▼日本学術会議問題での、スガ総理の対応が気になる。我が国の英知が結集された組織に対し、腐敗?していると断定し、組織の改革を迫っているからだ。
▼一般的には「はぐらかし戦法」という。妻に言動を批判され、よく使う類の戦法だ。「おまえだってどうなんだ!」と逆切れする心情と似ている。
▼シンゾウ同様、学者に頭の悪い総理だと烙印を押されそうだ。対米従属など強化するから、トランプ以下の総理になるのだ。
▼教育学者の故山住正巳著「日本教育小史」を読み返してみた。【日本は19世紀後半、富国強兵の道を選択した。この国策実現には科学技術を急速に輸入する必要があり、それには国民の学力を向上させることが急務であった。しかし政府は、その学力向上が科学的判断力や批判精神をも育てることになるのをおそれ、天皇制を確立し、天皇への忠誠を通して国策に協力する姿勢をとらせようとした。そのために教育勅語をつくりあげ、これを中核とした道徳教育を徹底的に行う方針を取った】。
▼私がある校長から聞いた「戦争は教育から始まる」という言葉を、正確に表現した内容だ。シンゾウ以来の教育改革や、スガ総理の学術会議の組織改革などに、頭を持ち上げているのではないか。
▼84年の臨時教育審議会や、財界などから上がった教育改革の方針では、国際的・歴史的視野を育てるよりも、日本人としての自覚を促すための日本文化と伝統の尊重や徳育の強化が目立つ。
▼この内容がふんだんに匂うのが「自民党改憲草案」だ。現日本国憲法とは、真逆の解釈の上に立案されたように私には思える。
▼憲法や教育などに、普段理解のない者が口を出すと、とりとめもなく、ただ長い文章を羅列するというのは自覚している。ここはやはり、教育学の権威である、故山住教授の意見を再度拝聴したい。
▼【私たちは原則的に頑固でなければならぬと同時に、現象的状況に対しては柔軟で感じ易くなければならない。魂(ソウル)において頑固であり、心(マインド)において柔軟、精神(スピリット)において活発でなければ、この現在の困難な状況を切り抜けることはできないように思われる】。1967年『教育』8月号。