領は、軍隊を統帥し、法律に基づいて設置される最高国防会議を主宰し、両議院によって議決される戦争状態を宣言する。


内閣の権限の種類

第七十三条  内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一  法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二  外交関係を処理すること。
三  条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四  法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五  予算を作成して国会に提出すること。
六  この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること

 

国家の義務として作用法の根拠

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。