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気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Body Work by Sara Paretsky

2015-11-29 10:06:23 | 読書感想


従姉妹のPetraが給料の良さに惹かれて、ほぼ全裸の女性が自らの身体をキャンバスにして観客に絵を描かせるBody Artが人気のある、いかがわしい店でアルバイトを始めたのを危惧し様子を見に行ったV.I.Warshawski(Vic)は、店の裏口で女性が銃撃される場面に遭遇する。Vicは傷の手当てをしようとするが、彼女は「Alley」という言葉を最後に息をひきとる。殺された女性Nadia Guamanはこの店の常連客で、いつもBody Artist(Karen Buckley)の身体に女性の顔を描いていた。そして、容疑者として浮かんだのは、同じく店の常連客でイラク帰還兵のChad Vishneski。店の誰もが二人が口論しているのを何度も目撃していて、Vicも事件の前日、Chadが凄まじい剣幕で彼女に詰めよっていたのを目撃していた。匿名の電話を受け、彼の自宅を急襲した警察は彼がドラッグの過剰摂取で意識不明の状態でいるのを発見する。さらに、彼の傍らに殺害に使用された銃があるのを発見、直ちに彼は逮捕勾留され、刑務所内の病院の救急治療室に収容される。

Vicは自分には関係ない事件と無関心を装おうがNadiaの死に顔が頭から離れなかった。そして、事件が報道された翌日、事務所に着いたVicをChadの父親が待ち受けていた。彼は、息子が女性を殺すことはあり得ないと主張、仮に息子が女性を殺したとしたら、何がそんなに彼を逆上させたのか調べて欲しいとVicに依頼する。Vicは、状況証拠からChadの犯行だと思っていたが、父親の主張を尊重し、彼が無罪であるという前提で調査を進めることを決心する。

Vicは二人の接点を探るため、彼らの身辺を調査することから始める。
Chadは軍隊に入るまでは陽気な男だったが、イラクでの任務中、彼を除く彼の部隊全員が殺されたことで精神的ショックを受け、除隊後、精神的に不安定になり怒りぽい性格に変わってしまっていた。

Nadiaの身辺を調査したVicはNadiaが死に際に彼女に漏らしたAlleyという言葉が、3年前、イラクで死んだ彼女の姉Alexandraを指していることを知る。同時期、Chadもイラクに派遣されていた。NadiaとChadを結びつけるものはAlexandraではないか?
また、本来、男性客を対象にしていると思われるショーに、何故、Nadiaはしつこく出続けたのか?body Artistと彼女は知り合いなのか?
事件の鍵を握るのはAlexandraとBody Artistだと思ったVicは二人について徹底的な調査を決意する。

そんな一方で、Vicは、NadiaとChadの部屋が荒らされ二人のパソコンが持ち去られているのを発見し、Chadが犯人であることに疑問を感じ始める。
だが、精力的に調査を進める彼女の前に、調査を阻止すべき、巨大軍事産業と金融マフィアが立ち塞がる。

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ちょと複雑な人間関係、。ChadとNadiaの調査に行き詰まるとAlexandra,それにも行き詰まるとBody Artist、さらにクラブのオーナーのOlympiaと調査対象が目まぐるしく変わって、それぞれの人間関係、利害関係、読み返さないとわからなくなる、Vicが言っているように表にしてみたくなる。

相変わらずVicは猪突猛進、相手が大物であろうと非協力的であろうとも怯むことなくねばり強く接触し情報を引き出そうとする。しかし、今回登場したBody ArtistとOlympiaという二人はVicと同じぐらいタフ、Vicの執拗な面会要求もさらりとかわしてしまう。自分のことは自分で守れるという矜持をもっていて、とても魅力的なキャラだった。

疲れたという言葉が頻繁に出てくるようになり、老眼にもなってきたと嘆いているわりに、犯人を誘き出すために最後に見せたVicの行動にはビックリ!まだまだ若いと 思い安心した。

Kindle版 ★★★★  443ページ


Lousiana Longshot by Jana Delleon

2015-11-15 11:21:52 | 読書感想


CIAの特殊工作員Fortuneは中東での麻薬取引の囮捜査の最中、12才の少女をアラブの族長に売り渡そうとする男がいるのを目撃して、怒りのあまり自分の任務を忘れ、男を履いていたハイヒールを使って殺してしまう。その結果、囮捜査は失敗に終わり、さらに殺した男が名うての武器密売人の弟だったことから、彼女はその武器密売人から彼女の命に莫大な懸賞金を懸けられる。

