大阪府の枚方(ひらかた)が宿場町であったことは意外に知られていない。
しかし、京都と大阪の間、淀川を三十石船が上下し、人や荷物を運んだ時代。この枚方付近で、その船に
「餅くらわんか」、「ごんぼ汁くらわんか」と小船で商いをした「くらわんか舟」のことは、よく知られている。
その枚方宿で、江戸時代に旅籠、幕末は船待ち宿として繁盛し、近代は平成9年まで料理旅館で知られた「鍵屋」が、
現在は資料館として枚方宿の歴史を伝えている。
資料館の玄関を入って正面が受付になっており、この別棟は2階建てで
裏が淀川の河川敷になっている。
玄関の左手前が主家で、京街道に面している。
街道に面した主屋には、屋号の「鍵」を染めた暖簾がかかり、庇に「鍵屋」の文字が見える。
別棟の二階から裏をのぞけば、淀川左岸の河川敷が広がり、枚方大橋が目の前に見える。
のどかな風景の中に、三十石船が行き来し、小船が商いに精を出した当時の船宿の
活気が目に見えるようだ。
(つづく)