ディーゼルエンジンの問題で尾張かと思っていたVWですが、いつの間にか持ち直して意多様です。
ところが、ベンツと同じでEVでつまづいたようです。
ドイツの主力産業である自動車のこの逆風はどうなるのでしょうか。ドイツの自動車産業が終わればドイツも終わるのじゃないでしょうか。
宮崎さんが取り上げてくれています。EVは世界の自動車産業の勢力図を一変しそうです。自動車産業を日本が制覇する時がくるのかも。
そうなると、ドイツに抜かれたGNPも逆転できるでしょう。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和六年(2024年)9月4日(水曜日)弐
通巻第8395号
ドイツ国民車VWの落日。従業員65万人のマンモスはどうなる?
ドイツ国内の工場を閉鎖へ。中国との競争に負けたのか?
ドイツ工業界を象徴するフォルクスワーゲン(VW)は「国民車」として親しまれた。
ところが肝心要のドイツ国内工場の閉鎖を検討していることが分かった。2029年までに国内工場を閉鎖し、従業員の雇用契約を解除、保障費用などの問題 で、今後、労組と交渉に入る。世界にVWの従業員は65万人。筆頭株主はポルシェ、またニーダーザクセン州も大株主である。
VWの工場閉鎖は1937年創業以来初めてである。
この大事件は、日本で言えばトヨタが国内工場を閉鎖すると言っているようなもの、欧州産業全体にとって衝撃である。
VWは2017年には売上高で世界最大だった。アウディ、ベントレー、ランボルギーニ、セアト、シュコダ、ポルシェなどの乗用車にトラック、オートバイのブランドを所有する。
VWグループのオリバー・ブルーメCEOは「困難な経済環境」と「ドイツ経済の競争力の低下」を挙げて「極めて緊迫しており、単純なコスト削減策では克服できない」
VWは中国のEVに押され、競争の激化に対応出来ず、コスト削減、収益力強化のために効率化を図るとするが、車両工場や部品工場の閉鎖も連鎖するだろう。下請けの部品メーカーへの悪影響は計り知れないものがある。
ドイツ産業全体で大幅な人員削減となり、そのうえ「アウディ」のEVを生産するベルギー・ブリュッセルの工場閉鎖も検討している。
フォルクスワーゲンは2016年に発覚したディーゼル車の排ガス不正データ事件で、3兆5千億円の罰金や賠償金を支払った。
とくに米連邦取引委員会(FTC)から米国の購入客に1兆円以上の和解金が支払われた。
VWの株価は2021年に盛り返し、同年4月16日には245ユーロをつけていたが、24年8月3日の株価は97ユーロに落ち込んでいる。
メルケル前首相は在任中、日本に二回ほどしか来なかったが、北京には十数回も訪中し、ドイツ産業界、金融界は一丸となって中国にのめり込んだ。そのツケが廻った?
ちなみに2023年のドイツから中国のへの直接投資は119億ユーロで過去最高となった。
西側の多くが中国から撤退しているときにドイツは逆行しているのである。独中貿易は往復2530億ユーロで、米国とは2532億ユーロと、僅差だが、貿易 相手国、投資対象国Lといてドイツにとって中国は切り離せない関係である。対中輸出のなかで、乗用車と部品で全体の25%を占める。
とはいうものの安全保障に関するビジネスでは別の話となる。
嘗てドイツのロボット企業が中国に買収され、西側が慌てたが、つい最近もVW傘下のMANエナジー・ソリューションズが、ガスタービン事業を中国国営のガスタービン企業に売却しようとし、ドイツ政府が阻止した。
中国軍がガスタービンを軍艦の動力に利用するからである。ドイツのハーベック経済相は「外国企業の投資は歓迎するが「公共の安全」に関わる技術は保護の対象」であり。したがって「常に友好な関係を結んでいるとは限らない国々」からそれを守る必要があると指摘した。
ドイツは中国のみならずアジア域内で投資を増加させており、インド、ベトナム、タイへの投資が顕著に上向いている。
ジェトロ報告(24年2月)では、「中国のビジネス環境の改善に向けた建議として、(1)外資誘致の強化に向けた24項目の措置の着実な実施、(2)外資 系企業に対する不平等な取り扱いへの取り締まり、(3)公共調達手続きの透明性の確保、(4)法律の確実性・透明性の向上、(5)データ越境移転にかかる コンプライアンスプロセスの簡素化、(6)知的財産権保護の強化、を訴えた」という。
落ち目のドイツ、中国の興隆、そして政治的には保守のAfD(ドイツのための選択肢)が与党をしのいで第一党となった。国民は左翼連立政権に飽き飽きしたのだろう。
歴史は激烈に回転し始めた。VWは悪性のスパイラルに陥落するのか。
やはり、ドイツはChinaとの共倒れとなるのでしょうか。EVが世界の勢力図を変えるのかも。
最後に笑うのはどこか。
日本は、どうなるか!
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