彼女が世界中の犯罪組織から命を狙われることを懸念した彼女の上司Morrowは、彼らが武器密売人を逮捕するまで、Fortuneに彼の姪に成りすまして、Loisiana州のSinfulという湿地帯にある小さな田舎町に身を潜めているように命令する。 Morrowは、彼の姪は最近亡くなった Sinfulに住む叔母から財産を相続したが、一度もそこに行ったことがないので、住民は誰も彼女の顔を知らずFortuneが姪のSandyーSueと名乗って財産整理のため叔母の家に滞在しても誰も疑わないと渋るFortuneを説得する。

Sinfulの叔母(?)Margeの家に着いた彼女は、Margeの親友だったという老婦人GertieとMargeが飼っていた老犬Bonesに出迎えられる。Fortuneは、世話好きなおばあちゃんと老犬に囲まれての退屈な日常を予期して一刻も早く任務に復帰することを願う。しかし、用足しに離したBonesが裏庭を流れる川から人骨を咥えて戻って来たことから様相は一変する。

人骨は5年前から行方不明になっていた町一番の大金持ちで嫌われ者Harvey Chicoron、容疑者は町の誰もが大好きな彼の妻Marie、彼女はMargeやGertieたちの親友だったためFortuneは否応なしに事件の捜査に巻き込まれていく。

だが、Fortuneは慎重に行動しなければならない。もし、自分の存在がこの事件を通じて、世間やマスコミの注目を浴びることになり、自分の顔写真がマスコミに曝されることになれば、彼女の正体がばれ、彼女の身に危険が迫ることを意味する。

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コージーミステリーらしくハッピーエンドで終わる。アメリカ人好みのドタバタにはちょっとついていけないところもあるが、ストーリー自体は良くできていてうまく捻りもあって面白く読めた。とにかくキャラが魅力的。

暴力にまみれた生活を送っていた男や元殺人課の刑事などが平穏な生活を求めて田舎町に住み着く。しかし、そこで事件が起き男は巻き込まれていき、やむなく以前の経験をいかして事件を解決するというパターンは良くあるが.CIA所属の女性暗殺者が身分を偽ってちっぽけな田舎町に身を隠すというのは、初めて読むパターンでヒロインが何時その凄腕を見せるのかワクワクしながら読んだ。
Kindleだと無料なので是非一読を!

Fortune Redding
CIAの特殊工作員(暗殺者)。
15才の時に亡くなった父親、一度も仕事をしくじ を ったことがない超優秀なCIA エージェントだった父親を尊敬、目標としている。
人に会うとその人の身長体重など身体的特徴を素早く評価し、相手の弱点を探る。
正義感が強く直情径行、状況を考えないで、目の前の出来事に興奮して行動する傾向がある。無理に眠ろうとするときは羊の数を数えるのではなく手榴弾の数を数えて眠ろうとする。愛読書は武器に関する本。自分の任務に関係すること以外に興味を示さない。化粧もしない。本人は気づいていないが、かなりの美人。銃以外、身近なもの、例えば自分が履いていたハイヒールなどを利用して人を殺す能力にも優れている。

Kindle版 ★★★★ 紙の本の長さ 250ページ 

 

 


164円でBoschを読む!THE DROP

2015-11-01 09:48:40 | 読書感想

Amazonは期間限定である本の値段を超特価で販売している。そしてその期限が過ぎると値段を戻す。前に読んだBoschシリーズのこの本の次回作Burnning Roomも162円で 読んだが、今は500円になっている。円安で洋書の価格が上がっているので、こういうサービスはありがたい。

この本の中でBoschは3つのDROPの問題に直面する。

20数年前、海水浴に来ていた19才の女性が強姦され、殺される事件が起きる。事件は、犯人を特定逮捕することなく現在に至る。そして今、迷宮入り事件(The Open-unsolved Unit)を担当してい るBoschは、最新の鑑定技術で、その事件の証拠を洗い直していた鑑識から犯人が被害者の首に残した血の1滴(drop)がDNA鑑定の結果、性犯罪歴のある男Clayton PellのDNAと一致したという報告を受ける。Boschは Clayton Pellの性犯罪歴を見て、彼が犯人であると確信するが、男の生年月日を見て愕然とする。犯人と思われるPellは当時8才だった。8才の少年が19才の女性を強姦して殺す?、あり得ない状況にBoschは困惑する

