#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【Jul_07】映像芝居_錆からでた実

2016-07-26 | DANCE
芸劇dance_束芋×森下真樹_映像芝居
『錆からでた実』@東京芸術劇場シアターイースト

【on_Flickr】0707_SABI


錆は還元された鉄が酸化して安定な状態へかえろうとする過程に生じる結果である。
不安定が安定を生み、さらにその安定がバランスを少しずつ崩すことでまた不安定を生み出し…。
同じところをぐるぐる回っているように見えて、少しずつ進展し、そして、最後には実を結ぶ。
その実は決してそのまま静止するのではなく、また次の不安定を生むだろう。


束芋さんの世界観が凝縮された映像芝居『錆からでた実』。
「窓女」にしても「ブラックホールと太陽」にしても人間の知覚を境に表出する暗部と明部が
入れ子的に描かれていて、多面的でこそ世界である…とのメッセージが読み取れる。

それは「ハトとハコ」も「あいまいな稜線」も「隣の部屋」でも一貫していて、
対象と主体との関係が「世界があるから私がある」のか「私があるから世界がある」のかという問いかけに還元されるようで、
それはやはり知覚の主体であるカラダが創作の出発点であるからなのだろう。だからダンスとの親和性も高いのだ。
「錆の花」におけるめくるめく血管の森を分け入り、五感を全解放するかのような大団円は、
生きる悦びに溢れていて、自己否定があるからこその全肯定なのだ…とのカタルシスに救われる。

カラダが世界を知覚し、世界が顕れる…そのことに自覚的な作品だと思った。

構成・演出・美術/束芋
振付/森下真樹
音楽/粟津裕介&田中啓介
ダンス/鈴木美奈子

舞台監督/河内崇
照明/三浦あさ子
音響/堤田裕史
衣裳/堂本敦子
記録映像/加倉井和人
制作助手/芋々
制作/瀧本麻璃英・杉田亜祐美
プロデューサー/高樹光一郎


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