気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Girl Who  Played with Fire by Stieg Larsson

2013-12-08 10:52:59 | 読書感想

一年間、気ままに海外を旅した後、Lisbeth Salanderは久しぶりにスウェーデンに戻ってきた。彼女は、Mikael Blomkvistのために大企業の不正取引の調査を行った際、天才的ハッカーと言われる能力を駆使して 不法な金をすべて自分の口座に移し、彼女は大金持ちになっていた。そして、その大金の一部を利用して、Salanderは旅にでる前に偽名を使い新たにマンションを購入していた。帰ってきた彼女は、今まで住んでいたマンションは親友のMimmiに無償で提供することにした。

 ある日、Mimmiと行ったバーでSalanderは若者と同席しているBlomkvistを見かける。彼が今何を記事にしようとしているのか気になったSalannderは彼のPCに侵入し、彼が売春目的の人身売買についてスクープを狙っていることを知る。そして、彼女はその資料の中に売春組織の黒幕としてZalaという名前が載っているのを見て愕然とする。

 BlomkvistはSalanderと組んでスウェーデン有数の大企業のスキャンダルをスクープし、その記事に関してテレビや雑誌のインタビューを受け、一躍、有名人になっていた。
BlomkvistはSalanderと親交を深めようとしていたが,彼女に拒否され、ここ一年、彼女と会っていなかった。
雑誌Millenniumの編集会議で編集長のErika BergerDag Svenssonという若者を紹介し、彼が追っている「売春目的の人身売買」のルポをミレニアムで本として出版する計画であることを話す。Svenssonはこの4年間、東欧から10代の少女がスウェーデンに移送され政府高官や実業家、警察官などの性奴隷となっている実態を恋人のMia Johanssonと協力して調査していた。
BlomkvistはSvenssonの熱意に好感を持ち、本の出版へのサポートを決意する。彼は、少女たちの相手をした男たちの実名を公表すること決定し、編集スタッフたちに事実の裏付け調査を行うように指示する。

 一方、Lisbethの後見人である弁護士のBjurmanは彼女に弱みを握られ、彼女の命令に服従していた。Bjurmanは、彼女をレイプする場面をビデオに撮られていて、それが公になった場合、彼の社会的地位が喪失することを恐れていた。彼はビデオを取り戻す手段を探ろうとSalanderの過去の経歴を調査する。

そこで、彼は彼女が12歳の時にAll The Evilと前後見人の弁護士が表現した出来事があり、それ以後、彼女が小児精神病院に収容されたことを知る。そして、その出来事と関連しそうな警察レポートがあることを知るが、そのレポートは国家機密事項として非公開になっていた。少女の何が国家機密になるのか、さらに調査を続けた彼はそのレポートを作成した警察官が知り合いであることを発見する。ようやく手に入れたレポートの中に、Bjurmanは彼と同じようにSalanderに敵意を抱く男がいることを知る。やがて、その男の代理人と会った彼は10万クローネでSalanderの処分を依頼する。

 売春組織に関する本の出版まで3週間と迫った晩、Blomkvistは執筆責任者のSvenssonから電話を受け、組織の首謀者とみられるZalaに関して新たな情報を得たので草稿を書き直したいという趣旨の電話を受ける。締め切り間近の書き直しにBlomkvistは躊躇するが、彼の熱意に負けて認める。

 それから数時間後、Blomkvistは二人が銃で撃たれて殺されているのを発見する。現場で発見された銃には所有者であるBjurmanの指紋の他にSalanderの指紋がついていた。また Bjurmanの自宅に出向いた刑事によって、彼が同じ銃で殺されているのが発見される。事件の捜査責任者のJan BublanskiはSalanderとBjurmanの関係、及び過去の経歴を調べた結果、彼女が暴力的傾向を持つ精神異常者であることを知り、殺人容疑者として彼女を指名手配する。

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数年前に紀ノ国屋のバーゲンセールでこの本を買ったのだが大部なので読むのを今まで躊躇していた。読み始めたら噂通り面白かった。
前作はBlomkvistが主役だったが,今回はSalanderが主役。今回の方が断然おもしろかった。彼女の自立性、どんな場合でも他人を頼らない、自分一人で乗り切ろうとする姿はかっこいい。150センチしかない彼女が巨漢の大男二人に立ち向かう場面は必読。

Salanderの過去が明らかにされていく。じつに凄まじく読んでるこちらがやるせなくなる半生。
相手の暴力に対しての反撃としての暴力、しかし、Salanderは自分に加えられた暴力を第三者に訴えることはなく、相手は反撃された暴力を第三者に訴える。Salanderだけの暴力が取り上げられ、彼女は暴力的傾向をもつ精神異常者と見なされる。Salanderは最初は自分の正当性を主張していた。やがて 誰も耳を傾けないことに絶望し 他人とのコミュニケーションを拒否するようになる。彼女は小児精神科医の診療にも請け答えを拒否し小児精神病院に送られる。退院してからは無能の精神科医の鑑定のためにふつうの社会行動、財産管理ができないとして準禁治産者として扱われる。そして 追い討ちをかけるように明かされる衝撃的な事実、それを乗り越えていく彼女の強さに感動した。

やられたら倍返しだ!2013年ドラマ「半沢直樹」この言葉はSalanderにもあてはまる。
Salanderは女性を虐待する男には当然、虐待されているのを我慢している女性にも嫌悪感を抱く。どうして反撃しないのかと。

Salanderがぺちゃんこだった胸の整形手術を受け、初めてブラを買いに行くところはほのぼのする。
それぞれの登場人物のキャラクターが良い、ちょっと書きすぎだなぁと思うものもあるけど。特に気に入ったのは、刑事Jan Bublanskiのキャラ、たとえ、上司の命令でも理屈に合わないと反抗し部下を守る、

Salanderに首根っこを押さえられたBjurmanが 反撃をたくらんで彼女の過去を徹底的に調べ、怪しげな奴と密会する。
Salanderが12歳のときに起きたAll The Evilとは何か?Blomkvistと売春組織との緊張関係、まるで導火線の火花のようにその事実が、対決が、いつ爆発するのか緊迫感が続いて面白かった。

ただ スウェーデンが舞台であるため人名、地名が分かりづらかった。

★★★★★  PB 649ぺーじ

 

 

 


 


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