また、長年、Boschを目の敵にしている市会議員Irvin Irvingの息子Georgeがホテルのバルコニーから転落死(drop)する事件が起こる。IrvingはBoschの捜査手腕を買い、彼に事件を捜査するよう署長を通じて要請する。Boschは、不本意ながらも、署長命令に従い、事件を捜査することに同意する。先乗りした刑事たちは、Georgeがバルコ ニーのある最上階の部屋を予約していたことや飛び降りたときの悲鳴が聞こえなかったことなどから、彼は自殺したと断言した。しかし、BoschはGeorgeの肩についていたアザから他殺の可能性を疑う。

このふたつのDropに関する事件を捜査するBosch自らも、DROP(Deferred Retirement Option Plan)と名付けられた熟練刑事の定年を延長する制度と直面する。この仕事が好きな彼は最大限の5年の延長期間を希望しているのだが.ふたつの事件の捜査が彼自らのDROPについての想いに影響を与えていく。

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価格が安いので作品的につまらないかと思って読んだが面白かった。とくに8才の少年が殺人犯という設定は、どういう結果になるのか興味をひかれた。些細な証拠を見逃さず事実を突き止めていく。明快な推理は心地よい。ただ、事件の盛り上がりという点で、二兎を追うもの・・という感じもしたので★3つ。また、次回作 The Burning RoomでBoschのパートナー が代わっているのも納得。

 Kindle版 ★★★ 紙の本の長さ 401ページ  164円


Hushabye by Celina Grace

2015-10-12 21:31:31 | 読書感想
イングランド西部the West Countryの1月、Nick,Casey Fullman夫妻の家で、ベビーシッターが殺され、3ヶ月の乳児Charlieが誘拐される事件が起きる。この警察署に新たに赴任してきたDS Kate Redmanは仲間の刑事との挨拶もなしに、いきなりの事件現場に向かうことに緊張しながらも興奮する。事情聴取に立ち会ったKateは、母親CaseyのCharlieにたいする絶対的な愛情、そして、それを奪われた時の絶望感を見て、12年前の忘れようとしても忘れることができない悲惨な出来事を思い起こし、Caseyの気持ちがわがことのように思われ、彼女は何としても子供を取り戻してあげたいと誓う。
Kateは夫妻の住む豪華な建物、家具類を見て、身代金目当ての誘拐事件と推測する。しかし、身代金の請求がないこと、家に押し入った形跡がないこと、不法に侵入した場合に作動する警報が鳴らなかったことなどから犯人は家の鍵を持ち、警報の解除の仕方を知っている家族などの限られた者の中にいると彼女は考え始める。そして、Kateは夫のNickが絶望悲嘆にくれる妻と違い、息子の安否が不明の中でも、仕事に熱中する様子に違和感を覚える。さらに秘書との異常な親密感、子供を自分たちのそばに置かず自分たちの寝室から離れた部屋に置くという子供に対する愛情の希薄さ、Kateは彼の犯行を疑う。しかし、彼にはアリバイがあった。また、秘書の犯行も疑うが、彼女にもアリバイがある。壁に突き当たった彼女は事情聴取によって活路を見いだそうとするが、刑事としての大失態を犯し、失職の窮地に陥る。
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うーん、誘拐事件というのは時間の経過とともに増してくる緊迫感が魅力なんだけど、その点でちょっと緊迫感がなく、たんたんと物語が進んでいき、いつのまにか犯人が分かるような感じで、ちょと不満かな。
でもKateというキャラは魅力的。読み進んでいくうちにだんだん引き付けられていく。つらい経験のせいか、18歳の時に名前をKellyからKateに変えていたり、アル中気味の母親の影響で仲間との会合でも酒は飲まずジュースを飲むという不思議なキャラ。
また犯人の動機も切ないものがあり終わりはしんみりしてしまう。
 
