京料理 道楽のブログ

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食べ物の「ありがたみ」

2009-01-15 | Weblog
時折、京都の農村へおばあちゃん達のお話を伺いに行きます。
「ぼり」とか「ぼりん」と言うて、竹で編んだご飯籠(かご)にひっついたご飯粒を集めて、天日で干してから炒ったもんを、大事におやつに食べてたそうです。
「 ひらい米」と言うて、稲の苗作りに種籾(たねもみ)を水に浸けておいて、蒔いた後の余った籾を、天日で干して炒ってから、うすでついてもみがらを取り、紙の封筒くらいの袋に入れて持ち歩いたそうです。噛めば噛むほど味が出てきて、懐かしくて忘れられへん味やそうです。水に浸けておくとシワっとして美味しかったとおっしゃいます。さすが、『瑞穂の国』ですね。
「てんてら焼き」は小麦粉を水で溶いて鉄板で焼き、中にかぼちゃやお芋さんの餡を挟んだ、当時たいそう御馳走のおやつでした。この「てんてら焼き」については、【目の眼・四月号】にて詳しくお話致します。
戦中戦後、『もの』が無い大変な時代に生き抜いた人にこそ、『もの』の本当のありがたみが解るのかも知れません。お母さんは、家族子供達のために、知恵を絞って創意工夫して、食べる物、着る物、いろんな物を作ってたんです。子供達もそんなお母さんの姿を見て、山・川・海の自然界の恵み、自給自足の農産物をいただきながら、物のありがたみや感謝の心を持ったのでしょう。
何でも「もったいない」の精神で、無駄なく上手にやらはったお話は、とても勉強になり、有り難く存じております。