福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

身銭を切る

2007-12-16 22:12:00 | 大学院時代をどう過ごすか

かつてのフジテレビ系ドラマ「やまとなでしこ」は、航空会社の客室乗務員・神野桜子(1972年12月18日生まれ)と元数学者で魚屋さんの中原欧介との恋物語(ラブコメ)。

放映当時、桜子さんの「愛は年収!」発言に、私たちのような貧乏理系研究者の中で、溜息を漏らした方も多かったに違いありません。まあ、この桜子さんの発言は、貧しい漁師の娘として、幼少の頃体験した極貧生活のトラウマに起因するものらしい。

そのドラマの中で、こんなシーンがあったかと思います。

桜子の同僚客室乗務員である若葉ちゃんが、借金まみれの魚春(欧介のお店の屋号)の2階にある欧介の部屋で、数学の専門書を見つけた時。欧介はこんなことを言う。

「書き込みがあるから古本屋も引き取ってくれなくて・・・」

07121501このシーンに涙がほろり。そうでなんです。貧しくとも、研究者は、身銭を切って専門書を買い、その専門書を貪り読み、時を忘れ、その世界に没頭してしまうものなんです。そして、その思考の過程、疑問に思ったこと、湧いてきたアイデアなどを本の余白に書き込んでしまうのです。

専門書はベストセラー小説と違って高価です。だからと言って、人から借りて読んだとしても、どうでしょうか? 身になるでしょうか?

つまらない専門書も多いのですが、これはと言う専門書は、たとえ高価であったとしても身銭を切って買い、手もとに置いておきたいもの。

そうして購入した本の一つ一つは、とても愛着が出てくるものです。

院生の皆さんは、気軽に教員から本を借りていきます。一時的にはそれで良いのですが、ぜひ、自ら購入してほしい。そして、速やかに借りた本を教員に返却してほしいものです。次に待っている院生のためにも。

もうすぐ、桜子さんの誕生日。明後日です。再び数学に世界に身を投じようとしてニューヨークに渡った欧介と桜子さんは、その後どんな暮らしをしているのでしょうか? 相変わらず、学者貧乏なのでしょうね。 えっ、ひょっとして、フィールズ賞受賞なんてことは? 

そして、受賞記念に、桜子さんが、ニューヨークのカラオケバーでこんな歌を歌ってたりして、、、、

  ♪純情・愛情・過剰に異常
   やまとなでしこ 七変化~
   素顔の方がウソつきネ♪
  (小泉今日子の「ヤマトナデシコ七変化」)

あるいは、「なんてったってアイドル」(小泉今日子)を替え歌にして、
  ♪なんてたって ビンボー
   なんてたって ビンボー
   私は ビンボー
   ビンボーは やめられな~い♪
  (私が院生の頃、研究室で流行った替え歌)

数学界のノーベル賞と言われているフィールズ賞。その賞金額は、100~200万円くらいなのだそうです。

ねえ、桜子さん! がっかりしないでね。