 Kindle版 ★★★  268ぺーじ 389円   発売日2013年12月11日

No Time For Goodbye by Linwood Barclay

2015-09-23 17:05:30 | 読書感想

14才のCynthiaはボーイフレンドと深夜、公園で酒を飲んでいるところを父親に見つかり口論の末、自宅に連れ戻される。翌朝、昨日の行動を反省しながら目覚めた彼女は、自分以外、家に誰もいないことを知る。しかし、父親は仕事、母親は兄のToddを車で学校へ送って行ったと考え、二日酔いに苦しみながらも学校へ行く。そして昼休み、昨日の自分の行為を謝ろうと自宅へ電話した彼女は、母親が自宅に戻っていないことを知る。さらに、兄のToddが登校していないことを知り、家へ駆け戻った彼女は自分一人を除き、家族が何処ともなく立ち去って消失してしまったことを知る。

25年後、彼女は高校教師の夫と、8才の娘と幸せな生活を送っていたが、今もなお、なぜ家族は自分だけを残して去っていったのか?もし、彼らが何者かに殺されたのならなぜ自分だけ殺されなかったのか?という疑問に苛まれていた。そんな彼女に過去の未解決事件を取り上げるテレビ番組のプロデューサーが出演依頼の交渉にやってくる。彼女は家族についての情報が得られることを期待して同意する。

そして、そのテレビ出演をきっかけに、彼女ら家族の周辺で奇妙な出来事が次々と起こる。彼らを尾行しているように見える茶色い車、奇妙な電話、彼らが留守の間に台所に置かれていた父親の帽子、深夜、家の様子を窺っていた男。

Cynthiaは家族が生きていて、彼女と連絡しようとしていると興奮する。そして彼らの行方を探すために私立探偵を雇う。しかし、Cynthiaの夫のTerryは、妻の家族に対する想いを理解しながらも、一連の出来事は、警察に家族についての再捜査を行わせるための妻の自作自演ではとの疑念を抱く。そんな中、ついに殺人事件が起こる。

 

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物語の設定が面白い。とくに、Cynthiaのキャラが魅力的。親子喧嘩した翌朝、家族がいなくなっている。置き去りにされたCynthiaの後悔、不安がよく描かれていて物語に引き込まれてしまう。物語の展開もテンポ良く進み、次々と新事実が明らかにされ家族失踪の謎解きがどうなるのかワクワクしながら読んだ。しかし、謎解きの仕方がいまいちまどろっこしかったので★ひとつ減。

 

Kindle版 ★★★★  452ページ 発売日2009年3月


Dead Heat (Lucy Kincaid) by Allison Brennan

2015-08-23 11:13:28 | 読書感想

TEXAS州、San Antonio、FBIのViolent Crimes Squadに配属されて3ヶ月の新人、Lucy KincaidはDEAのBrad Donnellyがチームリーダーである犯罪者の一斉摘発を目的とする地元警察、DEAとの共同作戦に参加する。

そして、この作戦の最大の標的であるドラッグ業者で凶悪犯のGeoge  Sanchez ,Jaime Sanchezの兄弟が匿われている妹Mirabelleの家に向かったLucyは、Bradから同居している妹の娘たちが銃撃戦に巻き込まれないよう彼女たちの保護を命令される。Lucyは、家に突入するや直ちに姉妹を外に連れ出し保護するが、7歳の妹のBellaから警察が来たのは地下室に監禁されていた少年Michaelの救出のためかと聞かれ愕然とする。少女によると少年はJaimeのもとで働いていたが、ルールを破ったとしてここ4週間、地下室に監禁されていた。MichaelはBellaに、近々、Jaimeは彼をある場所に連れていき、そこで彼は殺されると話したので、彼に同情していた少女は秘かに彼を逃がした。そして、少年が逃げたのを知ったJaimeは彼を探しに行ったと。

LucyはBradに、Michaelが4週間拘禁されていたことや、Jaimeが直ちにMichaelの追跡に向かったことから、Michaelという少年がJaimeたちの組織にとって重要な存在であると主張し、彼の行方を突きとめ、彼から情報を得ることが必要であると提言する。しかし、Bradは逮捕することができなかったJaimeの行方を追うことに執着していて、麻薬組織が少年を運び屋として使うのは珍しいことではないと主張し、あまり少年については感心を示さず、少年の行方についてはFBIの管轄としてLucyに委ねる。

そしてBradは彼女にMichaelという少年について心当たりがあるというCPSのCharlie DeSantosという男を紹介する。Lucyは彼から少年はMichael Rodriguezという名前で、母親は死亡、父親は殺人で刑務所に収監されていて、彼は児童擁護施設のfoster homeに収容されていたが1年前にfoster homeを逃げ出してから行方不明となっていた。LucyはCharlieから得た写真をBellaに見せ、少年がMichael Rodriguezで13才であることを確認する。さらに彼女は同じように父親が刑務所に収監されている子供たちがJaimeから脅され、foster homeから逃げ出し、Jaimeたちの組織で働かされていることを発見する。

