気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Fun & Games by Duane Swierczynski

2020-08-30 11:01:49 | 読書感想

2012 SHAMUS AWARDS BEST PAPERBACK ORIGINAL P.I. NOVEL

Los Angelesの Decker Canyon Road 。山腹に刻まれた数マイルも続くヘアピンカーブがドライバーに緊張感を与え続ける道路。運転を誤れば谷底に真っ逆さま。女はこの道路がお気に入りのドライブコースだった。危険なカーブを運転自慢のドライバーよりも速いスピードで通り抜けるスリル、タイヤが地面を捉えるグリップ感に魅せられていた。そして今、女は必死の形相で、いつも以上のスピードでその道路を運転していた。間近に迫る死から逃れようとして…

男は警察官だった3年前、自分のミスで捜査中の犯罪組織に、相棒の刑事とその家族を殺されてしまう。自らも何発も銃弾を受けるが男は生き残るという不運(?)にあう。

男は警察を辞め、金持ちが仕事やバカンスで自宅の豪邸を留守にする間、窃盗や火災などの被害に遭わないためその豪邸に住み込み管理する仕事をしていた。誰も訪れることがない豪邸の留守宅でバーボンを飲みながら自分が持ち込んだDVDの映画を大画面のテレビで観て、悔やんでも悔やみきれないあの日の出来事をバーボンで忘れ去る、彼にとって人と会わずに生活できる理想の仕事だった。

だが忌まわしい出来事が起きてから3年たったその日、新たな仕事先の豪邸に赴こうとした男は不運に見舞われる。到着した空港では彼のスーツケースが行方不明になり、依頼先の豪邸の指定された場所に玄関の鍵はなく、男は自ら窃盗犯のように豪邸への侵入を余儀なくされる。さらに屋内の見回りをしていた男は浴室に隠れていた若い美女に襲われ胸を刺される。

襲った女は男を彼女を狙うThe Accident Peopleという犯罪組織の一員だと思ったと云う。女は警察や政府内部にも情報網をもつその組織は事故死に見せかけて人を殺す凄腕の殺し屋の集団であると話す。

男は女はドラッグをやっているのではと考える、自分が組織からの攻撃で死体袋に入っているのを発見するまで。男が死んだと考えた組織が女を探している間、男は女を助けに向かうべきか、救助を求めて自分だけでもこの場を逃げ出し女を助けるのは警察に任せるべきか究極の決断を迫られる。

3年前、男は相棒を助けに向かうことによって、犯罪組織に相棒とその家族を殺されてしまうという過ちを犯していた。男は同じ失敗を繰り返すのではという不安から女を助けようとする行動を躊躇っていた。

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一気に読みたくなる面白さがある。

でも僕の期待していた終わり方ではなかったのが残念。爬虫類並みの脳と自称する男がもう少し現状打開のために頭を働かせてくれたら良かった…

対照的に、殺人を自殺や事故と見せるための舞台設定を考える秘密組織のリーダーの頭脳明晰なこと。予想外の男の出現に慌てることなく、即座に次なる殺人の 舞台設定(シナリオ)を考える決断の速さ、実行力は敵ながら天晴れという感じ。

きっちりと練り上がられた殺人計画が待ち受けてても、頑丈な肉体でピンチを強行突破していく男、最初から最後まで息つく暇なく攻防が繰り広げられいく。

男が守る女優、襲われてパニックになりながらも自分の身を自分で守ろうとする姿は格好良かった。

E-book(Kindle版)★★★★ 2011年6月出版 286ページ


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