福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

温度に魅せられて

2009-04-24 17:21:00 | 低温研のことごと

朝目覚めると、いろいろな問題が頭をかけめぐる。どこへ行かなければならないか、今は何時だろうか、どれほど寒いのだろうか。眠りに就く時にも、翌日のことについて、同じ問題を考える。

長さ、時間、温度の三つは、日常生活のリズムを決める。この中でいちばんとらえどころのない温度に、私は魅せられている。長さと時間に関する日常的な理解は、過去何千年にもわたってあまり変わっていない。長い時間にわたって私たちは、定規と時計を利用してきた。だが、温度の場合はそうではない。赤ん坊でさえ、すぐに寒さと暑さがわかるようになるというのに、私たちが温度を測れるようになったのはやっと200~300年ほど前のことである。気体の温度が実は、熱的平衡にある分子の平均の運動エネルギーであることがわかったのは、さらにずっとあとのことである。

  (中略)

私は、本書で、これまでに提起された科学の未解決問題のいくつかについて提議をしたい。その際に、温度は単なる脇役ではなく、欠かすことのできない存在であることがわかってくる。
(ジノ・セグレ著『温度から見た宇宙・物質・生命』の「はじめに」より)

本日は、大学院生主催の低温科学研究所新人歓迎会です。

新人に是非読んでいただきたい本が、ジノ・セグレ著『温度から見た宇宙・物質・生命』(講談社ブルーバックス)。「温度」によって開かれる科学の扉から、物理学のみならず、気象学、生物学にいたるまで様々な不思議な現象を捉えてみませんか?

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