Lucyは、犯罪者の子供は父親と同じように犯罪者になっていくという犯罪の連鎖から逃れられない、というBradの冷徹な指摘に反発し、子供たちを救出することを決意、地元の犯罪組織に詳しい恋人Seanの兄Kaneに協力を求め、Michaelの捜索に全力をあげる。やがて彼女は、Jaimeの背後に巨大な組織が存在していることを突きとめる。そんな中、BellaがJaimeに連れ去られるという事件が発生する。Lucyは二人を救出するために天職と考えているFBI捜査官の地位をなげうつ覚悟を迫られることになる。

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親が犯罪者である子供たちの過酷な運命に絶句。救いの道が見当たらない。

13才の少年がここまで固い決意をもって行動することに驚嘆。

7歳の時に、親族が殺される事件が起き、18歳の時にレイプに会い、そのレイプ犯を殺すというLucyの凄まじい人生に唖然。

でも その悲惨な経験をおくびにも出さず、捜査に打ち込む姿は魅力的。とくに、Lucyの最初、頑なに捜査に協力することを拒否していた人々から必要な情報を得ていく訊問のうまさに驚嘆。

また、女性が主人公のわりにクライマックスはすごく男ぽっく、骨ぽかった

はじめて このシリーズを読んだ僕にとって、あまりにも登場人物が多すぎて、あらゆるところにLucyを助ける人物がいるようで、もうすこし彼女の力で真相に迫っていくほうが僕好みである。

 

 Kindle版  ★★★★ 416ぺーじ


Against All Enemies by John Gilstrap

2015-08-09 10:30:45 | 読書感想

 

Jonathanはかって彼が所属していた、アメリカ軍の精鋭中の精鋭部隊Unit のRollins大佐から、UNIT所属のDylan Nasbe(通称Boomer)がアフガニスタンの任務から戻った後、行方をくらまし、その後同じ任務に従事していた仲間の特殊工作員を殺し、さらに国家の秘密事項を諸外国に売ろうとしていると告げられる。今、すべての国家機関が生死に関わらず彼を逮捕しようとしていることも。

RollinsはJonathanにBoomerは精神的に病んでいると話し、彼と話し合う必要があると言い、Jonathanに彼の所在を突き止め生きて連れ帰るよう要請する。JonathanはBoomerとは彼がUNITを去る前に、作戦行動を共にしたことがあり、Bommerの人柄を熟知しており、そのようなことをするには理由があるはずと考え,彼からその理由を聞こうと彼の行方を突きとめることを承諾する。

JonathanはBoomerの性格を分析して彼が南米のVenezuelaにいると推測し、彼の妻にJonathanとBommerだけがわかるある場所で自分達と会うようメッセージを託す。そしてその場所でBoomerと出会ったJonathanは、彼がUnitの仲間が彼を探しに来るのを待っていたと告げられる。そして、彼は現大統領政権を覆そうとする計画が進められているのを発見したと言い、最近起きた下院議員Blaineの暗殺事件、上院議員Haynesの暗殺未遂事件を彼らの仕業と断定し、Jonathanたちに協力を求める。Jonathanは彼の話を信じるが、彼の友人のFBI長官に連絡するには証拠が希薄として当面は自分達だけでこの計画を阻止すべく全力をあげることを決意する。

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この本を読みたいと思ったのは、優秀な特殊工作員が突然、3人の仲間の特殊工作員を殺し始める。なぜなのか面白そうに見えたので。

しかし、先を読もうとする意欲がなかなか起きなかった。このJonathan Graveのシリーズは本作で7巻目、シリーズの最初の頃は誘拐された人を救出するという緊張感があってかなり面白かった。しかし、この本は軍隊による政府転覆。しかも、相手は軍隊経験がない若者の寄せ集め。相手として物足りない。

何かひねりがあるかと思いきや、だらだらとbadguysとgoodguysの様子が綴られていく。また、いつものように彼らに銃を向けたものは容赦なく殺す。戦闘能力を奪えば良いと思うのだが

読み終わった後、これでおわりなの?と拍子抜けしてしまう。

 

