5月3日にも書いたように子供の頃に木で戦艦大和の模型を作ることに夢中だったので、木彫にも興味があり、仏像や能面などの制作のテレビ番組などがあればよく見ていました。その中で、何時も疑問に思っていたのが、一つの能面で喜怒哀楽を現すということでした。
それは、舞う人の技量で、そんな事が出来るのだろうとりかいしていました。ところが、どうやら面にも仕掛けがあったようです。
坂出市のお医者さんが出版された本にそんなことが書かれていました。
くすしのこころ ― 臨床医兼教育委員として ― 国重昭郎 より
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「増女」の面。これは、皆さんも良くご存知の般若の面、般若の面は女性の嫉妬の悲しみと怒りの極限を表現しているのであのような鬼のような表情をしているのですが、それとは違って、増女の面は、憂いを含み神性を感じさせ、天女や神女の役によく用いられるんですね。このように一見無表情に見える能面にも実は様々な表情が隠されているんですよ。それでね、またこれも能のというか、能面の奥深さなのですが、この増女の面をじっくり見てみてください。左右で目の感じがほんの少しだけ違うのにお気づきですか?
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そうなんです。右目が四苦を悔やみ、恨みや恐れを感じさせる切れ長できつい感じに、左目が優しく感じられるように作られています。能の舞台を想像してみてください。仕手は、舞台に向かって左手から出てくるでしょう。つまり、観客である私たちには、まず右目が見えることになる。初めには恨みを持った女も、終わりには優しい眼差しへと変わって舞台を終える。一つの面でも心情の変化を表現できるようになっているんです。…以下略
参考:能面ホームページ → 増女②(ぞうおんな)
これは全く知りませんでした。能をやる人にとっては当たり前のことなのでしょうが、想像もしていませんでした。
そういえば、人間の顔で左右が同じ人は殆どいないそうですが、それに通じる所でもあるのでしょうか。
今度、能面を見るときにその辺りに注意してみたいものです。
それにしても、知らないことばかり!
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