アベさんとムネオさんと私

 

▼沖縄の辺野古基地建設に反対する沖縄県民の熱い郷土愛を分断させようと、政府は沖縄へデズニーランドの建設計画を持ちかけているようだ。まるで植民地を統治するような、人道無視の政府の態度だ。観光開発は、経済が盛んになり雇用も期待できるが、米軍基地とデズズニーランドでは、天国と地獄を天秤にかける、まるで悪魔の選択を強いるような姑息な手段だ。

▼政府にいじめられる沖縄に、私はとても親近感を持つのだ。今の政権が大嫌いというのが最大の理由だと思うが、最南端と最北端には、政府は嫌なものを押し付けようとしているような気がするからだ。と思っていたら、今年初めての新聞に、種子島のようなロケットの発射場を建設し、航空宇宙産業の育成というのが、新年度からの北海道新総合計画に盛り込まれたという記事が、目に飛び込んできた。ＴＰＰで北海道農業は衰退する。そんな厭世気分を宇宙に目を向けようとする「新ボーイズビー・アンビシャス計画」に違いない。

▼政府は宇宙産業を１０年間で５兆円規模に拡大させるという。安保関連法案で、軍事費が増大するのを、夢のある宇宙開発という名目で、軍事予算をさらに増額しようとする魂胆だろう。農業の衰退ばかりではなく、北洋サケ・マス漁もロシアが制限したため、出漁を見送ることになった。農水産業が壊滅的な状況を迎える北海道。頼みの綱は観光産業だ。

▼海外からの観光客誘致のため、航空機の発着料金も大幅に値下げすると政府が発表している。観光振興という名の「北海道新軍事基地構想」の始まりではないかと疑いたくなる。幌延の高レベル核廃棄物施設も宇宙開発の予算枠内に入れ、核廃棄物の処分場と共に、ロケット計画と、核爆弾の製造基地の建設なんてことになりやしないかと心配する。

▼政府の宇宙開発の基盤整備を受け、道の経済団体も昨年１１月自民党に、ロケット発射場の早期建設を要望したという。それを受けて道は、今年中に「航空宇宙推進室」を新設する。はるみ知事最後の任期の、総仕上げの手回しの良さだ。

▼この手回しの良さ、大間原発の誘致状態と酷似している。漁業が衰退し経済が疲弊した大間町で、地元商工会が原発誘致を地元議会に要請したというストーリーになっている。だが、国から県、県から大間町と議会を経て、商工会が手を上げたというのが常識的だろう。下北半島の小さな町が考えるレベルではないからだ。国家政策に地方がのせられたと考えるのが妥当だろう。ロケット誘致は、はるみ知事が経済界に後押しを頼んだのだろう。

▼新幹線も札幌誘致後は、最終的には日本縦断で稚内までと思われているが、私の憶測では十勝経由で釧路だ。この地域は自民党色が強い。新幹線と宇宙産業基地誘致に伴う観光産業の推進の旗振り役は、自民党にも野党にも強い、ムネオさんに違いない。ここはムネオさんの地盤だからだ。

▼どう見ても、戦後７１年目の北海道。ロケットへの導火線の火付け役は、ムネオさんの顔が浮かんで仕方がないのだ。子グマのムネオさんを大グマに成長させてはならないのだが、誰もオリに入れることができないというのが現状だ。その計画の筋道を立てたムネオさんが「北海道後見人」として、アベ総理に推薦されれば、北海道は沖縄以上に政府や米国の思うままの大地となりそうだ。長年親しまれた「試される大地・北海道」のキャッチフレーズも、はるみ知事が嫌いらしく新たに募集している。もしかして「思うままの大地・北海道」に変えようとしているのかもしれない。

▼維新後の北海道開拓には、米国の技術者が多数来道した。その中にクラーク博士もいた。「北海道・新ボーイズビーアンビシャス計画」そんな夢など、見るのはまっぴらゴメンだが、ムネオさんのあの人なつっこい笑顔で、いずれアベ総理と共に私の夢に登場するのは、間違いないようだ。夢の中で３人で酒を飲むなんて、場面もありそうな気もして、私もなんだか夢といえども、あの二人と酒を飲むのは、とても不安になってしまうこの頃だ。