気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Fatal Defence by Larry A Winters

2021-07-22 14:28:51 | 読書感想

ペンシルベニア州、Philadelphiaの 検事Jessie Blackが、法学生の夏期インターンの採用面接を行なっている場所に少女が乱入してくる。少女は彼女が検事であることを確認すると父親が女に殺されたが、警察は女を罰することなく釈放したと主張し、女を逮捕して刑務所に収監して欲しいと訴える。人を殺して罪に問われないことはあり得ないと思いながらも少女の話を聴いていたJessieは少女の話している事件が今、マスコミなどで話題になっている事件であることを知る。1か月前、Brooke Rainesは交際中の市会議員のCorbin KeeleyのDVに耐えかね、市内の食堂で別れ話を告げ、その場を去る。激高したCorbinは殺してやると叫びながら彼女を追いかけ、身の危険を感じた彼女は銃で男を殺した。事件はマスコミに大きく取り上げられていて、マスコミは被害者のCorbinは3年前、当時結婚していた女性にもDVを行っていた証拠写真を載せる。そして、Brookeがカッとした彼の暴力から身を守るために銃で彼を殺したのは当然の行為だという趣旨の記事を連日掲載し、女性の行為を称賛していた。警察もBrookeの行為は正当防衛である認めて彼女を罪に問わなかった。

Corbinの娘Carrieはマスコミも警察も母親へのDVを証拠にしているが、父親は母親へのDVを深く反省して、酒を断ち、感情をコントロールすることを学んで、他の女性に暴力を振るうことは絶対ないと話す。少女の公正な法執行が行われていないという非難と熱意とに心動かされて、Jessieは事件について調査してみることを約束する。

事件を担当した刑事にあった彼女は、刑事はBrookeの供述とCorbinのDVの過去から裏付けの捜査をすることなく彼女の正当防衛を認めたことを知り唖然とする。自ら事件現場に向かった彼女は事件当時、現場にいた複数の人からBrookeの供述と矛盾する証言を得る。彼女は少女の父親は変わったという証言が正しいと信じてBrookeを殺人罪で起訴する。その決断はBrooke をDV被害者と信じている世論を敵に回すことになってしまうが、JessieはBrookeが犯罪行為を犯したならばそれを見逃さず罪を問うのが検事としての自分の義務であるとして公判に臨む準備をしていく。

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法律用語が出てきて戸惑うけど法廷でのやり取りは緊張感があって面白かった。被告の行為が自分を守るための正当防衛ではなく故意の殺害だという絶対的な証拠や証人を見つけてこれで有罪になるかと思っていたら、被告の弁護士が有能で見事な反対尋問で被告の正当防衛を陪審員に印象づけていく。Jessieが、読む側も今度こそと有罪を立証できると思うのだが、どうしても、被害者には女性に暴力を振るった過去があり、Jessieが今は暴力的でないと陪審員に立証しようとするのだが、被害者が妻に暴力を振るったときの写真がマスコミに掲載されて世論も被告の正当防衛を支持しているので、反証するのがなかなかうまくいかない。彼女の恋人の元刑事が自分が扱った事件に似たような事件があったことを思い出し、事件の関連性を調べていくのを早くしろと叫びたくなる。

犯人や事件の背景などはすぐに分かるので、恋人の助力を得ながらJessieがいかにこの背景を突き止めていくのか、その過程がワクワク感があって面白かった。

Jessie Blackの性格も魅力的。世論やマスコミが被告人に同情的で被告人を告発する側に立つ証人に対して嫌がらせなどで彼等が傷つくことがないよう思いやって証人として裁判に呼ばないことにする態度など、彼女の法廷で証言する人たちへの思いやる性格が好ましい。

 

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