#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【Susan Sontag】良心の領界

2010-12-04 | CHINA
12月04日。土曜日。
晴れ渡る師走の青空。雲もなんだか忙しない。
地を這う冷気。凍える体躯。顫動するハート。
心も体も、うち顫える季節。

雲南の写真を編集していて、
ふと読み返したスーザン・ソンタグの「良心の領界」序文。

若い読者へのアドバイスと銘打って、
ソンタグ自身、自らへ言い聞かせている。

自分の写真を見ていて、
その言葉が深く腑に落ちた。
五臓六腑にちゃぽんと音を立てて、落ちた。

以下引用。

      ●

人の生き方はその心の傾注(アテンション)がいかに形成され、
また歪められてきたかの軌跡です。アテンションの形成は教育の、
また文化そのもののまごうかたなきあらわれです。
人は常に成長します。注意力を増大させ高めるものは、
人が異質なものごとに対して示す礼節です。
新しい刺激を受け止めること、挑戦を受けることに一生懸命になってください。

  (中略)

動き回ってください。旅をすること。しばらくのあいだ、
よその国に住むこと。けっして旅することをやめないこと。
もしはるか遠くまで行くことができないなら、その場合は、
自分自身を脱却できる場所により深く入り込んでいくこと。
時間は消えていくものだとしても、場所はいつでもそこにあります。
場所は時間の埋め合わせをしてくれます。
たとえば、庭は、過去はもはや重荷ではないという感情を呼び覚ましてくれます。

この社会では商業が支配的な活動に、金儲けが支配的な基準になっています。
商業に対抗する、あるいは商業を意に介さない思想と実践的な行動のための
場所を維持するようにしてください。みずから欲するなら、
私たちひとりひとりは、小さなかたちであれ、この社会の浅薄で心が欠如した
ものごとに対して拮抗する力になることができます。

暴力を嫌悪すること。国家の虚飾と自己愛を嫌悪すること。

少なくとも一日一回は、もし自分が、旅券ももたず、
冷蔵庫と電話のある住居をもたないでこの地球に生き、
飛行機に一度も乗ったことのない、
膨大で圧倒的な数の人々の一員だったら、と想像してみてください。

  (中略)

傾注すること。注意を向ける、それがすべての核心です。
目前にあることをできるかぎり自分のなかに取り込むこと。
そして、自分に課せられた何らかの義務のしんどさに負け、
みずからの生を狭めてはなりません。

傾注は生命力です。
それはあなたと他者をつなぐものです。
それはあなたを生き生きとさせます。
いつまでも生き生きとしていてください。

良心の領界を守ってください。

     ●

この序文は最後の四行に集約されている…そう思う。
「傾注は生命力です。それはあなたと他者をつなぐものです。」
「他者」は何も人に限らない。

花や風や光や土や生きとし生きるものすべて。

もちろん、となりにいる大切な人も。

注意を向ける…傾注する…アテンション。

ソンタグの優しいまなざし。
人間は本来、そういう優しい気持ちの顕れで
世界と繋がっていたのだと、確信する。

ボクのまなざし…その傾注を
ボクは写真に収めたい。

雲南の写真群は、その傾注が顕れている…そんな気がした。





Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【YUNNAN】中国の中のイスラム圏 | TOP | 【六本木alfie】五十嵐一生 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | CHINA