書道家Syuunの忘れ物

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クラスター弾禁止条約なぜ・参院全会一致批准なのか

2009-06-10 13:04:50 | 日記
クラスター弾禁止条約なぜ・参院全会一致批准なのか

「クラスター爆弾 早期批准を歓迎する」とは、毎日新聞の2009/06/10の社説
である。
毎日社説では、「不発のまま地上に残った子爆弾が、地雷のように突然爆発して市民を殺傷する悲劇も後を絶たない。そんな爆弾の保有や使用を禁じる『クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)』批准案が10日、参院本会議で可決される見通しとなったのは実に喜ばしいことだ。」と単に状況しか述べていない。
続けて「これらの国々(ノルウェー、オーストリア、メキシコ、アイルランドなど)と並んで日本がいち早く批准にこぎつけることは誇ってもいいだろう。」という。
ならば何を誇るのか、国連という核保有国が常任理事国の先生に「良くできました。」と褒めて欲しいのだろうか。
そして、明かされるのは「条約はノルウェーなど8カ国がすでに批准している。(産経)」と未だ8か国だけである。
それだけでなく、米国、ロシア、中国は参加していないし、批准しても留保条件を付けているところもある。
そしてなんとしても妙なのは、日本の自衛隊というのは正式軍隊として、他国に攻め込むと言う概念なのかと言う事である。

日本の政治家や政策官僚達が誤解しているのは、自衛隊というのは他国に攻め込む軍隊だと思っていることだ。ソマリア沖の海賊対策にもまともに自衛隊を派遣できず、他国の様に国際法に従って海賊に対して攻撃できると言うものではない。
それが国会議員が想定する軍隊なのか。元々日本には軍隊というものは制度上存在しない。
自衛隊というのは、未だに警察予備隊という警察軍にすぎない。
だから当然、他国を攻撃すると言う事を想定しておらず事実国会としても承認しないだろう。
必要になるのは、日本が他国から攻められたときの自衛であってそのための自衛隊であるはずだ。
攻められたとき、日本はどのように自衛するのだろうか。
既に、海岸線を防御する地雷もない。
毎日社説は「この兵器は、対人地雷禁止条約が1999年に発効した時から全廃の運命をたどっているともいえよう。日本は同条約に参加し、各国の地雷除去にも協力して感謝された。」と「感謝された」と言うが誰に感謝されたのか。
単純には「地雷除去にも協力」だとしても、本当に感謝されたのかは分からない。
そして、日本は、対人地雷を他国に設置するはずはないから、「感謝する」のは日本を攻めようと思っている国しかあるまい。

ここまで来てなんとしてもおかしい、大笑いなのは「日本は軍事大国に、特に米国に条約参加を働きかけるとともに、被害者支援の面でも積極的に貢献すべきである。」と言うところであろう。
なぜなら
「昨年のグルジア紛争でロシアとグルジア両軍がクラスター爆弾を使い、民間人の少なくとも16人が死亡、54人が負傷した。レバノン領内でイスラエル軍が大量にクラスター爆弾を使ったことも知られている。ベトナムやコソボ、アフガニスタンでも使われた。」
「米国は2003年のイラク戦争以降、クラスター爆弾を使っていない。」と書かれているのに、廃棄を米国に要求している。
本来言うべきなのは、中国、ロシアが一番であって、軍事基地を日本に置いている米国ではあるまい。
それだけでなく、軍事に関して未だに「話せば分かる」と勘違いしているところではないか。今軍事費を増大させて、台湾攻撃を想定している中国が絶対に軍縮もせず、クラスター爆弾なども廃棄しないというのは当たり前の話だ。
中国、米国が持っているから廃棄できないのは、ロシアとしても同じ。

こういう自ら無防備ならば、軍隊を持たなければ「攻められない」というのは、余りに歴史を知らなすぎる。
あの故加藤周一氏の「憲法第9条」を世界に広めよう、「世界標準にしよう」というナイーブな考え方に等しいのはお笑いごとである。
永世中立国スイスが重武装国家になった経緯は、ウィリアムテル伝説とその後の国際状況から誰で知っているはず。
結局、日本が攻められたときどのように対処するのか、今の国会議員からなにも聞こえてこない。スイスの様に24時間以内に20万の正規軍が出動できるはずもない。
何も考えずにヒョコヒョコ調印に行った中曽根外務大臣もノーテンキだが、参議院の全会一致というのも、何も日本の国防と言う事に気をかけていない国会議員ばかりで暗澹たる感じを得るものだ。

ちなみに、毎日社説では「クラスター爆弾が日本の防衛にとって絶対欠かせない兵器かどうか。代わりに自衛隊が『精密誘導能力を有する装備品』導入を予定していることもあり、同爆弾の廃棄が直ちに防衛力低下につながると主張するのは難しかろう。」と書く。
未だどうなるのか分からない事柄っをもって、「防衛力低下」に繋がらないと断定するのは言論人としては許されても国民の生命財産を守る政府、国会議員としては失格だろう。
そして、クラスター爆弾の廃棄、代替えの武器の調達に何百億もかかると言う事に言及しない。
赤字国債を増発して消費税12%でも足りないと言っている政府としては不誠実だ。

国会議員も中央官庁の官僚も金はどうせ税金だから「湯水の様に使え」と思っているのに違いない。
不正流用が発覚して自己破産の申請を選択した社団法人「日本農村情報システム協会」を見れば、国から補助金という税金はあぶく銭だと思っている事は間違いなくそうに違いない。