  Kindle版 紙の本の長さ 512ぺーじ

 


Kidnapped by Jan Burke

2015-07-26 08:47:00 | 読書感想

5年前の5月、カリフォルニア州Las Piernas、芸術家Richard Fletcherが自宅で殴り殺され、3歳の娘Jennyが行方不明になる事件が発生する。翌日、警察は息子のMansonを殺人容疑で逮捕する。逮捕された時、彼の乗っていた車から凶器に使われたと思われる血に塗れたトロフィーと衣服が発見され、さらに、父子がたびたび口論していたという証言などから、Jennyの生死は不明だったが、彼は裁判で終身刑を宣告される。しかし、Mansonの異父弟Calebだけは、兄の無実とJenyyの生存を信じていた。以来5年間、彼は毎週末、兄を刑務所に訪ね、さらに、兄を陥れたのは誰か探し続けていた。

地元の新聞「Las Piernas Express」記者、Irene Kellyは毎年、100万件近く起きるMissing Childrenに関心を持ち取材する。特に、家出についで多いfamily abduction、親権をはく奪された父親、母親が子供を誘拐するケースに注目し、記事を書く。記事を読んだ人から行方不明の子供たちに対する情報が、今も子供を待ち続ける親に届けられることを期待して。そして 記事に対する読者の反応に対応していた時、Ireneは編集部長のJohnから、人員がいないことを理由に、切断された腕が発見されたという建築現場に行き取材してくるよう命令される。彼女は殺人課の刑事と結婚したことで 取材の公正さを疑われることを危惧した社の方針で、殺人事件の記事を書くことを禁止されていた。彼女が記事を書くのではなく、犯罪記事担当のMarkのサポートとして現場に向かった彼女は、友人の鑑識員Benと彼の助手として働いているCalebと出会う。彼女はCalebが誰であるかすぐに思い出す。社に戻った彼女はMarkに取材内容を伝えた後、5年前にCalebの家族に起こった悲惨な事件の資料を取り出して事件を検討する。そんな中、彼女のもとにやってきたMarkから、建築現場で発見された遺体はGerry Serreという男だと教えられ愕然とする。Ireneは今朝、彼女の記事を読んだというJane Serreと名乗る女性から2年前、元夫のGerry Serreが3歳になる息子Lukeを連れ去ったという電話を受けていた。Lukeはどうしたのか?気に病む彼女に遺体などを探索するsearchdogのトレーナーSheila Dolsonが探索犬が建築現場から新たな遺体の一部を発見したと電話をしてくる。Ireneは直ちに現場に向かうが、常にマスコミの注目を浴びようとするSheilaの態度に不快感を抱いていた。Sheilaは刑事たちの許可なく現場に入ったという非難にもめげず、現場から探索犬が歯を発見したと報告する。しかし、Benの完璧な仕事ぶりを知っている彼女は、彼が現場に残された遺体や骨を見逃すことはないと確信していた。IreneはSheilaが証拠(歯)を捏造したことを疑い、彼女の身元を調べ始める。そしてSheilaは犬のハンドラーではなく死んだ母親の訓練犬を引き継いでハンドラーと偽っていたことを突き止める。なぜSheilaは身分を偽り、証拠を捏造したのか?Sheilaを問い詰めようと彼女の家に向かったIreneは彼女が殺されているのを発見する。Ireneは直ちに警察に通報すると同時に、電話機の脇に置かれたメモ帳に書かれた電話番号をひそかにメモして、あとで彼らに電話することによって、犯人を捜す手がかりを得ようとする。また BenとCalebを招待した夕食の席でMansonのことが話題になり彼女は事件について調査することをCalebに約束する。
そして missing childrenの続報をIreneが新聞に載せたとき殺人の連鎖が始まる。

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誘拐というテーマは好きなジャンルで、ストーリーの展開もIreneというキャラも僕好みでおもしろかった。。でもプロットは現実的に考えると無理なのではと考えてしまう。また、終盤の盛り上がりがちょと物足りない。

そして、キャラが多すぎ、各章ごとに違うキャラが登場、物語を進めていく。誰が誰だかわからなくなる。ほんらい、探偵役のIreneがそれらの人物、人間関係を整理してくれると思うのだが、この本では自分で前のページに戻ったり、検索をかけたりして読まなくてはいけない。せめて2,3人に絞って他のキャラは彼らの視点で語ってくれたほうが読みやすかった。

