▼「原発・観光・軍港」この3つが、函館市の未来を左右するキーワードだ。原発は津軽海峡の対岸に建設中の大間原発だ。世界初のフルMOX燃料を使用する原子炉、事故が起きると福島第一原発事故の比ではない。原発の目の前の津津軽海峡は国際海峡で、どこの国の船も通過できる。以前から他国の潜水艦が行き来しているといわれているので、大間原発を考えると、安全保障上非常に危険な海域である。
▼10月上旬に、陸上自衛隊が、津軽海峡での敵艦攻撃を想定した、初のミサイル訓練を実施した。その訓練に対し、こんな危険な海峡でプルトニウムとウランの混合酸化物燃料を使用する大間原発建設は「キチガイじみている」と発したのは、ドゥテルテさんかトランプさんだと思ったら、我が函館市長のクドウさんだ。最近は、歯に衣を着せない率直な発言が、世界中で国民の支持を集めているようだ。
▼函館市は自治体で初めて、原発訴訟を国に起こし注目されている。国もそろそろ原発再稼働や新設などという、国民を危険にさせる政策は、改めてほしいものだ。さて観光だが、函館は、3月の新幹線開業で、観光が好調だ。それに加え、函館空港も国の後ろ盾もあり民営化の方向に進んでいる。市単独での着陸料の無料化などの計画もあり、空の客の誘致にも熱心だ。一方、函館港は大型クルーズ船の相次ぐ入港で、観光経済が好調だ。
▼港湾の拡張整備は、以前から国に要望していたが、アベ政権が「21世紀型のインフラ整備」で、大型クルーズ船向けの港湾整備を打ち出した為、国が先日の補正予算で、6億3000万円を付けてくれた。それに、函館駅に近い若松埠頭に、360メートルの係留施設と、12万トンクラスが入港できるための浚渫工事もおこなってくれるという、国自らが函館市の観光振興に、支援してくれるというものだ。市の負担もあることながら、大間原発で迷惑をかけている函館市民に気を使っての、国の配慮なのだろうか。
▼これで函館観光は「陸(新幹線)海(大型クルーズ船の入港)空(民営化による競争力アップ)」最強の体制を整えることになる。今年も、函館市は、魅力ある町「全国一位」になったようだ。この座は今後、他に追従を許さぬ揺るぎのない存在になるに違いない。だがその最強観光を揺るがす存在は、やはり大間原発だ。先日、函館市の経済界を束ねる商工会議所の会頭に、59歳の久保氏が就任した。大間原発については「工藤市長はじめ、町会連合会と足並みをそろえて対応したい」とコメントした。何とも頼もしい新会長だ。以前、町会連合会が音頭を取って大間原発反対の
署名活動をおこなった時、商工会議所は経済界を束ねる立場から、署名を断った経緯があるからだ。
▼両手を上げての函館観光振興だが、ちょっぴり心配なこともある。12万トンクラスの港湾整備。今年就航した最大級と呼ばれる米空母、ジェラルド・R/フォードで、10万1600トンで、全長が333メートルだ。港湾は国の所管なので、日米軍事同盟下では、米軍からの要望があれば、通常は入港は拒否できない。「日米防衛協力のための指針」いわゆる新ガイドラインでは「米軍による自衛隊施設及び民間空港・港湾の一部仕様を確保する」となっている。
▼周辺事態の動きがありそうなので、米空母が函館港に入港する。船体の修理は函館どつくだ。食料や不足物の補給は陸上自衛隊がいる。傷病者の対応は、市内に函病はじめ大きな病院がある。空母の戦闘機は空港を使用できる。つまり函館港は「観光化と軍港化」が表裏一体の港湾なのかもしれないという懸念が、最近脳裏から離れない。
▼今夜函館市内のホテルで、工藤函館市長の講演会主催のパーティ−がある。市長の本音を聞きたくて毎回参加しているが、近年、行政運営が安定してきたせいか、以前より面白味に欠けている。今晩は、函館観光の「陸・海・空」振興政策に、歯に衣を着せぬ工藤節が炸裂することを期待し、心ときめかして会場に向かうことにしたい。
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