▼胆振東部地震から1週間が過ぎた。1週間前はこの世にいたのに、今はあの世だなんて、犠牲になった人たちは永久に闇の世界に押し込まれてしまったのだ。
▼高度の文明社会に生かされている私たちにとって、長引く停電は他のライフラインの断絶にもつながり、死への恐怖感が徐々に迫ってくるというような、経験を味わった。
▼被災地周辺だけでなく全道が停電したという、北海道の電力供給体制の甘さにも驚いている。停電後すぐに本州からの北本連携線で、60万キロワットが送電されたので、一次的にはバックアップの電力は確保されたようだ。
▼だが、苫東厚真1号機(35万キロワット)が停止されたら、需要と供給のバランスが崩れ、他の発電所も自動停止されたので、ブラックアウトを引き起こしたという。
▼猛吹雪で視界が見えなくなり身動きできない状態を「ホワイトアウト」というが、停電は「ブラックアウト」という。「ホワイト&ブラック」、まるでモノクロームの世界だ。未来に向けた北海道ではなく、過去に逆戻りしたかのようなイメージの北海道だ。
▼今回の北海道停電で、経産大臣自らが陣頭指揮をした。テレビに世耕大臣、その横に紙人形のように立っているのが、はるみ知事だ。来年の知事選から、参議院に鞍替えするというので、すでにお払い箱かという感じもする。
▼北海道は「国の直轄地域」だと言うイメージを、世耕大臣は道民に植えつけたのではないだろうか。「これから北海道のエネルギ一全般は、経産省が直接管理する」と。
▼風力や太陽光発電は自然環境に影響され、供給が不安定とし、経産省は先日北海道に「世界最大の蓄電池設備」を建設すると発表したばかりだ。それも総工費1050億円の半額、500億円を国が補助するというビックニュースだ。
▼今年の7月に我が国の「エネルギー基本計画」が4年ぶりに改訂され、原子力を「重要なベースロード電源」とし、2030年まで原発は【20~22%】を確保するとしている。
▼現在再稼働の原発は9基だが、目標までは30基の再稼働となる。そうなると、泊原発も国の指導で再稼働の可能性が考えられる。
▼だが9月に入ってから、MOX燃料の再処理は断念するとの3日の北海道新聞の報道があった。もしかして、この記事を読む限りは、MOX燃料を使用する「大間原発建設中止」になる可能性があるのかと、最近ちょっぴり知り合いになった大間原発建設の「電源開発」の関係者に尋ねると、「新聞社の報道は間違いだ」と反論してきた。
▼さらに9月12日の北海道新聞は「太陽光買取価格半減」と出ている。太陽や風力などの再生可能エネルギーは、一定期間「固定価格」で電力会社に引き取らせると義務付けたが、買い取り額引き下げにより、中小事業者の参入が厳しくなると指摘している。
▼なんだか、我が国のエネルギー政策の大幅な転換期が来ているような気がする。そんな時こそ米国の動向を見詰めなければならない。なんたって、アベ総理はトランプ大統領の一の子分だからだ。
▼米国の「2018年エネルギー年次見通し」には「国内太陽光発電の増大は、長期的には蓄電システムの普及を促進する」と記している。
▼さらに7月、30年ぶりに「日米原子力協定」が自動延長された。これはどちらかが一方的に解消を通告すれば、半年後に失効するというものだ。これは米国に首根っこをつかまれた状態だ。
▼今までの原子力協定は「平和目的に限定され」その代わりに「核兵器への転用可能なプルトニウムの保有を認める」とされていた。
▼そこで我が国の「原子力基本法」だ。第2条第1項に「平和目的に限る」という条文に第2項が加えられ【安全保障に資する」とされた。なぜかその改正は、福島第一原発事故の翌年である。
▼電気事業のような分野は、米国が圧力をかけ易い規制事業だ。トランプ大統領なら『アメリカンフアースト』で、日米原子力協定破棄を宣告しかねない。すでに、あらたなエネルギー政策が米国から要求されているのかもしれない。
▼「混乱に乗じて」というのが、大転換を主なう時の重要な環境だ。【北海道ブラックアアウト】に世耕経産大臣の陣頭指揮。この混乱は北海道にとって今後どんな展開になるのか、私たちは機能低下気味の目も耳も足も使い、今後の国の動向を注視しなければならない。
▼私が心配するのは、泊原子力再稼働、さらに高レベル放射性廃棄物の処分場に、広大な北海道が指名されることだ。豪雨、地震による北海道各自治体の財政難が、それを可能にしてしまうような気がするからだ。
▼復興。補助というニンジンに、「仕方がない」という諦念を蔓延させ、危険な国策を誘致させるというのが、我が国の常套手段だからだ。
▼そんなに意地悪く考えなくてもいいのではないかと思われるが、私の地域も「財政難」というお題目に「市町村合併」という国家の落とし穴に、いとも簡単に引っかかってしまったという、体験をしているからだ。
▼来年の北海道知事選、すでに自民党は若手の有力候補を絞ったようだ。それに対する野党は、候補も絞れずの戦わずして「敗北宣言」という現状だ。
▼そんな状態だから、経産大臣が陣頭指揮に来道したのではないかと、私は考えている。世耕大臣はアベ総理の「懐刀」といわれる人物だからだ。
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