 ★★★ Kindle版 402ぺーじ

 


The Burning Room by Michael Connelly

2015-07-12 12:59:56 | 読書感想


カリフォルニア州、南ロスアンジェルス,土曜日、午後、人々でにぎわう広場で仲間とバンド演奏していたMercedはギャング団同士の抗争の流れ弾を背骨に受ける。彼は10年間さまざまな合併症に苦しんでいたが、10年後の今、遂に亡くなる。また、銃撃した犯人も逮捕されることなく今に至る。未解決事件の再捜査を担当しているBoschは、上司のCrowderからこの事件の捜査を命じられる。当時、この銃撃事件は、市長選に立候補していたArmand Zayasによって、南LAの治安の悪さの象徴として利用され、当時マスコミによって大々的に取り上げられた。そして、いま、検死官は、彼の死は10年前の銃撃に起因するものと断定、警察は殺人事件として捜査することを決定したことから、再びマスコミの関心を呼び、現在、州知事を目指しているZayasの同席のもとBosch達は記者会見を開くことを余儀なくされる。

マスコミや政治家の圧力の中、Boschは新たにパートナーとなった新米の女性刑事Lucia Sotoに捜査のイロハを教えながら、10年前の捜査資料と、今まで生死に関わるという理由で取り出すことができなかった背骨から取り出した銃弾という新証拠から迷宮事件に挑んでいく。
そして取り出した銃弾の鑑定結果から凶器は狩猟用ライフルであることがわかり、Mercedは、流れ弾に中ったと云うより、何者かが彼の命を意図的に狙ったと思われた。さらに、当時の現場の監視カメラの映像を最新の科学技術で鮮明にし、狙撃された映像を分析したBoschたちは不審な動きをしている人物を発見する。
10年という歳月が過ぎ、当時の関係者の記憶が薄れていく中、Boschは丹念に捜査資料に載っている人々の所在を突き止め、その人々に対する聞き込みから徐々に犯人に迫っていく。いつのまにか開けてはならないburnning roomの前に佇んでいることに気づかずに・・・

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Kindle版が無料だったので、有名なHarry Boschのシリーズを読んでみた。
ちょと予想外の終わり方だった。
でも、思い返すとちゃんと伏線が張ってあった。そのほかにも、後になってなるほどと思う謎がちりばめられていて、よくできたプロットだと思う。

Boschというキャラを誤解していた。僕は、Boschに「ダーティーハリー」のイメージを持っていた。仲間から浮き、上司のことなど無視、相方にも黙ってついてこいという感じで、法律を無視した強引な捜査方法で犯人を追い詰めていく、と思っていた。が、自分たちが解決できなかった事件を再捜査することに不愉快な気持ちになっていると思われる刑事たちにも、何か新しい手がかりを発見して犯人が特定できたら一緒に逮捕に行きましょうと気を使ったり、時には、パートナーのSotoに尋問を任せ、自分は後ろに控えていたりと穏やかで思いやりのある僕好みの性格、とくに娘に関しては親バカぶりを発揮、男とのデートに危険がないか心配してこっそり陰から娘を見守っていたりする。

BoschとSotoのコンビネーションも良い。主に聞き取りはBoschが担当し、聞き取りしたい相手の居場所や犯罪歴などはPCに慣れているSotoが担当、順調に捜査を進めていく。翌日の捜査について彼女に説明して、納得行くまで討論する。ただSotoはBoschに打ち明け、彼も協力していたが、自分が関係者でもある20年前の放火事件について執着を持っていて、一人で密かに捜査している様子があり、二人の関係が壊れないか冷や冷やする。

引退という言葉が頭に浮かび、若い女性刑事を一人前の刑事に育てていこうというBoschを見ると、長く続くシリーズのヒーロー、ヒロインが年が経るごとに歳取っていくことに寂しさを感じる、ヒーロー、ヒロインは歳を取らないというのはダメかな。

Kindle版 ★★★★ 390ページ

 


