大学院生にとって、研究指導者(教員)はどんなふうに見えているのだろう?そして、彼らがそうでありたいと思うような指導者像を、私たちは与えているだろうか?
先日、実験医学23巻18号の記事『効率的なバイオ実験の進め方:第5回実験時間をうまく管理する方法~みんな大変忙しいんです~』(佐々木博己・国立がんセンター研究所)(2005)を読んでいたら、胸を抉るような内容にハッと。
「指導者の仕事いろいろ」で、下記の項目を挙げている。
□ 人材のリクルート
□ 実験計画
□ 自らの実験
□ 研究費の申請
□ 報告書
□ 業者への対応
□ 共同研究打ち合わせ
□ 学会発表
□ 学会の係、役員
□ 論文執筆
□ 依頼原稿
□ 留学・就職の世話
□ 所属機関の係
□ 各種セミナー
□ 会議
□ 趣味
□ セカンドジョブ
□ 子守り
□ 家族サービス
大学の場合、この項目のほかに、講義、実習はもちろんのこと。まだまだあります。改修工事対応、停電対応、市水の水汲み、お茶汲み、さくら弁当の注文、構内バス停のスノコの位置直し、憩いのお店の新作チェック、ブログアップ、、、、。きりがありませんね。
佐々木氏が指摘するのは、「指導者が多忙だと若手に反動が出る」こと。上記チェック項目が多いほど、要注意です。「米国では、大きくてブロードなプロジェクトを任せると、若くて優秀な人は消耗し、だめになる」とのこと。「これは教訓ではなく、格段に優秀なライバルを蹴落とす方法」になりうるのだそうです。
うーむ。「秀でているが、専門家の段階では、多忙は身を滅ぼす。自分で自分を蹴落とすのは愚直すぎる」と。参りました!
さて、今日からは、生まれ変わろう(心を入れ替えよう)!
おっと、書き忘れました。佐々木氏はこんなことも指摘しています(救いか?)。
「それでもよく勉強し、指導しているボスには、敬服、感謝すべきです」と。