Deja Dead by Kathy Reichs

2015-07-05 10:51:15 | 読書感想

カナダ、ケベック州Montreal、6月の木曜日、元教会の所有地だった場所で電力会社の保守作業員が骨を発見する。連絡を受けた科捜研の法人類学者Temperance Brennan(Tempe)は白骨の鑑定に行く。白骨は首、胴体、手足を切断されゴミ袋に入れられて放置されていた。Tempeは死後2、3ヶ月経ったほぼ白骨化した他殺体であると断定する。所内で検死した彼女は死体は若い女性で白人と推定する。行方不明届けの中から、可能性のある該当者の歯型の照会をした結果、被害者はIsabelle Gagnon、23歳の女性であることがわかる。Tempeは去年10月、Chantale Trottierという16歳の少女が、同じように首、手足を切断され、ゴミ袋に入れられて放置されていた事件があったことを思いだし、事件を担当している刑事Luc Claudelに同一犯の可能性を主張する。しかし、Claudelは、彼女は検死が専門であって、捜査には門外漢だとしてその忠告を無視する。
Tempeは、犯人のさらなる犯行の可能性を危惧していて、Claudelが二つの事件の関連性を無視したことに苛立ちを覚える。
Tempeは殺された女性の痛み、無念、恐怖、絶望を想い、何としてもserial killer の次なる犯行を阻止しようと、自ら行動を起こすことを決意する。
・・・それが彼女の身辺の人物を危険にさらすことになっていくことを知らずに・・・
そして、彼女の恐れていた第三の犠牲者が発見される。

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読む本に困ったときに参考にしている児玉清さん「寝ても覚めても本の虫」に紹介されていたので読むことにした。しかし、馴染みのないフランス語の地名、フランス語が混じった会話、比喩の多用、僕の語学力では読みづらかった。

死体なら、毒殺か、扼殺、刺殺などが検死で分かるだろうが、骨を調べて何が分かるのだろうと思って読んだが、読み進むうちに、骨が死因や犯行の手がかりを与えることを知り、今、ミステリーの中で鑑識という分野のTVが流行っているのも納得できた。
また、検死といっても様々な専門家がいるとわかって興味深かった。病理学者、身元を特定するために不可欠な歯型を鑑定する歯科医、白骨化した死体を調べる法人類学者、レントゲン技師など・・ただ、そこまで知る必要があると思えないほど、事細かにかれらの作業が述べられていて、骨の部位など辞書を引かねば分からない単語や死体を切断した鋸についての延々とした説明はちょと退屈。

Tempeは粘り強く調査して、killerがどのように被害者の女性たちを選んだのかなど、次々と手がかりを探し出す。次に彼女がどういう行動をとるのかと期待してページをめくると、なぜか、Jazzのコンサートや映画、ヨガに行ったりと、調査に関係のない私的行動が書かれていて、拍子抜けしてしまう。もうちょっと緊張感、スピード感が欲しい。
ただ、刑事たちから骨の鑑定だけをして、事件については口出しするなという非難、非協力にあいながらも被害者の無念、さらなる犯行を抑止するために、killerを特定しようと孤軍奮闘、Tempeの頑張る姿は好感が持てる。
 
しかし、それぞれの死体はバラバラに切断されて、ゴミ袋に入れて放置されていたという共通性がありながら、刑事たちがシリアルキラーについて考えないのはちょと不自然の感じがする。ふつう刑事ならば関心を持つと想うのだが。
 

児玉さんはTempeの性格について爽やかで品格があると書かれたが、児玉さんが読まれたのは3作目、僕は処女作を読んだせいか、Tempeは感情の起伏が激しい性格だと思った。自分の意見を強行に主張したと思うと、もしかしたら刑事の云う通りかもしれないと急に弱気になったりする。そんなに興奮しなくとも、そんなに落ち込まなくともと思ってしまう。大学生の娘がいるのだから、もうすこし落ちついた性格のほうが安心して読んでいける。このストーリーは、TVドラマ、Bonesの原作だが、テレビのTempeのほうが生き生きとしていて魅力的。


終わりに出てくるClaudelがTempeに送ったメッセージ
We are the last line of defence against them: the pimps,the rapists,the cold blooded killers. (Deja Dead P411より 引用)
は良い言葉だと想う。作者は実際に法人類学者として捜査に携わっているようなので、すべての捜査関係者の想いをそのメッセージに託したのかもしれない。

 ★★★ Kindle版 411ぺーじ

Forrensic anthropologists work with the dead for whom normal autopsies are impossible-the skeletal,mummified,decomposed , dismembered,burned, or mutilated. We're consulted on many issues,all of which are answered through analysis of the bones.(Deja Deadの終わりに抜粋されていたBones of the Lost より引用)